2005年10月。


上旬。


 こないだ文芸部の人に「旬な話。」を読んだ感想をちらほら聞き、「部屋の温度、36度なんですよね」なんてことをいわれ「いやまさか36度なんてことはないだろう」と返したのですが、家に帰ってみて、「旬な話。」を読み返してみて気づいた。私、書いてますやん、それ。どうも喉元過ぎればアツさ忘れるというか、アツさどころかいろんなことを忘れてるような気がします。そんな私の部屋も、10月に入ってさすがに気温が低くなってきました。朝、寒くて目が覚めると26度だったり、夜も最高気温が30度くらいまでしか上がりません。すっかり秋です。


 そんなある朝、原付で移動していると、道を行く人から声を掛けられた。はて? と思いつつ見れば、知った顔、昔の知人である。さよう、例えるならば、つのだ☆ひろとグレート義太夫とウガンダとパパイヤ鈴木とザンギエフを足して5で割り損ねたような外見をしている。つーかあなた熊本から出て行ったのではありませんでしたか。聞けばついこないだまで沖縄にいたのだけれど、身体を損ねて強制送還とあいなったらしい。ほうほう、身体を。「そう、糖尿病」あんた二十代でか。「いやあ、いつかなるとは思ってたんだけど」と腹を突き出す。ぷよんぷよんとそれを何度か突つき、「大変じゃのう」と私は感想を述べた。「だから今療養中。朝から歩いて体調整えてるとこ」腎臓は一度ぶっ壊れたら治らないので大変なのです。ううむ、それにしても二十代で糖尿病かあ。


 こないだ後輩に「あの花屋の話面白いですねえ」などといわれたので、また書く。いつもの花屋である。今まで書いてなかったが、この花屋、私の中では「アイの足りない花屋」と呼称されてたりする。ここは「フレンドなんちゃら」だか「なんとかフレンド」だかいう名前があるのだが、入口のところに洒落たアルファベットで書いてあるのは「Frend」だったりするのである。「i」が足りないのである。てなことを書いてると、二、三日後書き直してありそうでコワいところである。というのも、私がネタにしてしばらくするとそのキャンペーンが終わったり、看板が変化していたりすることが多々あるからである。看板のサイクルが早いのか、あるいは私のサイトの情報が漏れておるのかビミョーなところである。


 という前フリをして、実験に取りかかる。こないだ見たら「ハロー ウィーン」も「お彼岸用」もすでに終了していて、最新看板は「Halloween お家にパンプンキンを飾りませんか」みたいな感じでござる。「とりっくおあとりーと」なんてかけらもなく、窓から見える店内にはこれでもかというくらいジャックたちがてるてる坊主のようにぶら下がっとります。大きいものになるとてるてる坊主というより首つり死体のようだが。何だかこう、ビミョーにズレてるような気がするのは何故であらうか。例えるなら、「OH, BON! It's Japanese Summer Events of Deads (Old-Bon & New-Bon)! Let's Enjoy Bon-Festival-Dancing under Bon-Lanterns!」みたいな文章があったとして(今テキトー英語で作った)それを見たときの「ひとつひとつのパーツは間違ってないんだけど」という違和感に似てる気がする。……って辞書で調べたら、盆は「Festival of Dead」とか書いてあって驚いてみたり。何書いてるか分かんなくなってきましたが、よし、これをUPしたら看板が変わるかどうか実験です。結果は後日。


