2006年5月。


上旬。


 さてゴールデンウィークも終わったわけですが、みなさまいかがお過ごしだったでせうか。私はといえば、前回のようなドタバタな書き方をしていたので、もしかしたら連休なんかなかったんじゃないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありませんよう。いわゆる連休の谷間もなく、ちゃんと五連休でございました。さよう、日→水→木→金→日でほーら五連休。谷間もありません、主観的には。ともあれ、たまっていたテレビ録画分を片づけたり、図書館に行ったり、本屋に行ったりしておりました。急に気温が上がったり下がったりしてるせいでしょうか。気温はいきなり七月だか六月だかの陽気になったのはご存じのとーり。。我が部屋は室温30度を突破(ファンヒーター計測)し、さすがに扇風機を導入しました。ただ寒暖の差がかなりひどいせいか、風邪でもひいたらしく喉の具合がよろしくない。ぐう、ついでに頭痛もしていたり。まあこれ書いてる今も時折げほごほやってたりするんです。


 恩田陸の『チョコレートコスモス』を読了。どうもこの恩田陸、多分読んだことのある人には分かるだろうが、作品によって好みがくっきり分かれるような気がしてならない。私の場合、「満腹満腹」と感じる作品と「うーん、ちょっと食い足りないなあ」という作品が分かれる。ページ数が少なくても満足するものもあるし、逆に量は多いのに物足りない気がするものがあるのは、物語が要求しているページ数に合ってないのかもしれない。ちなみに私の好みでは『ねじの回転』とか『夜のピクニック』とか『光の帝国』とか『木曜組曲』とか『六番目の小夜子』とか『三月は深き紅の淵を』とかが満足度高し。反対に『蒲公英草紙』や『ネクロポリス』や『MAZE』辺りは物足りない。んで、『チョコレートコスモス』はというと、後者。役者の物語で盛り上がるしうまいし面白いんですが、こっからオーディションに受かって役者になるってとこまできて「ここで終わり!?」と愕然とするわけです。他のキャラたちがフォローもなくほったらかしにされてたりしてて、うむ、芸事を極めるためにはこうして消えていく連中が必要なんであるか、などと感じてみたりするが、それは正しい読み方なんじゃろうか。謎のキャラとして周辺の人物の視点から描かれていたキャラが、中盤突然「ここでこのキャラの生い立ちについて語ろう」とかいきなり中心人物になったりしていささかバランスに欠けるかなという気はした。全体としては、「こっから物語が始まるんじゃないか」というところ。あるいは「物語が始まるまでの物語」ってとこ。そうそう、役者の話だからか読んでいて「ザ・スター」という古いマンガ思い出しました。


 『チョコレートコスモス』で不完全燃焼だったので、今度は成田良悟に取りかかる。「越佐大橋」シリーズが今度10日頃に出る電撃文庫新刊で完結するので、ためていた『がるぐる!(上)』も含めて一気に読む。うむ、面白いでーす。惜しむらくは、すんごい勢いで読んでしまったので、新刊の発売まで間が空いちゃった。「バネ足ジョップリン」というキャラがお気に入り。早く出ないかなあと思いつつ本屋をうろつき、「がるぐる!」の無料ポストカードをひとつかみゲットしたり。収穫でございます。


 間が空いちゃったので、そういやこんなん買ったなあと思い出した安田大サーカス『クロちゃんの幻想』、じゃないや、恩田陸の『黒と茶の幻想』を読み出す。四十近い男女が屋久島を旅して、昔のことをしゃべったり回想したり現在のことを語ったりするだけの話ですが、これも私好きだなあ。たらたらと上巻読了。


 原付でとろとろ走ってたら、あまりにいい天気で、並木の間から空が見えると、つい筆しらべしたくなります。筆しらべつったら、前回ちょっと書いたカプコンの「大神」の技ですな。すんごくいい天気で暑かったので、さっと月を描いて夜に変えられたら涼しかろうなあなんて思ったり。うわ、この感覚、前に「塊魂」にハマったときにでっかいものを見るたび「これは○メートルくらいだから巻き込むのには」などと考えてたときと似てますよ。それくらいハマってるってことですな。といっても連休明けたらなかなかやる機会がなくて、20時間くらいで止まってます。もうちっと時間取ってやりたいなあ。


