2005年11月。


上旬。


 去年の分の「旬な話」11月分を整理しながら、思った。去年も暑かったのであるなあ。11月に夏日ってどうよ? 扇風機が稼動っていったい……ん、ああ扇風機は今年も稼働してますが。それにしても私の部屋、ようやく夜は23度くらいまで下がるようになりました。外とのギャップで風邪ひきそうになりますけど。


 いつもの花屋の話。こないだSがひとつ抜けてるというスペルミスの話を書いた直後、ちょっと変化がございました。さよう、Cの字がサンタクロースの顔に。つーか、直すとこそこじゃないっちゅーねん。まあCの字の上にサンタをかぶせてあるので、Cの上半分がサンタの帽子のシッポみたいに見えるところが楽しかったりるんですがね。


 先日、予約した本を取りに市立図書館へ赴いた。人から頼まれてた本を探す用事もあったりしたのですけど、行ってみて驚いた。リサイクル本の配布をやってる。そんなんサイトに載ってたか? と思いつつ予約した本を借り出し、頼まれてた本が貸し出し中なのを確認し、リサイクル会場へ。リサイクル本の配布は何度も行ったことがあって、要は図書館で古くなった本やダブってた本を処分する企画である。掘り出しものがあったりしてなかなか入手できない本(ハードカバーとか絶版書とか)を手に入れるにはいい機会である。無料だし(←重要)。で会場で段ボールに入った本を見てたまげた。これって、図書館の蔵書を放出してるんじゃなくて、おそらく寄贈本の類を放出しているんじゃ? 根拠としては、ビニールで製本されてないこと、バーコードシールを貼った形跡がないこと、最後に図書館の蔵書印がないこと。ついでにいえば、山ほどの文庫本を放出するとは思えないので。ざくざくお宝を発掘しながら、ふと受付を見れば、「一人五冊まで」という貼り紙。その時点で片手に十冊本を載せている私はどうしたらええんじゃ。やむなく何冊かを放出し、最小限のものを選択しつつ見て回る。で十冊くらいのセレクトのまま受付に近付き、「これってひとりの人で5冊ってことですか」何を当たり前のことを、と読者諸卿は思われるかもしれないが、こういう解釈もありうる。「ひとり分のカードで5冊ってことですか?」と。ちなみに私はカード二枚所持。それに対して図書館のおっちゃんはこうのたまった。「ああ、何冊でもいいですよ」やや疲れたような声で、とにかく持っていってくださいといった状態。聞いた途端ダッシュで段ボールへ戻り、再びセレクト開始。入手困難というか古本で買うと一冊1500円くらいするサンリオ文庫を中心としたラインナップで、ソフトカバーのでかいのをいくつか、探してたシリーズ本が全五巻のうち四冊まで揃ってたのでそれもゲット。多分残り一冊は積み上げられた段ボールの中に眠っているような気もしたが、時間がなかったので諦める。結局20冊近くゲット。そんだけですませたのは、すでに図書館で借りた本なども考えに入れると、原付に積みきれなくなったからである。ううむ、日頃の行いがよいとこういういいことが起こるのであることよ