 カレーというのは各家庭で様々な味付けがしてあったりするして、そこはかとなくオリジナルなものがあったりするのであります。ちくわカレーとか。家のキッチンには茶の間が隣接しているのだが、電灯が茶の間のみしかつけてない状態で、母親が作っといてくれたカレーを温めていたときのこと。さてそろそろ食すべと皿に飯を盛りつけ、お玉でカレーをすくってかけようとして……動きを止めた。赤いものが入っちょります。恥ずかしながら、私はこの赤いものをカレーで食したことはなく、やや動揺しながら周囲を見回し、それがかつて母体としていたものを発見。頷きながら、小皿を取り出して赤いものを隔離。お玉の先で突いてみる。何ということでありましょう、カレーに入れるには大きめなそれは煮込みが足りなかったのか、やけに固いままです。一応念のために鍋の方もかき回して赤いものが自分の皿に移動してこないか確認、注意を払っての夕食になりました。いやいやお笑いめさるな皆の衆。さすがの私でもカレー風味と化したしょうゆのボトルキャップ(あまくち)は食べられないぞ。これで「こいくち」だったら北村薫の小説ばりに「こんちくしょうゆ」でオチをつけたのになあ。甘いよ、甘すぎるよ。


 原付の調子が悪いので、バイク屋に持っていく。1月頃だったかエンジンをやっちゃって5万くらい修理にかかったのでした。その折りに「音がおかしいと思ったらすぐ持って来ないと」とバイク屋のおっさんにいわれたのであります。前は完全に動かなくなったので近くのバイク屋を召喚したわけですが、今回はまだ稼動しているので顔なじみの別の店に駆け込む。こないだ事故ったときから二回ほど駆け込んでは「異音というほどではないですねえ」といわれていたので、今回は「ちょっと音がおかしいような気がしないでもないかなと思うのです」とやや弱気にゴー。ところがバイク屋のにーちゃん、無言で私の原付を作業台に運んでジャッキアップ。やっぱり無言のままエンジンのカバーを外し始めた。別の店ではエンジンばらすだけで6000円とかいわれてたのになあと思いながらも、なかなかばらす工程を見る機会もないので観察することに。やがて中を調べたにーちゃんは部品のひとつを示し、「このクランクシャフトにガタが来てますね」とようやく口を開いた。やたらぴかぴかしたその部品こそ、1月の5万円の中心である。「こないだ別の店で修理してもらったばかりなのですが」とおそるおそるいったら「交換しないとどうしようもない」「いくらかかりますか?」「4万か5万くらいでしょうね」と見積もられてへたり込みそうになる。やむなく修理を頼み、代車を借りることに。


 しばらくそんなわけで代車を乗り回していたのだが、これがまた、私のよりも新時代感覚なシロモノです。技術の進歩というのか世の中便利になったというのか。まず、鍵が長い。これは鍵穴の回る部分が穴のだいぶ奥にあって、イタズラがしにくいようになっております。また収納スペースのロックを解除するのも、これまではシートのそばに鍵を差し込まなくてはならなかったのですが、フツーに前の鍵穴で開くことが可能になりました。さらに鍵を取り出した後、つまみを回せば鍵穴が塞がれます。つまみは閉めるときは簡単に動かせますが、開けません。開くときは、鍵についたパーツを使います。にーちゃんは鍵の持つとこでやや形の変わってる部分を鍵穴の下にはめ込み「磁石の力で開きます」と回して開いて見せてくれた。自分でやってみて何か感動する。おう、磁石の力! 科学の力です。マグネットパワーゴーゴーですよ。これがあれば合体したり変形したりマスク狩りができたり肩こりがとれたりするのです。他にもエンジン音がやたら静かだったり、ブレーキの反応が良かったりと進歩を感じましたです。それはええんですが、収納スペースの後部や左の足下に穴が開いてるのはどうにかならんのでしょうか。外装パーツ取り外してあるんですわ。後日、マイ原付が帰還。5万円ほどかかりました。くっすん。


