2005年(?)7月。


下旬。


 ほら、事故ったりすると記憶が飛ぶことがあるっていうじゃないですか、なんとなく。どうも私、飛んでたようです。具体的にいうと3年くらい? てのも書店でこんな文を目にしたのです。

 本書は、平成十七年五月、小社から刊行された単行本を文庫化したものです。

 くわっ、ついこないだ単行本が出たばかりだったような気がします。読んだ記憶もあります。それがもう文庫化ですよ。荒俣宏『妖怪大戦争』、やってくれます角川書店でございます。しかも内容まったく同じで、あとがきも解説もついていません。で値段が1000円ほどお安くなっております。いったい何が違うのかって、おう、加藤保憲を倒せとか大冒険ファンタジーとか書いてある帯がありません。あれが1000円分だったのかもしれませんぞ。って、こりゃ全国100万の妖怪が加藤保憲に対して立ち上がるよりも、全国100万の妖怪ファンが立ち上がる方が早いかもしれん。


 例のアヤしいおっさんのいる病院通いは終了いたしました。まだ足の指がちょっと重いかな、という感じだったんですが、「まあ、今渡してる薬が切れる頃には治ってるでしょう」「じゃあ次は」「もう来なくてもいいですよ」と心なしか残念そうにいうおっさん。診断書は、と尋ねると、保険会社の方から勝手に用紙を送ってくるだろうから、特に私の方でやることはないとのこと。これで病院ともおさらばでございます。


 相手方の損保の人と直接会う。破損した、というかこすれた痕のかすかにある当日の衣服の写真を撮るためである。そのときに病院通いが終わったことを告げる。で過失割合の話になり、濃い顔をした損保の人は、「どうにかこの割合で納得していただけませんか」とラテン顔で何度も迫ってくる。「できたら今週中にケリつけたいんですよ」7月が終わるからだそうで、月末までにどうにかしたいっぽい。でもそりゃそっちの事情であって。だいたい、相手の損保の態度は結構イラつくことが多い。ラテン系の人は、三人目の担当として出てきたが、担当者が何人もいると連絡を誰にしたらいいのかも分かりづらい。物損、人身に基本的に分かれてるようだが、夏休みの交代要員もいたんである。しかも三人が三人とも夕方4時半以降に電話を掛けてくる。多かったのが5時半から6時過ぎの電話である。ちなみにその会社、営業時間は5時までで土日は休み。だもんで電話に気づいて折り返しても留守電。ホントに連絡取る気あるんかっちゅーの。そんな態度でやってて今月中にとかいわれてもねえ。


 ゲーム「戦国BASARA」を購入。キャラクターはいいですよ。カッ飛んでて。例えば、熱血バカ師弟の武田信玄と真田幸村はやたら殴り合ってるし、男装の麗人である上杉謙信はアップになると背後にバラを出現させるし、濃姫は二丁拳銃使いだし、前田利家はやたら腹をすかせる野人だし、その妻まつは美少女戦士(ムービーで変身シーンあり)だし、信長はショットガンとマントを使います。国際派とされてる伊達政宗の個人OPムービーなんていい出来ですよ。まず山道を走る騎馬軍団→戦闘で一騎、腕組みをして手放し走行してる政宗→後ろの部下たちにカメラが移動→叫ぶ部下、やたら二人乗りしてるやつがいます→派手派手な旗が風にはためき、槍の穂先を地面にこすりつけて火花散らせてるやつがいたり→政宗のバストショットに戻って→政宗叫ぶ→「Are You Ready, Guys?」→部下が吠える→「Yeah!」→「奥州獲りに行くぜ」みたいな感じ。国際派というよりも奥州連合のリーダーというか暴走族のリーダーなんですけど、政宗。戦闘でも「命を粗末にするなんてCoolじゃないねえ」「Let's Party, Yo-Ho」部下は部下で政宗にSIR付けてたりするし。しかも政宗、六刀流です。コミック「ワン・ピース」のゾロが三刀流でしたが、あれは右手左手口で三本です。政宗は右手で三本、左手で三本使います。政宗と並んでパッケージにもなっている幸村は二槍流で、OPでは槍に乗って空飛んだり、ゲージ溜まった後の技(無双でいうところの無双乱舞)が槍の穂先に火をつけて踊り狂うファイヤーダンスだったりとなかなかです。しかも幸村のステージ勝利シーン、向こうから両膝スライディングしてきて天を仰ぎ、「親方さまぁ、果たしましたぞ、親方さまぁ、親方さまぁ、うぉやぁくわぁたぁすぅわむわぁ」と絶叫する暑苦しさ。んでいよいよ期待の本多平八郎。まだ使用キャラになってないので、敵に回したときの感触ですが、まず雑誌の静止画像では分からなかったことをば。平八郎、通常移動がホバリングです。平八郎、武器は穂先のデカい槍かと思ってたら、穂先のデカい槍のフリしたドリルでした。着地したりジャンプしたり武器振ったりするとモビルスーツ系ロボット音が響きます。搭乗時、じゃなかった登場時には目が光り、他のキャラが「登場!」とか書かれる中、ひとり「起動!」と書かれる始末。振り切っても振り切ってもいきなり飛んできて着地するし、いやはや。これで合体と変形と自爆装置があれば漢のロマンこんぷりーとって感じだったのですが。