 こないだ帰り道にとある書店に行ったときのこと。家の近くにある本屋なんですがね、そこに電撃文庫の新刊が来ておった、と。新書コーナーを見れば、西尾維新の最新刊が出ている。帯の裏を見れば、来春シリーズの限定豪華箱が出るそうで、限定生産24014セット(シリアルナンバー付)。……ええと、その中途半端なセット数は「ニシオイシン」と読めばええんじゃろうなあ。ともあれ西尾維新の新刊発売を待ってる文芸部の人もいるので教えてさしあげねばなるまい。というかその前に自分の用事を、とサイフを覗き込んで固まる。明らかに足りない。ATMに行くより自分の家の方が近い。慌てて原付に乗って帰宅。メールチェックなどしてすぐに本屋へ。ふう、どうにか買うことができました。ついでにもしかしたらほしがってた部員の代わりに買っとく可能性を考えて西尾維新の新刊をキープ。具体的には隣にあった荻原規子本の中に一冊突っ込んだ。あの「空色勾玉」が二冊売れるまでは有効のキープである。電撃は川上稔の新刊を中心に買ったのだが、帯を見て仰天。シリーズもので六巻目が上下同時発売というだけでも驚いたのに、デカデカと「全竜交渉が迎える結末とは!? 「終わりのクロニクル」遂に完結」とか。でもよく見たら、上に小さく「次巻」と書いてあって、それなら完結とかデカく書くなや! てか次巻というのは何冊なんだ。そのシリーズでは第三巻は三冊組(ひとつ500ページくらい)だったしね。で帯の折り返しを見たら、来月刊行予定のところにシリーズの七巻が載ってたりして、二重三重のトラップですよ、奥さん


 ちょっとまた忙しかったりしたので、「ワンダと巨像」はあまり進まず。前回書いたときには五体目を倒したあたりだったが、これ書いてる時点では六体目ヒゲ吉を倒し、七体目三本マストのイールを沈め、八体目四つ足ベムラーと戦ってるあたりでござる。ヒゲ吉はおマヌケさんでしたが、イールで苦戦。アメリカ横断ウルトラクイズか高校生クイズかっていうバトルをやってる最中に初ゲームオーバー。いろいろ考えてようやく倒したんですが、次のベムラーで大苦戦。何がイカんかって、ベムラーめは持続型の範囲攻撃をしかけてきますが、これが壁越えてくるんです。しかも飛び道具だし。すでにベムラーで三度殺されました。一度目は壁越えでダメージが来るのに気づくのが遅れ、二度目は安全地帯へ駆け込む途中の階段に範囲攻撃をかまされて逃げることもできず、三度目は直接よじ登ろうとして吹っ飛ばされ、離れたところへ砲撃。これは銀色の人に変身しないとツラいのかも。まあ以来ちょっとやる時間がまとまって取れなかったので、いずれリベンジ。


 でようやく「ワンダ」買ったときにもらった予約特典のDVDをとっくり見る。面白かったのは、初期バージョンのパイロットムービー。三バージョンくらいのを編集してあるんですが、おそらく最初期と思われるバージョンでは主人公は角の生えた兜をかぶった少年か、兜をかぶった角の生えた少年、これが三人くらい。平原を馬に乗って巨像を追いかけております。巨像の周囲を巡りながら、ひとりが馬から巨像の足に飛びつき、登っていき、もうひとりが別の方向から取りついて登っていき、残ったひとりは空馬とともに巨像の周囲を走り回って気を引いていたり。何だかギャートルズだかゴンだかのマンモス狩りみたい。次のバージョンでは角の生えた兜をかぶった少年だか兜をかぶった角の生えた少年だかがひとりで戦うことになっていて、三番目が完成品に近い、角も兜もない青年が戦うバージョンですか。もっともミョーに巨像の毛がカラフルだったりして、芝生みたいじゃん! て思ったりするんですが。三人くらいでやるバージョンも面白そうですなあ。様々なバージョンのムービーが収録されているので、「おう、この巨像はこんな時期からいたのか」とか「こいつはアレになるんだな」とか楽しいでございます。で他の販促用ムービーとかも見たんですが、かつてCM観た文芸部員の人が「切なそうなゲーム」だと評価してましたが、なるほどムービーだけ観るとそんな気がしないでもない。つーかそういった場面をつないで編集してるっぽい前半と、巨像との悲愴な戦いみたいな後半でたいていのムービーができてるんで。最初に観たのが三人の少年の戦いバージョンだったら、もっと明るい感じを受けた気もします。


