2002 年8月。


上旬。
 
  さて、元々無題社(それにしても「無駄医者」と 変換してしまうのはどうか)のHP(*1)を立ち上がったとき、 いずれコンテンツに加えようと、覚え書き風日記などをうだうだつけていた。自分で読み返してみて も、どうしたことかあんまり面白いものではなかった。
 が、ハードディスクのクラッシュにより、その辺のデータが都合よく抹消されたので、代わりにこんなものを 書くことにした。
 これだと10日にいっぺんくらい更新すればいいので、気分的には楽である。よっしゃ、決定。


 てなわけで、ここでは、天野の日常などを徒然なるままに記していきたいと思う。
 

 あまりお金もないのに、日頃の習慣から本屋に行く。ビジョルドの「ミラー・ダンス」(上下)を見つける。財布をのぞき込み、購 入することに。手を伸ばしたとき、隣の本が目に留まった。
 ぽ、ポール・ウィルスンの最新刊〜っ!? し、しかも、《始末屋ジャック》の最新刊ですと!?
 一冊900円台の文庫本を3冊購入する羽目に。とほほ。
 

 
 中国に国外退去とあいなった白熊氏(*2)に原稿のファイルな ど送っているのだが、なかなか難渋しているものらしい。

 ここで想像を巡らしてみた。

 おそらく、中国本土では、人海戦術式バケツリレー型手渡しで情報パケットを送っているのではないか。うむ うむ。中国恐るべし。んで、その過程において、我慢できなくなった者がいたってこと。
 すなわち、メールに添付した私のファイルが消えたのは張さんとこの息子が食っちまったからだろうし、とこ ろどころ欠けているのは大学生の楊氏が飲茶で点心に使ったのだし、アルフェッタさん(*3)のファイルが変質してい るのは周さんちで夕食のダシを取られたに決まっている。そうに違いない。そのうち中国で食中毒が発生するの ではないか。

 ……などと暑さに任せて思ってみたり(*4)



 そんなこんなで、ようやく、「伝説」 がUPされた。昔の作品であるが、読み返してみると、なかなか興味深い。
実 質一週間くらいで書いたと記憶している。うち、最初の3日くらいは、まったく違う話だったような……。
 要は「村の人がどうにもできずにいた怪物を、流れ者が倒しちゃう話」である。印刷して知人に見せたら「物足りない」と 一蹴されたような。こちらは結構気に入っているのだけれど。
 初出版では、二段組で、ラスト一行が、下段の一行目で終わるような仕様になっていた、ような気がする。全体として変更はかけてないが、白 熊氏辺りがクレームをつけてきそうだったので、各節の頭をローマ数字からアラビア数字に改める(*5)


 またも本屋に行く。「グイン・サーガ」の最新刊がそろそろ出るはずなのだが、まだ出てない。代わりに、殊能将之『ハサミ男』が文庫落ちしていたので購 入。殊能も結構好きなのだよ。西澤保彦にはSFの設定でミステリする作品が多くあるが、殊能はミステリの設定でSFしたりする。特に第三作『黒い仏』とか は、一読して唖然。こりゃ、生粋のミステリ読みは怒るんじゃないかい? SF者としては面白かったけど。ともあれ、『ハサミ男』(これはまだ「まっとう」 なミステリだ)を読もうとも思っているが、他に積ん読本がたまっているので、いつになることやら。



 久々にビデオなど鑑賞する。「ダンジョン&ドラゴン」という邦題表記にどうしても馴染めない。「ダンジョンズ&ドラゴンズ」だってばさ。同様に私にとっ て「ロード・オブ・ザ・リング」は絶対に「ロード・オブ・ザ・リングス」でなければならんのだ。

 それで、ビデオ観た感想など。

 「面白くねえ」

 「Dungeons&Dragons」については、語りたいことは山ほどある(*6)が、ここではRPGというゲームの大本になったゲームだといってお くにとどめる。

 で、映画は「D&D」を再現しているか。してねえ。それもまったくしてないわけじゃなく、ひどく中途半 端。ゲームを知っている者は不満だし、ゲームを知らないには訳が分からない、という中途半端さである。