 原付でとろとろとあちこち回ってたんですが、とある中古屋でコミックやゲームを物色しようとしたときのこと。レジの横にモニターがあって新作ゲームのデモなんかやってるわけです。そっから二メートルくらい離れた通路の床にひとりのオババがあぐらかいて食い入るように「少年ヤンガスと不思議のダンジョン」のデモを見てたのです。うわ、何か怖っ。しかも誰もオババの方を見ません。通路を通りません。ほら、夏の怪談ものの再現VTRとかで出てくる感じのオババですよ。もしかしたら、これはここに憑いてるモノなのかもしれません。私はオババの方をあまり見ないようにしながら、そそくさとショップを出て、近くにある本屋に避難。目当ての本もなかったので、原付停車してたので再び中古屋へ。するとタイミングよくオババが孫らしき少年とともに店から出てくるのに遭遇。おわ、「オババが立った! オババが立った!」と古いアニメのセリフのように内心呟いてみたり。てかオババ、座ってても違和感あったが、立ってても違和感あるなあ。


 本屋をいくつか巡り、目的本のひとつであった『とるこ日記』ゲット。引きこもり作家トリオのまったり旅日記です。全体のおおよそ半分がツッコミです(左のページが本文、右のページがツッコミで、ツッコミの方が量が多い)。トルコまで行って、「ロマサガ」のようだ、とか「ICO」に出てきたみたい、とか「mp3と聞くと『マジックポイント残り3』だととっさに思う」「またつまらぬものを撮ってしまった」とかいってます。ただ、これを買って後悔したこと。しばらく前に文芸部の後輩に「乙一の『小生物語』を買ったが借りないか」みたいなことをいわれて、「うーん、前読んだしいいや」と断ったこと。くわー、買ったその足で図書館をいくつか回ってウソWEB日記『小生物語』借りてきましたです。読んでみたらけっこうリンクしてるんですよ。トルコに行った話とか出てるし。うむ、借りれるときに借りとくべきだったですな、私。反省


 ぼんやりとテレビを観てたら、福岡のとある高校の部活を紹介していた。すいません、私寡聞にしてよく知らなかったのですが、「たたら部」というのは高校の部活として成立するのでしょうか? 何やらカマ作って火焚いてますよ、ゴツい防護服着て棒で掻き出してますよ? 宇宙服というかバイオハザードレベル4に対応してるような防護服なんで、ありゃあ立派な「一本だたら」にはなれんでしょうな。それなりのましーんとか器具とかありそうだし。でもまあ、以前読んだ本で鍛冶とかの技能は後継者が少なくて、どんどんすたれてってるらしいし、こーゆー高校生にはがむばってもらいたいなあ。立派なたたら場を作るのだよ。


 プレステ3の値段に関する新聞記事を眺める。ハードディスクが20ギガと60ギガのがあるらしい。大きい方については書いてなかったのだけれど、20ギガの方は6万以上するそうな。んで何故か記事は某SE社のことが書いてあったりして。有名RPGの片方はニンテンドーへ、片方はソニーで展開するっぽい。まあ私はダブル有名RPGがどのハードで新作出そうがももはや興味ないが。任天堂もソニーもキラーソフトとして有名作品はほしいところだろうし、某SE社の片割れはそーゆーバランスを見切って売り込んできたわけだし、今回も両天秤なんでしょうな。でもユーザーからすれば、「どっちででも出せばいいやん」と思うんじゃないかなあ。現にいくつかのハードで同時発売とかやってる会社もあるんだし。あるいは移植するとか。まあそうするとソフト会社としてはソフトの価値が落ちるんでしょうな。私の中の有名RPGの価値なんてないに等しいですけどね。


 タンゴの節句、といえば、男の子の成長を祝って皆でタンゴを踊る奇祭であったと記憶しているが、ところかわればいろいろありました。イトコのとこで長男が生まれたとき、初タンゴでは一族郎党近所の人たちまで集って、よろづのことに使うために野山にまじりて竹を採ったのであります。ちょうど雨降った後だったのでぬかるみにずぶずぶになったりしながら竹を選び、巨大な竹の枝を切り落とし、田舎だったために道は空いていたけれど、逆に田舎が災いして狭い上に曲がった道が多くて、皆で苦労しながら竹を数本運んだものである。ちなみに竹を立てて、補助用の櫓を組んでる最中に竹が落ちてきて、私を直撃したのも微笑ましいエピソードである。危うく青竹で脳天唐竹割りされるとこでしたが。……というようなことがあったイトコどのの息子も今年から小学生だそうで。顔出すたびに元気にうろちょろしてるのを見てたんですが、今年のタンゴも何かお祝いだか口実にしての集会だかが催された様子。もっとも私は不参加でしたが、子どもって成長するもんですなあ。こないだ会ったときには恐竜キングだか何だかハマってましたが。大きくなれよー、な感じですね。