 前回ちょっと書いたアニメの「サムライ7」ですが、観終わりました。すんげー面白かったです。特にラストのキクチヨとか「良いねえ」という感じで。で勢いで黒澤明の「七人の侍」もレンタルしてきてとっくり観てみた。ついつい比較しながら観てしまうんですけど、どうアレンジされたかとか、どういう違いを出してるのとか考えると楽しいですな。ということでこの先少々ネタバレするので、読みたくない人は今旬終了でございます。一応○○○をつけますが。


○  ○  ○  ○  ○


 まずストーリーの違いから。オリジナルは農村を襲う野伏せりの一団→野伏せりを追い払うため侍を雇う→侍たち+百姓と野伏せりとの決戦、というシンプルなもの。一方アニメの方では一段深まっていて、基本ラインは同じだが、野伏せりの上に「都の天主」がいて、野伏せりを操って、農村から強制徴収、野伏せりを通して貢ぎ物を得るという社会形態が明かされるので、侍を集める序盤、野伏せりと戦う中盤、「都」を相手にする終盤といった構成となる。さらにオリジナルではなかったマシーンな要素がてんこ盛りで、武士階級が強くなるために己を改造していく裏話(強いやつはますます大きくなっていくとか)、「都」は大戦期の本丸型戦艦だったりとか、野伏せりは機械化した野武士だったりとか、機械化せずに刀でメカを切っていくサムライもいたり、そういったものがからんできます。


 当然ながら、そうした社会背景やストーリーはキャラの配置と相互に影響しあっておるのです。主将格であるカンベエこそ大して違いはないんですが、他の六人はずいぶん違います。

シチロージ:
 オリジナル):カンベエの従者(古女房)。さわやか熱血体育会系で農民を動かす。登場シーンろくになし(いきなりカンベエが連れてくる)。
 アニメ):カンベエの副官(古女房)。剽げた太鼓持ち。カンベエの補佐役。登場シーン(料亭の居候をしている)

ゴロベエ:
 オリジナル):浪人。野伏せり戦ではカンベエの副官役。カンベエの人柄に惚れて参戦。
 アニメ):浪人。大道芸をやっていて、命をやりとりするスリルを求める。

ヘイハチ:
 オリジナル):浪人。ムードメーカー。キクチヨをからかう。
 アニメ):元工兵。一行の機械部門を扱う。土木もやる。

キュウゾウ:
 オリジナル):腕の立つ旅の武芸者。無口だがひそかに人情家。画面の後ろの方でよく笑っている。戦場に真っ先に駆け込んでいく。
アニメ):敵方の用心棒。カンベエと対決し、その決着をつけるため仲間となる。戦場で跳躍しまくって敵を斬りまくる。

カツシロウ:  オリジナル):半人前の若造。カンベエに師事しようとしてついてくる。女と問題を起こすわ、活躍はしないわ、結局大して役に立たない。
 アニメ):半人前の若造。カンベエに師事しようとついてくる。途中人を斬るたびに人相が悪くなり、修羅と化す。

キクチヨ:
 オリジナル):元百姓でおそらく戦災孤児。百姓を抜け出すために侍を目指す。良くも悪くも場の流れをいきなり変えてしまうポジション。
 アニメ):元百姓。百姓を抜け出すために自らを機械化(ポンコツ)して侍を目指す。ムードメーカー。


