2006年5月。


中旬。


 いやあ、このへっぽこペエジを読んでくださってる奇特な方はご存じかと思いますが、最近忙しくってヘバり気味って感じなわけですよ。だから、というわけでもないんですが、文芸部の先輩後輩とちょっと飲みに行くことになりました……宮崎へ。いや突然出た話じゃないですよ? ちゃんと記録に残っています。去年の8月下旬辺りに。結局、スケジュールのやりくりなど結構難しくて、結局私とお役人様が行くことになりました。まあ、前々からお役人様が車を出してくれるという話だったんで、私も参加できることになったのです。感謝でございますですよはい。宿はお役人様御用達のとこを頼んでいただき、お店は宮崎に在住の飲んだくれるもの様にお願いして、私完全にお任せモードですよ。宿が確保できたという知らせが来たのが4日前。お役人様の移動スケジュールなんて私が知ったの前日ですからね。ちなみにその移動スケジュール、メールで来たんですが、「(福岡を)1時に出るので熊本近辺は2時通過予定」って熊本近辺ってどこを基準にしていらっしゃるのかって感じのアバウトさだったり。さらには翌日用事があるので配偶者とお子さんが同乗するということが何気なしに書かれていたりもするわけで。いったいこりゃ何事かと思ったら、メールの最後にこんなことが。「君のパラメータは解説すみ」くわー、いったいお役人様は何を説明なさったのか。ともあれ私がぐれーとで聖人君子だということはバレてるわけですな。会ったこともない配偶者様とお子様に対してどういったキャラ作りをしていこうかと悩むところでございます。


 さてさて当日。合流時刻は2時くらいなんで、午前中ぽちぽち「大神」プレイしたり、文芸部の院生様とメールのやり取りなどする。「ゲド戦記」の映画化に関する情報がメイン。大賢人ゲドが影に追われる少年と出会う話だそうで、そりゃいろいろと混じっちょるのう。しかもずぶずぶのジブリ絵で、影なんてもののけチックだとか。私の最終コメント、「それはゲドのアニメ化じゃなくて、ジブリの新作に似た名前をつけてるだけじゃないのかなあ?」前回文芸部の部会に出たときの私が吐いた有名RPGXII評「オープニングムービーの後でエンドマークが出れば良かったんじゃないか?」に並ぶ鬼のようなコメントである。軽く朝食兼昼食を摂って11時頃にお出かけ。そうそうお役人様に以後の連絡はメールでと伝える。もちろん、ケータイの方に、という意味である。おうそうそう、忘れないように、家にあったお徳用チョコレートの袋をひっつかんで持っていく。レンタルDVDを返却し、図書館に本を返却し、予約してた本を受け取り、コンビニに行ってのど飴を二袋購入。まだ喉の調子がおかしくて時折げほごほしてたせいである。


 待ち合わせの場所に到着したのが1時半過ぎ。相変わらず時刻には律儀な人なんである。天気はぐずついていて、ぱらぱらと雨が降ったり止んだりしている。高速内にある高速バス乗り場で待っていたのだが、傘振り回して不思議な踊りをしたり、のど飴食らったり、バスが来たら慌てて退いたりといった行動を繰り返す。ここで分かったことといったら、思ったより高速バスって走ってるのね、てこと。5分置きくらいにバス停に来るのよ。やがて左ウインカーを出して寄せてくる車を発見。おう、時間的にも2時くらいですな、これですなこれですよ。と喜んだのもつかの間、見も知らぬ人たちで、降りたおばちゃんはそそくさと高速を離脱していった。いらぬ気を回す私としては、これはもしかしたら高速バス乗り場ってのは、高速内じゃなくて、インターの外にあるやつのことではあるまいか、もしかしたら熊本まで下の道を通って、熊本インターから高速に乗る意味だったのでは、いやいや、でも私インター間にあるバス乗り場を指定してたわけで、違ってたら指摘してくれるだろう。と思考を空転させながら、傘を振り回しておりました。ようやくそれっぽい車が接近してきて、本人だと判明して、車に乗り込む。場所が場所だけにとっとと発進。後部座席にいらっしゃった配偶者様とお子様にご挨拶をする。「どうもはじめましてー。これつまんないもんですけど、よろしかったらどーぞ」と家からこのために持ってきた対ご家族用ウエポンお徳用チョコレートを取り出す。差し出したらお子様の目がきらきらとしてて、おう、こりゃファーストコンタクトに成功しましたですよ。いやあ、実際は結構迷っていたのです。菓子の類を嫌がられる家庭もあるという話も聞いてますしね。もしダメだったらフルーツ系ののど飴でも渡そうかと第二案もあったり。お役人様にあらかじめ聞いておけば一発だったんでしょうが、そんなことしたら、「いらん気を回さなくてよい」といわれそうだし。