 ウリにしているのは、後半のドラゴンがたくさん飛び交うシーンなのだろうが、ドラゴンがちっとも怖くねえ。こ れが致命的。つーか、このドラゴンブレス(竜の吐く炎)はどうよ。ドラゴンが空中から標的に向かって吐く炎は、観ているとどうにもミサイル。飛び方も戦闘 機みたいだし。

 かつて「面白くない」と聞いていたものの、結構やるじゃんと思ったものに「ドラゴン・ハート」があった。これはドラゴンがよく描けていた。

 「ダンジョン&ドラゴン」という映画の中では、ドラゴンは恐れられ、力の象徴みたいな存在である。そんなドラゴンがちっとも怖くないのは、問題だろう。 また、生き物にあんまり見えないのもいかん。あくまで戦闘機とか戦車とか、そうした描かれ方ではなく、生物としてドラゴンは描くべき。

 映像媒体でドラゴンの恐怖、というものをわりによく表現していたのは、「ジュラシック・パーク」のレックスだろう。同じようなドラゴンのアップが映る シーンがあるが、レックスはライトに目を細めたり、息をしたりと非常に生き物くさい。「ダンジョン&ドラゴン」では作り物めいている。

 活字媒体でドラゴンの恐怖、というものをうまく表現しているものは、D&Dの後継であるAD&Dを元にした「ドラゴンランス」シリーズ(このドラゴンた ちはコワいだけでなく、カッコいい。見せ方もよい)であり、また個人的にはD&Dルールブック(コンパニオンセット)にあるドラゴンの数値データを観て、 びびったものであった。

 さらに付け加えるならば、映画は、ストーリーがしょぼい。訳の分からぬうちに話が進み、訳の分からぬ方向に流れていき、気がつけばドラゴンの群が出てい る。女王がドラゴンにまたがっている。ぶつかり合う主義主張もしょぼい。

 ついでにいえば、字幕も下手っぽい。洞窟に入ろうとした主人公一行だったが、主人公以外が見えない壁に弾かれてしまう。それを「フォー スの壁」と表現してあった。フォースの壁って何だよ、おいその中途半端さは。

 また、国を支配している貴族階級のことを世界内では「mage」と呼んでいるが、それをそのまま「メイジ」と訳して意味が伝わるか? 実際は「メイジ」 は魔法使い階級のことであり、この世界では魔法を使える者=貴族になっているんである。mageはMagi(キリスト生誕のときに来た東方の三賢者)から 来た言葉で、これが転じて「magic」なんて言葉も出てきた、と記憶している(違うかもしれん)。だから「知識階級」といった意味を含ませていたのだろ うが、そうしたことを「メイジ」というカタカナですませてしまうのはどうか。

 あと、出てくるダンジョンがしょぼいしょぼい。シーフギルドの中で試練の迷宮とやらが出てくるが、道はまっすぐ、危ない仕掛けも三つしかない。これまで 誰も突破してないというが、シーフギルドは能なしばかりか? 同様でドラゴンを操るという伝説の杖が眠る洞 窟(入り口が例の「フォースの壁」)も一本道、迷いなし、持っていたアイテムを使って扉を開いたら宝物庫。杖を守る魔法使いの骸骨はあっさり主人公に杖渡 して壊れるし。
 他にもゲーム知っている者であれば、ツッコミどころ満載である。何故オークのいる酒場でドワーフが酒を飲めるのか、見習いの魔法使いがゲート開いて瞬間 移動って何やねん、エルフが治癒魔法使うのは何事か、

 
 総評。ドラゴン、魔法、種族、世界観、すべておざなりになった「ダンジョン&ドラゴン」は個人的には駄作である。レンタル料損こい た。


(*1)天野とその友人たちで始めたサイト。諸々の事 情があって数ヶ月で滅びる。

(*2)天野の友人。無題社の管理人 をやっていた。

(*3)天野の後輩。天野と白熊氏でけしかけてサイトを作らせてみ た。

(*4)暑さでアホなことを書いてしまうのは、今も昔も変わらない。

(*5)機種依存なんだそうである。

(*6)元テーブルトークRPGのゲーマーだし、D&Dに対 しては思い入れがかなりある。

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