 おそらくキーになるのは、ヘイハチで、彼が工兵(暗い過去あり)というポジションになったのは、マシン侍や機械がふんだんに出てきて、それに対抗するキャラとしてからむことに。ヘイハチが出てくるまでは主にジャンク屋のマサムネがその役をこなしていたが、いかんせんマサムネは旅についてこない。でヘイハチがオリジナルで持っていた「ムードメーカー」の要素は、キクチヨにスライド。そのためこのポンコツ侍は全体の雰囲気を変えてしまうようなキャラになってしまう。さらにヘイハチの役目が工兵だとすればそれは土木作業にまで及び、オリジナルでそのポジションにいたシチロージの役割が、完全にカンベエの副官にスライド。でそもそもオリジナルではこのポジションにいたゴロベエが割を食う。おそらくこのキャラのカブリがあったからこそ、シチロージの登場がアニメ版では一番遅かったのではあるまいか。オリジナルでは三人目なのに。結局、村に到着し、野伏せりに備えるシーンでは、同じ役割を持つこの二人がワンセットになって行動してるところが印象に残る。さらにそれがあったため、死ぬ順番さえ変わった。オリジナルでは、野伏せりとの第一戦で銃撃されて死ぬのはヘイハチである。アニメでは銃撃されて死ぬのはゴロベエとなっている。ヘイハチが果たす役割が大きくなっていればこそであったろう。もっとも、オリジナルからの名残で、第一戦やっぱりヘイハチは銃撃されて怪我するのだけど。ヘイハチがキーであった証左としては、彼だけが死因が違うということだろうか。他のキャラは、ゴロベエが銃撃、キュウゾウが予想外のところからの銃撃、キクチヨが重傷を負いながらも敵親玉と差し違えて相手を橋の下へ落とす、であるが、ヘイハチはオリジナルで銃撃、アニメでは銃撃を受けた後剣で押しつぶされかかり、最後はおそらく爆死である。キュウゾウやキクチヨもまったく同じというわけではないが、ヘイハチほど変化があったわけではない。こういった点からもヘイハチの差がうかがえる。


 などと勢いにまかせて書いているのだが、ひとつまた思いついた。ヘイハチの役目。カツシロウとのかかわりだ。未熟なカツシロウは暴走したり、失敗したりしてるのだが、アニメ版ではヘイハチが昔の話をしたり、助け出したりとか結構している。オリジナルではなかった要素である。オリジナルではヘイハチはカツシロウとのからみがほとんどなく、カツシロウは暴走とヘマを続け、戦が始まるまではお花畑で寝ころんだり、女と逢い引きしたり、口半開きでおマヌケをさらし続ける。戦がいざ始まると、口は引き締めるが、やっぱり女と逢い引きしたりして無能っぷりを示し続け、そのまま終わってしまう。アニメ版のカツシロウも大して活躍したりしたとも思えぬのだけど、オリジナルのへっぽこ振りはさらに上であった。これも、もしかしたらサポートしてくれるヘイハチの存在の有無があったんじゃなかろうか。


 と熱くヘイハチについて語っている私であるが、好きなキャラはと問われれば、

アニメ:1位キクチヨ、2位ヘイハチ、3位オカラ、4位テッサイ(以下略)
オリジナル:1位キュウゾウ、2位ヨヘエ、3位ヘイハチ、4位キクチヨ(以下略)最下位カツシロウ

 だったり。てゆーか、オリジナルに出てくるあのじーちゃんらぶりぃでいいなあ。たいてい名前呼ばれるときは怒鳴られてるんで、もしかしたら「ヨヘエ」ではなくて「モヘエ」かもしれん。キクチヨとのからみも多く、アニメ版ではコマチがいたポジションなんじゃないかと思うが、反対意見も多いような気もする。


 思うところをテキトーに書いたが、オリジナルの出来はいうまでもないことだが、アニメの方もアレンジは面白いし、作品としてのクライマックスの盛り上がりはオリジナルを越える部分もあろう、ああいったアレンジの仕方、作品の在り方は「あり」だと思う。


 というところでもうやがて日付が変わっちゃうので、そろそろ今回分終了。それにしても何でこう執筆しようとすると忙しくなるのか。「七人の侍」と一緒に借りてきた「カンフーハッスル」も観たいのだけどなあ。あと、「侍」についてはまた何か頭の中でまとまったら書きたいなあ。





 購入した本:
  川上稔『終わりのクロニクル6(上・下)』、高畑京一郎『Hyper Hybrid Organization 00-03』、久住四季『トリックスターズL』


 読了した本:
  大森望『現代SF1500冊回天編1996〜2005』、宮崎柊羽『神様ゲーム2』、荻原規子『白鳥異伝(上・下)』、三浦勇雄『クリスマス上等。』



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