 ともあれテキトーに話をしつつ高速を突っ走る我々。んで、いきなり判明したこと。お役人様は私のケータイの番号を登録されておりませなんだ。さらに出発したとか、あとちょっとで着くといったメールはパソの方に送られてたようで。何ですかそりゃー。あ、ご家族に説明されてた私のことってのは、どうも『指輪物語』に詳しい人ってことだったようで。お役人様も詳しいんですけどね。何でも例の映画観て、お役人様が旅の地図を描いていたら話が進むにつれて紙が足りなくなってきたなどという話をされる。ううむ、申し訳ないですけど、いまだ映画観てないんすわー、とあらかじめの説明を根底から覆すようなセリフにひどく驚かれる。4枚組のDVDを3本ちゃんと持ってはいるんですけどねえ。なかなか観る暇がないのです。そうこうするうちに、とーとつにお子様が運転中のお役人様に話しかける。「おともだちにしりとりおしえてあげてー」どうやらしりとりをしたいお年頃のようである。「うわぁ、しりとりって何ですか?」と私がボケる前にお役人様が「しりとりくらい誰でも知っとるわっ」とツッコむ。それから、お子様→お役人様→私→お子様といったサイクルでしりとり開始。こうしてお子様と接していると思うんですよねえ、しりとりって結局自分が今まで関わってきたり知ったりしたことの中から言葉を出すわけじゃないですか。大人になってみればいろんな選択肢があってほとんどドローになるのは当然で、でも子どもって語彙が少ないからスリリングなんでしょうね。感覚的には「どこでもいっしょ」のトロとかに言葉を教えてってしりとりをやるような感じが近いんでしょうか。なんてことを考えつつしりとりしてたんですが、なかなか勝負がつかなくて、そのうちお役人様から来た言葉をひたすら「り」でお子様に打ち込む大人げない私。さらにそれをお子様が「形容詞」「形容詞+名詞」などで返しだして事態は一層泥沼化していく。「立派な男の子の男」とか。それでも延々続き、やがてお子様が飽きたところで終了。テキトーな話に戻る我々。それにしても宮崎遠いですなあ。個人的にはずいぶん前に高森から宮崎の県境を越えたのが、前に宮崎に入ったことで、その前ったら、文芸部の夏合宿で青島行ったことくらいですかね。熊本から見たらどうしても宮崎方面には高千穂があるわけで、そこは神々の土地で、旧支配者様発祥の地でもあるわけです。あ、ちなみに旧支配者様は職場でお泊まり会だかがあるので不参加でした。個人的には高千穂ルートも好きなんですが、今回は高速乗ってることからも分かるように神々の国を大きく迂回するルートなわけでございます。途中のサービスエリアでトイレ休憩を取ることに。売店の「明太子チップス」とか「黒豚チップス」とか「天草産車海老チップス」とか500円くらいで売ってるのが気にかかったりかからなかったり。「そういや、おみやげとか持ってきてないぞ」とお役人様。すかさず私は「あ、おみやげ持ってきてますよ、お酒、佐渡の」って、熊本と福岡から宮崎に来た客に佐渡のおみやげをもらう元鹿児島人ってのはどうなの? このお酒、我が両親が佐渡旅行したときのおみやげで、家では飲酒する習慣がない私は、いずれどっかの飲み会があったら持っていこうと計画していたのでございました。めでたしめでたし。