 とまあ、こんな感じです。ここで感想終われたらどんなに良かったことか。でも書かずにはいられないのです。最初にいいました、キャラクターはいいですよ、と。システムと実際のゲームが大味すぎます。まずマップ。全体マップしか表示されず、ポイントされるのは部隊長以上の位置のみで、敵総大将と自分以外、誰がどれやらさっぱり分かりません。しかもキャラの動きが結構デカいため、総大将戦など、接敵して殴り合ってる最中に相手が画面の外に吹っ飛ぶとどこにいるのか分からなくなります。また戦場でもどうも障害物のアタリ判定が見かけよりも大きいせいでやたら引っかかります。馬に乗ったら最悪です。速度が出るので当たりまくって逆に進めなくなります、マップがデカいので微妙な方向修正もできず、敵の攻撃が当たらない反面こちらの攻撃もまったく命中しません。馬は、障害物がまったくない、直線でしか用いる価値がなく、乗れる馬が出てくるステージにそんな場所がほとんどないのです。またメインである天下統一モードにイベントがほとんどなく、各ステージにあるミッションはやってもやらなくてもクリアに大した影響もなく、どのキャラでやっても、どの順番でこなしても変化なしです。しかもこちらのキャラが攻め込んだ場合、どんだけ相手の領土が変化してても、相手の本拠地で戦うことになります。つまり、西日本を島津が制してて、こちらのキャラ政宗が四国の島津領に攻め込んでも、やるステージは最南端平定戦なわけ。四国で島津と政宗が戦うことは不可能。んで、全キャラ装備アイテムが3つまでなのに3個セットで初めて効果を現すアイテムの多いこと多いこと。これもキャラの差別化になりません。しかも使用16キャラ中、同じモーションと技のキャラが2組4人ほどいます。その一方、操作できない、主に敵となる武将が4人(北条、徳川、毛利、長宗我部)いて、彼らはオリジナルのモーションと技とボイスを持ってるわけですよ。このバランスの悪さ。考えてみりゃ前田利家とまつなんて同じ勢力で同じステージでセットになっとるんだからどっちか一方にしてもよかったんじゃあるまいか。武田勢は信玄、幸村、猿飛佐助が同一勢力だし、織田家は信長、濃姫、蘭丸がいる。謙信とこには暗殺者のくのいちがいるし、天下統一モードで領土制覇をメインに据えるんなら、もっとキャラが散らばっていた方がよかろう。例えば代わりに長宗我部やらブチ込んだ方がよっぽど変化が出て楽しいと思う。16人以外の味方武将は所定の位置からまったく動かず、敵にダメージを与えることも、こちらを援護することもなく、生き残ったらボーナスになるだけ。また、一画面で処理できるキャラの数がかなり少なく、敵がしょっちゅう見えなくなります。見えなくなるだけでなく、きゃつら、アタリ判定までなくなります。だから気がついたら避けようもない距離まで自爆兵が複数突っ込んできてて爆死したとか、よくある話になってます。見えていさえすれば近寄らせる前に逃げるなり叩くなりできるんですがね、それすらできないってのは極悪です。んでステージ中セーブできないので、怒濤のザコハメ食らって死んでもゲームオーバーです。やってて思ったのは、一昔前のアーケードゲームですな、こりゃ。一キャラがエンディングに辿り着くまでの平均所要時間が1時間だし、だいたい6ステージ戦えばエンディングだし、ほとんどのステージが一直線に味方もなしに敵を薙ぎ倒しながら進んでいくだけだし。感覚的にはストUとかの格闘ゲームに近い。相手のところに乗り込んでいって、やるのは対決、みたいな。しかもラスボスとかがいるわけでもなく、後半盛り上がるわけでも、隠しキャラがいるわけでもない。ゲームとして見たらいまいち。おおよそ2ステージくらいやったら飽きます。でもCGムービーとかは笑えてよい。あ、ムービーも二種類あってCGとアニメがあるんですが、顔違いすぎます。アニメムービーは不要かと。ネットで評判なぞ確認してみると、やっぱり似たようなこと書いてる人が多くて、中には「三國無双」より劣るが、「戦国無双」より爽快感があっていい、と何となくいいたいことは分かる発言もあったり。でも「戦国無双」はそもそも敵を殴り倒していく爽快感を求めるゲームじゃなくて、やたら多いミッションによる戦場での変化やキャラの成長を楽しむものであろう。となれば爽快感を求めるんなら「三國無双」やっとればいいわけで。システム自体が無双の焼き直しなのはともかくとして、便利なところが移植されてないし、ボリュームは足りないし、全体としてこなれてなさすぎ。これが5年くらい前にプレステとかで出てたらいいゲームだったかもしれないけどね。まあ他にもいろいろいいたいことはありますが、続きは本多平八郎が使えるようになってからにしましょうかね。