 修理完了した原付で大学へ。文芸部の院生様にお貸しする本を部室に置いてくる予定なのです。自転車小屋に原付を停車し、本を持ってサークル棟へ。すぐ前を毒々しい感じのオレンジ色なTシャツの人が歩いている。ううむ、この色合いは趣味ではないなあと思いながらも部室前に到着、鍵を開こうとしていると、後ろから「すいません」と声が。振り返ればオレンジ色の人である。外見を描写すれば、そうですなあ、顔の上の毛には不自由しているが顔の下部には毛が有り余っている感じの、ユルんだ落ち武者顔ですな。少なくとも大学生には見えない。「自分○○研の者なんですが」あえてサークル名は伏せる。ともあれ文芸部に用事なのであらう。「前々から短歌や俳句に興味を持ってまして」ほうほう。「そういうのの集まりとかってご存じないですかね」返答に困る私。「ちょっと分かんないですね。文芸部ではあんましやってないジャンルなんじゃないですかね」「どうやったら調べられますかね」「ネットとかで調べたらどうです?」「自分、ネット嫌いなんですよ」この時点ですでに私の中ではアウト。やりたいんだったら嫌いだろうが何だろうがまず調べれや。「図書館とかなら」と問えば「探すキーワードって何ですかね」と返事が来る。こやつ、調べたこともないし、そのつもりもないんじゃないか。さらに宗教勧誘のように話をだらだら続けようとする相手に、「とにかく調べてみんことには分からないでしょう」とだいぶいらいらしてた私は、ブッた切るように応じた。別に知り合いでもなんでもない、熱意も感じられない人の手助けに回す余力はないのです。やがて落ち武者はふらふらと去り、私は部室にようやく入ることができた。で本を置いて去る。ぐったり。


 隣町で見た駐車場の続報である。二度ほど近くへ赴いたのである。一度目、車が停まっていた。小さな金属片っぽいものとか汚れとかはそのままでございました。で入口は封鎖中。ううむ。二度目、車が停まっていた。小さな金属片っぽいものとかはそのままでございました。で入口は封鎖中。ううむ。……はっ。何か風景が変わってないですよ。デジャヴというか。ただ二度目に封鎖してあるとこの横にあるプレートがちらりと見えまして、「専用」という文字が確認できました。何専用なのかいまひとつ分かりませんが。ここで今回の結論。あの停車しているように見える車は、そこをフツーの駐車場に見せるための擬装であり、きっとかぱっと地面が開くと、そこにひっついているような感じなのですよ。おそらく駐車場が疑われていると知った隣町のエージェントにより、ダミー車が置かれたのでしょう。……はっ、そういえば最近身辺にアヤしい人たち(上の方のネタとか参照)が。真相やいかに。果たして私は真実に近付くことができるのでしょうか。期待しないで待て。


 というようなネタはさておき、栗本薫の「グイン」最新刊を読んだ。あるキャラが装うしてなかった形で再登場したりして驚く。あと今回「もうひとりのイシュトヴァーン」がいい感じ。大きな流れの中で今後どう活躍してくれるのか見守りたいところである。てゆーか、今回流れ的には小休止だったので、ちょっち物足りない感じでした。まあ今月は他にも期待の本が結構出るし(「始末屋ジャック」とかソウヤーの三部作の最後とか)、情報によれば来月も西尾維新の最新刊が出るとか。さらに今手元に池上永一の最新作があったりするわけで。ううむ、楽しみなことであるよのう。問題は読むヒマがあるかどうかですな(←大問題である)。






 購入した本:
  六塚光『タマラセ 鉄仮面はメロンパンを夢見る』、有澤透世『世界のキズナ1』、新木伸『あるある! 夢境学園7』、菊池たけし+矢野俊策/F.E.A.R.『異能使いリプレイ 鳴神の巫女』、柴村仁『我が家のお稲荷さま。5』、栗本薫『湖畔のマリニア』、三雲岳斗『アスラクライン2』、成田良悟『世界の中心、針山さん』、古橋秀之『ある日、爆弾がおちてきて』


 読了した本:
  菊池たけし+矢野俊策/F.E.A.R.『異能使いリプレイ 鳴神の巫女』、西尾維新『ニンギョウがニンギョウ』、下関崇子『闘う女。』、新木伸『あるある! 夢境学園7』、六塚光『タマラセ 鉄仮面はメロンパンを夢見る』、栗本薫『湖畔のマリニア』



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