 高速を降りた辺りで飲んだくれるもの様からお役人様にお電話。代わりに私が出る。こーゆーこともあろうかと、お役人様のマネの練習をしていたのだが、めんどくさくなったのであっさり素でしゃべる。今飲んだくれるもの様は眷属の三人目を体内に宿しておいでなんである。移動は面倒くさいんだろうことが推測される状態で。「今どこですか」「高速降りたとこー」この期に及んでまだ待ち合わせ時間、場所、宴の店すら知らぬ我々。私にいたっては宮崎市内に入ったのに自分の泊まるところも分かってない。「今、ダンナがパチンコ出てるんですよー、戻ってきたらいつでも出れます」とかいう話を聞き、とりあえずホテルに落ち着いてから合流ということになる。「あのさー、今までいってなかったんだけど」とお役人様。「泊まるとこ違うんだよねえ」はぁ? 要は御用達の宿が二部屋確保できなかったっぽい。「それで悪いんだけど」と前置きして、私は偽名で泊まらねばならぬと宣告。「でないと安くならないんだよ」了解です、何とかなるでしょう。しかも利用チケット忘れてきたというおまけつき。もっともこれについてはホテル側に連絡されてて後日郵送ということになっていた。まあいいです、何とかなるでしょう。念のため、お役人様の電話、住所等を教えていただく。「それから、明日は2時くらいまで用があるから、それまで暇を潰しておくように」という新設定が追加。聞けば、どうやら家族でいらっしゃったのは、めったに会えない方がこちらにいらして、そんでいい機会だからとそちらとのコンタクトもセッティングされてたという裏事情。チェックアウトが10時として4時間くらい放置ですか。途中TSUTAYAを発見し、最悪ここで立ち読みでもしてればいいかと考える。まあ荷物の中にはこーゆーこともあろうかと本を数冊持ってきてるし、おっけーです、何とかなるでしょう。そっからホテルとかの話になり、お子様は以前泊まったホテルがよほど印象良かったようで、そこを「家」だと信じてるとか、そういった微笑ましいエピソードがあったり。そろそろ着くってんで、荷物がさごそやってて思い出す。ああ第三案用のアイテム「よつばと!」の試供品発掘。のでとりあえずお子様にプレゼントする。



