2006年2月。


中旬。


 最近何やら暑かったり寒かったりでうんざりですな。いつも同じ時間帯に通る電光掲示板の温度計が二日で18度も違ってたりするのですよ。てのはある朝−4度だったのが二日後14度だったりしてたわけで。その後順調にがっくんがっくん落ちて−2度とか6度とかに戻ったり上がったり。体調崩すっちゅーに。暖かいときには私の部屋夜暖房なしで20度まで来ましたからねえ。もう春ですな。ぐったり。


 ふぁんたじいぶうむとやらがいまだに続いているのかどうか。まあ「ナルニア」と「ゲド」が映画化されるんで、またそこで一騒動あるんだろうなあと思っていた頃のことである。今年の新刊情報でびっくりどっきりにゅーすをキャッチです。


 にゅーす1。角川から古川日出男『アラビアの夜の種族』がとうとう文庫化ですよ! うーん、これ大好きな話なんですよねえ。ぜひとも解説にはベニー松山を起用していただきたいところですが、角川がそんなシャレたことを考えるかどうか。などと書いても分かる人がどれだけいることか。ベニ松といえば、某「ドラゴンなんちゃら」に登場する甲羅背負った仙人のモデルになった人だったと記憶してますが、ウィザードリィの伝道師としても名高いのですな。その盟友が古川日出男でして、実際古川のデビュー作って、ウィザードリィ小説ですし。んでデビュー作であるウィズ小説(未完)を作中作の形で取り込んで成立したのが『アラビアの夜の種族』なわけで。一方発売後ベニ松本人の言では十日で絶版と決めたウィズ小説『風よ。龍に届いているか』が復活したとき、その末尾にシャレた解説をつけたのが古川日出男だったのです。あー、長かった。ともあれ『アラビア』は面白いので楽しみでございます。でも8月は遠いなあ。とりあえずベニ松読んで気力を高めることに。ちなみに、隣町図書館にはかの『風よ。』の旧版が当然のように蔵書されていたりするのです。さすがでございます。古川のウィズ本持ってる私も私ですが。そうそう、興味のある向きに『アラビア』のあらすじを紹介。ボナパルトが攻めてくる寸前の某国、過去の栄光にとらわれたまま何の対策もしない貴族たちの中、ひとりだけ情報収集に努め、このままじゃ危ないんじゃないかと考える貴族がいた。立場的には首相クラスのそのおっさん、筆頭秘書(立場は奴隷)の献策にごーさいんを出す。すなわち、過去あまりの中毒性により読者を破滅させてきた伝説の本をボナパルトの手に入るようにして、ボナパルトを破滅させようというもの。ところが、実際はそんな本は存在しておらず、物語る女に複数の物語を語らせ、突貫工事のように本を作っていく筆頭秘書。女の語る物語は錯綜し、絡み合い、やがてひとつになっていく。その一方でフランス軍の侵攻は刻一刻と進んでいく、というもの。最終的には「本と人のどちらが優れているか」みたいな話に収束していくわけです。


 にゅーす2。某ファンタジー名作が復刊するとか。未訳三作を含めて全六冊と聞いておいおいおい本当かよと思ったわけで。なぜなら旧版が七冊か八冊くらいだったような気がするわけで。よくよく情報を吟味してみたら、旧版が合本されてますですよ。それで新訳の分が入ってくるんですな。うーん、「アルスラーン商法」? と引っ張ったところで、いったい何が復刊かというと、すでに一冊目は来月発売されるんですがね。大雑把にいうと、「アルビノでジャンキーで虚弱体質な皇帝が魔剣でラリって恋人どころか自分の帝国攻め滅ぼしちゃったり、愛する人を次々と殺っちゃうファンタジー」ってところですかね。分かる人にはもうお分かりでありましょうが、さよう、「エルリック・サーガ」でございます。


 にゅーす3。五代ゆうの名ファンタジー『〈骨牌使い〉の鏡』がとうとう復刊されます。しかも文庫で分冊。富士見書房は新人の育成がうまくないと思いますが、ようやく改心したのでしょうか。五代ゆうといったらかなり昔に富士見ファンタジアで大賞を獲り、その後あんまし名を成すこともなく前述の単行本も消え、しかし口コミとかで有名になってて、他者でちょびちょび本出してた人ですな。ともあれ『鏡』は来月から発売ということで、雑賀礼史の「リアルバウト」新刊と合わせて楽しみなところでございます。


 いやーでもこうやって復刊とかが続くと、去年話題にしてた「ソーサリー」とか「ドルアーガ」とかブレナンとかもそうですが、嬉しいものですなあ。「ドラゴンランス」も蘇ったりしたし。これであと復活というか訳の続きを出してほしいのは、出版社がツブれたマーセデス・ラッキーの「ヴァルデマール年代記」と主訳者の急逝で頓挫したマーティン他の「ワイルドカード」シリーズですかな。前者はラッキーの同世界の他シリーズを出してるわけだし、後者は元々訳本出してる東京創元社にひとつ頑張ってもらいたいとこですな。


 栗本薫『ボルボロスの追跡』を読む。例によって「グイン・サーガ」なのだけれど、今回の感想はただ一言「それでええんか、風の騎士」に尽きよう。散々引っ張った挙げ句、あんな結末とは。とほほ……な感じが否めなかったり。とはいえそれは話自体が面白くないわけじゃなくて、予想外の展開で、風の騎士がとほほだったわけで。うーん、どんどん話が脱線してるというか変な道中記になってますが。今後どーなるんでしょうか。