 さて前回ちょっと触れた和風ファンタジーについて。まだ結論まで辿り着いてないので少しだけ。中世ヨーロッパ風異世界ファンタジーに対するものとしての和風異世界ファンタジーという意味での「和風」だったのです。つまり作者の思想とか言語とかそういうのに比重がいってるのではなく、作品内世界観としての「和風」「中華風」「東南アジア風」「アラビア風」「ギリシャ風」「ヨーロッパ風」「ローマ風」「北欧風」とかそういうもの。例えば高千穂遥の『美獣』は日本語で書かれた小説だが、北欧風異世界。小野不由美の「十二国記」は中華風人工世界。80年代のファンタジーブーム以来、日本でも異世界ファンタジーが書かれてきたが、どうにもこうにも「中世ヨーロッパ風」のソーズ&ソーサリーが多いような気がするわけで。だったら中世和風みたいなものはないかという話だったのです。でも中世和風といったら、イメージとして日本の歴史が関わってくるのが多くて、異世界ものとはいえないんじゃないかというのが相手であった文芸部院生の主張。まあいくつか考えてこりゃ異世界だけど和風で、かつ日本じゃねえだろうという実例を見つけたけれど、分析中なんで結果はいずれ、気が向いたら。


 発掘してきた自分の古い作品群を読んで頭を抱えたり悶えたりしてるのですが、次回あたり、UPできる、といいなあ。


 さて、サイトに掲載してるK大ものとか読んでいただければ分かるかと思うが、私は永井真理子のファンであった。でも何年か前に日本を離れて休業ということで公式サイトも閉じたりして残念に思っていたのである。ふと思いついて、ぐぐってみた。公式サイト、復活してやがります。しかも覗いてみるとアルバム発売に先駆けて6月ベストDVD発売とか書いてあります。この6月っていつの6月だ!? さらにベストアルバムが4月!? 加えてでぃすこぐらふぃーを見てみると、知らないアルバムが載ってる。ベストアルバムじゃないそれの発売は2004年4月だ。じ、時間がどうやら飛んだらしいぞ、私。あまりのショックにしばらく旅に出ます。アルバムクエストです。どうか探さないでください。


 というわけで、いろいろ読んだり検証したりばたばたしたり調べたりぐったりしたりゲームしたり吠えたりアルバムでパニくったりと今回いろいろなものが中途半端なまま、このくらいで終了。短くて申し訳ない。






 購入した本:
  秋田みやび/グループSNE『名乗れ! 今こそ大英雄』、藤澤さなえ/グループSNE『ファンドリア・ファンクション』、安田均編『へっぽこ冒険者と緑の蔭』、賀東招二『悩んでられない八方塞がり?』、山本弘『幸せをつかみたい!』、新城カズマ『サマー/タイム/トラベラー2』、小川一水『疾走! 千マイル急行(上)』、池宮彰一郎『本能寺(上・下)』、牧野修『呪禁捜査官 訓練生ギア』、ランドル・ギャレット『銀河の間隙より』


 読了した本:
  秋田みやび/グループSNE『挑め! 捨身の大決戦』『名乗れ! 今こそ大英雄』、藤澤さなえ/グループSNE『ロマール・ノワール』『ダンジョン・パッション』『コロシアム・プレミアム』『ファンドリア・ファンクション』、新木伸『あるある! 夢境学園5』『あるある! 夢境学園6』、いとうせいこう×奥泉光+渡部直己『文芸漫談』、ダン・シモンズ『ダーウィンの剃刀』、須堂項『彼女はミサイル』



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