 お役人様の車から降りてホテルを探し、到達。出された紙にサインし、「これは住所も書くのか」と問うと、別に書かなくてもよいということだったのでメンドーがひとつ消えてほっとする。拍子抜けするほどあっさり鍵を渡される。ううむ、お役所の威光なのかもしれませんね。鍵を持って部屋の前に行く。慣れてないもんでなかなか鍵が開かなくてどきどきしたりする。荷物置いて、お役人様にワンコールして、何か場所とか分かったら電話してくださいとメッセージ。落ち着いたところで、部屋入ってすぐにある電源のスイッチがソケットになっていて、ここに差し込むと部屋の電気が使えるようになる、ということに気づく。差し込むものが何なのか分からなくて、部屋の中を数分うろうろして閃く。鍵についてるプレートを差し込めばよかったんですが、「ゼルダの伝説」とかでアイテムの使い方を発見した気分です。ことに突っ込んだら電気がついたので一層嬉しかったり。テレビ点けたりしてるうちに、お役人様から電話が入る。もうすぐ飲んだくれるもの様が到着するので、山形屋の前で待っておくように、とのこと。山形屋は大通りの交差点のとこにあって、来るときに通ったし、看板が部屋の窓から見えますよ。とりあえずホテルから出発。山形屋付近をうろちょろして、宮崎の雰囲気を味わう。人通りを眺めつつ、思う。「山形屋の前、といった場合どこを指すのであろうか」交差点の角にあるので、それぞれの通りに面した部分と角っこの部分があって、三カ所とも目標にはしやすそうである。熊本の人に分かりやすくたとえれば、鶴屋前、大劇前、パルコ前なんである。が、パルコ前っぽい一番目立つような気がする角で待つことにする。いや、まあその辺を走り回ってタイムを計測している体育会系のにーちゃんずとか、カーネーション売ってるねーちゃんずとかとっ捕まえて聞いてもよかったんですがねえ、ぼけーっと待ってるってのも味があってよろしいんじゃないかと。やがてやってこられた飲んだくれるもの様にはオプションがついていた。小さな眷属さん(2)がいらっしゃったのである。持ってきたリュックの中からのど飴を取りだし、ファーストコンタクトですよ。人見知りしてるのか、最初なかなか受け取ってもらえなかったが、どうにかコンタクトには成功。飲んだくれるもの様は、私がひとりで待ってたのを不思議に思ったようで、お役人様はと尋ねられる。かくかくしかじかで家族連れでホテルがちょっと離れてるんでさあ、と説明する。そーゆーことかと納得される。三人で待ってる間に「そういえば」と思い出される。私のケータイの番号を入れてなかったという、どっかで聞いたような話である。てか、飲んだくれるもの様、あなた去年私に電話かけてきやしませんでしたか? 「いやあ、トイレに落として、慌てて拾い上げたがデータが飛んじゃったんですよ」と苦笑する。「しかも使用後」と何故こうも文芸部員は私にネタを提供したがるのか。とりあえずワンコールして登録してもらう。近況とかをぽちぽち話していると、お役人様登場。少し話したところで、移動開始である。


 飲んだくれるもの様に案内されて我々は宮崎の繁華街らしきところを歩いていく。目指すお店は、ネットで探し出したとこらしくて、予約も何もしてないとか。まあ入れなかったら、別の店を探してテキトーに入るのが、それっぽくていいのかもしれません。行ってみたらお店はすんなり入れまして、腰を落ち着けて「とりあえず生」プラス、眷属さんのためにノンアルコール。ぐっとビールを飲んで、さて何を注文しようかとメニューを見る。いくつか注文しようとして、そこでデコな店長に我々がヨソ者だとバレたので、いろいろとオススメやらを聞き出す。やってきた地鶏がうまいことうまいこと。やがてビールから焼酎にステップアップ。その間、子育て談義とか近況とかいろいろな話が飛び交う。よもや飲んだくれるもの様が子育てについて語る日が来るとは! と失礼なことを思ったり。あちこち駆け回っては戻ってくる眷属さん(居酒屋とかはすでに常連)に時折のど飴を与える私はすっかり「飴の人」として認識されているようだった。多分お役人様のとこのお子様には「チョコレートの人」であろう。いや、私なりに気をつかってたんですよ。お役人様んとこの一家団欒時空を壊すんじゃないかとか心配してましたしね。というとお役人様は私が家族と会うことに関してはまったく心配してなかったとか。むしろ、予想以上にあっさりなつかれたっぽいです。飲んだくれるもの様にも似たようなことをいわれる。ううむ、そんなもんなんでしょうかねえ。さて、焼酎はどれにしようかと壁に貼り付けられた紙を眺めていて、「天孫降臨」とかそれっぽくていいなあなんて思ってたんですが、デコな店長にやっぱりオススメを尋ねてみる。三種類くらい挙げてくれて、レクチャーを受ける。「これが私は一番オススメです」といってたのが、まだ30代の若い杜氏さんが独立して作ってるというもの。大手とか古いとことかといろいろあってあんまり流通に乗らないのだとか。結局三種類すべて(プラスα)をロックで味わって我々はその若い人が作ってるのが一番おいしかったという結論を出す。デコ店長我がことのように喜ぶ。チキン南蛮も焼き飯も堪能し、いったん締める。帰り際、飲んだくれるもの様は、デコ店長の名刺と例の焼酎の入手ルートをゲットしておられた。結局「天孫降臨」飲み損ねたと思い出すのはかなり経ってからであった。うーん。