 連休明け、久々の月曜だったので、文芸部に顔を出してみたりする。院生さまにお借りしていた西尾維新本を返却、後輩に成田良悟の本とかを貸したりするのが目的。部会に出てみたら、新入部員が二人いてびっくり。何か怪しげでマニアックな話(主にテレビの話)をしてましたが、こーゆーときに限って対応できるであろう院生さまがいなかったりするのです。他の部員にも答えられないような質問が出たりして、「いったいこやつどこの産物だ?」と問うてみれば「宮崎」とのこと。何となく納得したりして。ともあれ、部に定着してほしいもんです。あ、本来の目的であった西尾維新本の院生さまも成田良悟本の後輩も来てなかったんで、本はどかどかと部室に置いてきました。


 土砂降りの夕方、原付でガソリンスタンドへ。オイルランプがぺかぺかしてたので、それも給油でございます。入ったら、客がいなくて暇だったのか、わらわらとスタンドの人たちが寄ってきましたよ。って、原付一台に店員四人は多すぎじゃ? 内訳:ガソリン給油1名、エンジンオイル給油1名、空気圧測定1名、空気圧測定見学1名。最初、店員二人が前タイヤのとこでしゃがんでごそごそやってたんで何ぞ問題発生か、と思ったら空気圧測定してたらしい。原付でガソリンスタンド入ってそんなんしてもらうの初めてですよ私。ガソリン終了、オイル終了、ってあれ、二人ほど後輪とこでしゃがんだままです。も、問題あったかな? あんまり調子よくないしなあ。レジんとこでお金払って原付戻ってもまだ二人いるし。慣れない事態にどきどきしながら「何かありましたかあ?」と尋ねると、二人はさっと立ち上がり、「おっけーです」と応じた。うむ、おっけーならおっけーでとっとと終わんなさいよ。多分、見学してた方が新人で研修みたいなもんだったんでしょうが。


 その後、『がるぐる!』とか買いに本屋へ。うーむ、ない。北村薫の『街の灯』も文庫化されるってんで探してみたものの、まだ。某「エルリック」の新刊もまだ。うひゅう。収穫は伊坂幸太郎の『陽気なギャングが地球を回す』の続編が出てたことですか。こりは図書館に注文しなければ。などと思いながらいつもの本屋の本を眺めていて、ふと顔を上げると、本棚の上にぽっかりのび太(仮名)の首がっ! おわっ、びっくりした。のび太めは背が高いので、本棚の向こうで何かやってると、首から上だけが見えるようです。もっとも私が発見したときには無表情にこちらを見てたみたいで、けっこう驚いたですよ。のび太が棚の向こうでどんなドジをやってるのかは分かりませんでしたが、今までの観測じゃあ何かやってるのは間違いないところだったでしょう。とりあえず買う本がなかったので、今回の観察終了。


 ああ、そうそう、忘れるところでしたが、このへっぽこサイト、二周年だったようですな。思えば二年前、開始した途端パソコンが死にかけた挙げ句、ホントにお亡くなりになったりとかいろいろ波瀾万丈ございました。さすがに二年前と比べるとコンテンツも充実してきた……というほどでもないですねえ。いやいや、容量的にはフリーで使える分のすでに3%ちょいくらいを使ってますよ。大きくなりました。このペースで行くと、あと60年くらいしたら容量の心配をしなくてはなりませんな。ご利用は計画的に。






 購入した本:
  安田均『ゲームを斬る』、小林正親『ソングシーカー』、東亮太『マキゾエホリック Case2:大邪神という名の記号』、菊池たけし+稲葉義明/F.E.A.R『ハイデルランド英雄譚』、定金伸治・乙一・松原真琴『とるこ日記』

 読了した本:
  唐沢俊一『奇人怪人偏愛記』、恩田陸『チョコレートコスモス』『黒と茶の幻想(上)』、宝島社『西尾維新クロニクル』、乙一『小生物語』、定金伸治・乙一・松原真琴『とるこ日記』、菊池たけし+稲葉義明/F.E.A.R『ハイデルランド英雄譚』、成田良悟『バウワウ!』『MewMew!』『がるぐる!(上)』、安田均『ゲームを斬る』、久住四季『トリックスターズD』


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