 隣町図書館に行った帰り、信号が赤になったのでスピードを緩めていたところ、前にいた車がミョーにすばしっこい動きですとんと停車した。ふむ。何やらくらしっくな感じの車ですよ? 私自身は車にゃあんまし興味ないんですがね。イマドキの車は尻に車種が書いてあったりするでございましょう。この車はというと、小さくTOYOPETとあるだけ。ナンバーは熊5だし。信号青になってから気づきましたが、ウインカーとブレーキランプが兼用ですな。赤いのがちかちかしてるし。うーん。隣町ではこんなんが走ってるんですなあ。と思った直後、私を追い抜いていった車は、やけにタイヤが大きい。ぼでーからはみ出している様は、どことなく……チョロQ? ナンバープレートにマンホールの蓋でも挟んだらウイリーするんじゃないだろうかと思わせるフォルムでした。隣町恐るべし。さらにその帰り道、トラックの前ミラーに気づく。はて? この手の車やバスには片っぽにミラーが二つついていて、通常の後ろをフォローするミラーと、運転席から見えにくい前を見るためのものだったりするわけですよ。が、私が見たのは、通常のものと上を向いたミラー。ミラーの角度が間違ってるとかじゃなくて、通常の物の上部に固定されていたので(前や下を見るのは通常のミラーの下部に固定されているから)、間違ってるわけではない。しばらく走りながら考えていて、閃いた。おう、これは高さ制限に引っかかるかどうかを見てるんですな! と納得、しかかって止まる。さて、あのミラーの位置から天井が引っかかるかどうかって見えるもんなんじゃろうか。トラックどころかバスにも滅多に乗らないし、車の運転もしない私にはよく分からない。とりあえずこーゆーものが目撃される隣町はいいところでございます。ネタ提供してくれるし


 GA文庫なる聞き慣れぬレーベルで川崎康宏の本が出ているのを発見。しかもスチームパンクとか書いてあるし。スチームパンクって雰囲気が好きな私としては、つい購入。どうやらGA文庫って最近立ち上がったばかりのレーベルのようでございます。えーとソフトバンクですか。ライトノベルのレーベル立ち上げるときは、新規参入だとめぼしい作家とかいないから他のレーベルの埋もれちゃって幾星霜みたいな作家を掘り出したりするんだよねえ、川崎って『銃と魔法』で富士見ファンタジアの賞獲ってデビューして他のレーベルでちょこちょこ書いてたりしていたわけで、などと思ってたらあとがきのそーゆーことが書いてあって笑っちゃっいましたよ。他にどんな本がこっから出ているものかと巻末にあるレーベルの他の本紹介ページをつらつら眺めようとして、変な色した名前を発見。ふむ、作者名のところにシールが上っかぶせで貼ってありますな。とりあえず裏側から透かして見る。なるほど、作者名が同じレーベルから出てる数ページ後に出てくる人と間違えられてます。それを一枚一枚シール貼って修正してるわけですねえ。てか気づけって話ですが、先行き不安なレーベルな気がするのは私だけでしょうか。


 空いた時間にちょこちょこと「青森ガンパレ」がんばってます。がこないだのプレイから少ししたところでスキュラの群れの猛攻撃を食らい、にっちもさっちも行かなくなったというかどうあがいても戦力的に戦死間違いなしといった状況になってしまったのでございます。んで結局戦死の道を選び、ゲームは再び振り出しへ。てからせんの二周目でございます。どうなったかというと、前プレイの主人公のパラメーターはそのまま、つまり成長した状態で再スタート。同じキャラを主人公にすると育てる手間が省けるし、別キャラで始めて、前主人公が仲間になっていると頼れる部下となるわけで(登場しない可能性もあるけど)。ともあれ別キャラで始めてちまちま成長させ、今度は優先的に部下の信頼度をアップさせて軍備も整えているところです。それにしても、らせんのシステムがあると、ゲームオーバーになっても、次のらせんでは死ににくくなるってのはいいですねえ。アルファシステムのこの手のゲームでは、プレイヤーがゲームを通じてゲーム世界にアクセスするという設定であり、操作するキャラはプレイヤーの端末という設定なので、SFちっくで好きだなあ。ともあれ、そろそろスキュラとか空飛び系の敵が出現してくる頃なのでどうなることやら。






 購入した本:
  グレッグ・イーガン『ディアスポラ』、梶尾真治『ヤミナベ・ポリスのミイラ男』、竹内真『オアシス』、川崎康宏『ガジェット・ポップ』、矢野俊策・稲葉義明/F.E.A.R.『消え去りし楽園』、伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』、ろくごまるに『最後の宝貝』、水野良『牧歌の国の魔法戦士』


 読了した本:
  栗本薫『ボルボロスの追跡』、畠中恵『アコギなのかリッパなのか』、三雲岳斗『アスラクライン3』、矢治哲典『ワンダフル・ワンダリング・サーガ』、ベニー松山『隣り合わせの灰と青春』『風よ。龍に届いているか(上・下)』



←少し過去へ    少し未来へ→

 戻る