 飲んだくれるもの様の知り合いのところだと連れて行かれた二軒目。入り口に来るまで、私はラーメン屋だということに気づきませんでした。小学生くらいのおじょーちゃんと眷属さんがお絵かきなどしている間に、私らはラーメン、焼き飯、焼酎。ああ、そうそう思い出したように、眷属さんとおじょーちゃんに飴をやる私。ううん、サギサワメグムいうところのFEEDする喜びってやつですかねこりゃ。文芸部卒業生の交流の場を作るのだという酔っぱらいたちの結論が出る。お役人様が代表と決定。もちろん酒の席での話なのだが、そもそもこの宮崎行きだってそうだったんですからねえ、うひひ


 店を出て飲んだくれるもの様&眷属さんとはお別れ。お役人様と私はふらふらと歩き出す。「来る途中、角っこにショットバーがあった。そこで一杯やってお開きにしよう」とお役人様。酔っぱらってもなおいろいろ気を回す私は、「そういえばガソリン代とかいくら出せばいいですか」と場に関係ないことをいいだす。「いや別にいらん」とお役人様。たしかに形としてはついでに乗せてもらってるみたいなんですが、タダ乗りってのもなあ。「分かった。じゃあガス代とかの代わりに次のショットバーの代金を出してくれ。それでおしまい」ところが行っても行ってもショットバーが見つからず、気が付けば最初の通りに戻ってきている。ガス代、じゃなかったショットバーはなかったのである。「……山形屋のとこにコンビニあったからそこ寄って帰りますか」飲み物とか買ったところで、お役人様はタクシーに、私はホテルへ徒歩。ふひー、結構飲んだ気がするー、とふらふらしながら部屋へ。テレビを点けると「エンタの神様」をやっている。そういや出がけには「笑いの金メダル」をやってたなあ。お茶飲みベッドに転がってると飲んだくれるもの様からお電話。結局ショットバーが見つからなかったこと、翌日の予定などを話していると、「何もすることないんなら、車出してドライブでもしますか」との申し出。とりあえず朝になってから考えることにする。


 朝起きてテレビを観てると、「週刊ブックレビュー」というのをBSでやっていた。眺めていたら、いきなりゲストが筒井康隆。朝っぱらから筒井康隆の顔を見るってのはどうよ? 老人たちが殺し合う話とか短編の話とかアイディアの話とかをしている。「面白いといわれなければ意味がない」と断言する72歳、いいねえ。9時半ちょい。とっととチェックアウトの手続き。書いてもいないお役所の名前がちゃんと領収書に打ち出されてて、ご威光にひれ伏しそうになる。後でお役人様に聞いたら職場の名称教えてなかったんでちょっぴり心配していたらしい。ともかく無事通過し、外に出る。んで、ひたすらぽてぽてウォーキング。古本屋のひとつもないかと探していたんだけれど、一軒もない。本屋も繁華街に小さいのがひとつあったくらいで、宮崎というのはさては本とは縁が薄いのかもしれん。10時くらいにケータイが震えてるのに気づく。飲んだくれるもの様である。留守電が発動している。ボタンを押したが切られた。そーいや、昨日車出してもいいとかおっしゃってたなあ。掛け直すが出ない。気にせずウォーキング。途中、椅子とテーブルのある四阿のようなものを発見。座ってみると、テーブルに鳥の糞が。はて? と上を見上げると、屋根がない。いや、外からはあるように見えるんだこれが。板がすべて長くて小さい面を下にして横に立っている。これって台風か何かで一番上にあるべき屋根が飛んだんじゃないのか、とか考えるがよく分からない。宮崎文化だと思うことにする。他にも自転車道があったりとか宮崎空間にひたりながら、ぐるりと一時間。市役所と市民プラザとやらの前に噴水があって、そこから飲んだくれるもの様に電話したらやっとつながった。噴水の前で合流することになる。ちょっと曇った感じの空、パターンを変えてほとばしる噴水、気温19度を示すデジタル表示、ベンチに座って本を読む私。すぐそばのベンチにはワンカップ片手の家のない感じの人(プラス荷物満載自転車)。ちなみに私が読んでたのは、2・26事件を扱った恩田陸の小説だったりして、ますます変な空間に紛れ込んだような気分になる。ふと腕時計を見たら、カレンダーの表示が7月17日になっていてびっくりする。ち、ちょっと待てい。ついこないだ見たときにはトチ狂った我が腕時計は1月だったんですよう。7月ってことはリセットされたわけじゃないし、いったい何が起こったというのか。とりあえず宮崎だから、ということにする


 30分ほどで飲んだくれるもの様がやってこられたので車に乗り込む。おう、助手席チャイルドシートに昨日の眷属さん。後部座席にはもっと小さな眷属ちゃんがいらっしゃる。たしかこの眷属ちゃんがお腹にいらっしゃったので、去年のイベントには来られなかったんじゃなかったっけか。眷属さんには飴をあげてコミュニケーションをはかるが、ベビーな眷属ちゃんには飴なんてやれないんで、いろいろと遊んであげたりする。フェニックスの並びを走り抜け、どこぞの野球チームがキャンプをする球場の近くを通り、車は青島へ。途中、5月半ばの空に翩翻と翻る鯉のぼりを結構見る。こ、暦が違うんじゃろうか。到着したドライブインに車を停めて、眷属ズを連れて海やら鬼の洗濯岩やらを眺める。それから売店へ。「あしたば入りソフトクリーム」とか書いてあって、「あしたば」とは何かと首をひねる。すぐ下に説明書きがあり、「明日葉」はセリ科で暖かいとこですぐに葉が生えてくるらしい。店の中には明日葉の粉末とかクリームにしてお菓子にサンドしたものとか売ってある。うむ、青島的には時代はサボテンより明日葉であるらしい。売店をくるりと回り、アイスのボックスに目を留める。覗き込む。私のつたない記憶力では、かつてここでサボテンのアイスを売っていたと思うのだが。そんなものはひとつもなく。米のアイスとかワインのアイスとか鬱金のアイスとか紫陽花のアイスとか売っていた。でも一番気になるのは、「あしたば入りソフト」の隣に書いてある「エビ入りソフトクリーム」であろう。エビ? アイスにエビって取り合わせは宮崎なのか? 宮崎なんでしょうなあ。時刻がお昼近かったので、二回のレストランへ。何を企んでこうもハワイアングッズを売ってるのか分からないレストランの中を案内されて海が見える席へ。眷属さんたちにポテトを与えたり、先の平たくなったストローは氷を掻きこむためのものだと教え込んだりする。御飯を食べてお腹がふくれたのと、時間があまりなかったため、「エビ入りソフト」は食い損ねてしまう。うーん、私だけでも体験しておくべきだったんじゃないかなあ。いずれ、飲んだくれるもの様にレポートでも書いていただこう。


 合流地点にこちらがまず選んだのはTSUTAYAであった。トイざらすとかがすぐそばにあってて、駐車場もある。到着は1時前くらい。行ってみて、TSUTAYAに入ったら、本を扱ってないタイプだった。ううむ、ここにまずてくてく歩いてきてたらエラいことになっていただろうなあ。それからトイざらすで暇をつぶす。眷属さんが備え付けのベビーカーみたいなやつに乗りたがったので、私が眷属ちゃんのベビーカーを、飲んだくれるもの様が備え付けのやつを押してうろうろ。1時から2時くらいまでの間に電話をくれるということだったが、連絡が来たのが1時50分くらい。「あと30分くらいで到着する」とのことであった。もっともこちらはトイざらすに飽きてしまい外に出る。お役人様のご家族に会う気満々だった飲んだくれるもの様は、デオデオで風船を三つもらう。眷属ズとお役人様のお子様の分である。飲んだくれるもの様がここにいらっしゃることはもちろんお役人様には告げておりません。うろちょろしてるのにやや疲れてきたので、30分だったらもう来てもおかしくないだろうと、サーティーワンに入る。アイスでも食べながら待っていようという魂胆である。がなかなか到着の連絡が来ない。そのうち店内がやたら混んできたので、アイスを急いで食べて出ることに。出てすぐ、お役人様から電話。出た途端切れる。ふと後ろを見ると、ご家族が。しかもアイス食ってる。てことは、お互い店にいたわけで。しかも気づかなかったと。こちらはびっくりしてる一方、お役人様は何故私がトイざらすにいたのか納得してらっしゃった。たしかに私ひとりならそんなとこあんまし入らないような気がする。ともあれ、そんなこんなで挨拶も終わり、お別れである。最後まで行き当たりばったりであった。


 ちなみに、帰りの行程でも三人でしりとり開催


 慌ただしいのかのんびりだったのかよく分からないですが、こんな感じでございました。たまにはこーゆーのもいいなあ。宮崎には他にも先輩がいらっしゃる。マントの御方とか、あとこのサイトの名のそもそもの由来である「作品を書け、さもなくば滅びよ」とのたまった先輩とか。他の県にも会えてない人たちがいらっしゃるわけで、そんな人たちと会う機会も作れたらいいなあ、なんて思うわけでございます。


 翌日、月曜から三日ほど日付が飛ぶ。リフレッシュしてなければ危なかったかも。


 先日、伊坂幸太郎の新刊他一冊を熊本市立図書館にリクエストした。伊坂のは発注中に登録されていたので安心なのだが、問題はもう一冊。『榊涼介&林正之のマルチプレイ三昧』という本で、モノポリー等ボードやカードや駒を使った対人ゲームの本なんである。それがいきなり「ゲームの本はリクエストできません」と来た。ははあ、前にもあったなあこーゆーこと。あんときは素知らぬ顔でしばらくしてからもう一度リクエストしたらあっさり通ったのだった。リクエストに関しては基準をしっかりしていただきたい。だいたい「ゲームの本はダメ」という根拠はなんなのか。ライトノベル、コミックだって置いてある。ゲーム業界の本も結構あるわけです。それにチェスや将棋や麻雀やトランプやそうしたものだって「マルチゲーム」なのです。「将棋の本だからリクエストできません」って言い方がアリなんじゃろうか。アリだとして、だったら何でもう一度リクエストしたときにも突っぱねなかったのか。ゲーム学会ができようというこのご時世にどーゆーことよ? などとフンガイしてみたりする。で、今度は隣町図書館にリクエストしてみることにしましょう。そうです、こーゆーときのための隣町図書館であり、旧支配者様ですよ(絶対違う)。てことで、この件に関しては後日また。








 購入した本:
  成田良悟『がるぐる!(下)』、北村薫『街の灯』、マイクル・ムアコック『この世の彼方の海』、小河正岳『お留守バンシー2』

 読了した本:
  恩田陸『黒と茶の幻想(下)』『ねじの回転(上・下)』『月の裏側』、成田良悟『がるぐる!(下)』、古川日出男『ルート350』、永田泰大『ファイナルファンタジーXIプレイ日記 ヴァナ・ディール滞在記』、北村薫『街の灯』、北森鴻『ぶぶ漬け伝説の謎』


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