上旬。
多くの子どもたちが電波に踊らされていた夏も終わり、朝晩涼しくなってきましたなあ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。こないだ窓開けて、扇風機つけて夜寝てたら寒くて目を覚ましました。窓閉めました(扇風機そのまま←おい)。とはいえ、私は
季節の進行などまったく関わりなく、相変わらずな日々だったり。もっとも忙しくて日常の話題があんましないので批評とか紹介系のネタを今回多めでひとつ。
先日本屋に行ったら、『シュナの旅』が置いてあったので手に取ってみた。「ゲド戦記」はいろいろ評判を聞いているが、どうなんでしょ。その原案であるところの『シュナ』を実は私は読んだことがない。
原案と原作をどう混ぜたのか多少の興味はあるわけで。ぱっとめくってみたら、
ハヤオ絵がずらずら。うわっ、小説コーナーに並んでるから油断した。絵がメインですじょ。ぱっと裏に書いてあるあらすじを眺めてみる。ん……?
チベットの民話をベースにした? ちちちちょっと待ったっ。
ジブリゲドはチベットの話とユングな多島海の話のミックスだったですか? うーん、何というか、ますます興味がなくなっていくぅ。
世の中にはいろいろな免許が存在しています。職業でもそうだし資格とかもあるわけです。まあそんなんに関係ない職業もあるんですがね(
映画監督とか!)ともあれ、免許とか許可がないとできないことも多いわけで。銃刀所持の許可とか殺人許可とか(おい)。持ってないとタイホされたりするわけですよ(漫画家とか!)。まあ、
私の持っている免許はとある組織が発行しているいたって普通のもので、その更新の案内が来ていたのです。
普通の、とはいえ、人の生死に関わったりすることもありますからね、たびたびアップデートするというのは有効な手段でしょう。張り切って会場に行く私。組織の施設は新しいものになっていて、何だかミョーに明るくだだっ広い。待合いの椅子がすべて窓側を向いていて、窓の外には実技試験とかやる空間があって、何だか空港みたいですよ。受付が始まって並んで、私は一番で入り、講習も一番の席で受け、更新免許も一番にもらい、予想以上に早く終わったのでとっとと帰宅。疲れが溜まっていたせいか、
昼間っから爆眠。ぐがー。とりあえず何年かはこれで免許大丈夫でございますよ。
ちょっと休みがあったので、見ました「MSイグルー 黙示録0079」の3巻。何度かこのペエジでもネタにしてるこのシリーズですが、
これまでになく笑わせてもらいました。おかしいなあ、ジオンから見たア・バオア・クー防衛戦なんで悲惨な話のはずなんだけど。
以下、ネタバレ。2巻で出てきた新生カスペン戦闘大隊を載せたヨツンヘイムですが、戦闘指揮官はカスペン大佐。歴戦のパイロットですが
ソロモンの戦いで部下が全滅。新たな部下が配属になるということで回されてきたカスペン大佐、やってきた部下が全員新兵で少年兵、回されてきた機体が敵から「ドラム缶」とまことにまっとうな嘲りを受けるオッゴなわけです。初っぱなからずっとイヤな軍人ぶりを発揮しまくります。外見といい言動といい、「0083スターダストメモリー」で
民間人を射殺して逆上、取り押さえられた連邦士官ナカト少佐を連想させるタイプ。まあ気持ちは分からんでもないですがね、何せ使えるモビルスーツが自分のゲルググしかないんですし。他にヨツンヘイムにあるのは出力が上がると暴走して空中分解する欠陥機ヅダが二機だし。んで新たに回された機体が、今回新登場のビグ・ラングでございます。テストパイロットもいなくて、その場で乗ってた技術士官(シリーズの語り手)オリヴァー・マイが任命される始末。今回のヨツンヘイムの任務は、ア・バオア・クーの四つに分けられた戦闘フィールドのうち、もっとも敵が少ないところを横断、オッゴをばらまき、防衛線を築くというもの。ビグ・ラングはそのフォローである。が、こちらが思っていた通りにツッコむオリヴァー・マイ。
ビグロから速さを特徴とする機体です、とか何とか。てか、機体説明の際にパッケージで見た四角い箱を付けた真っ赤なビグロ、というイメージを覆されました。「
開発中の超ド級モビルアーマーの機体を流用」なんてセリフが出てきたりしていったい何を使ったらこんな機体になるのか、というような格好なのです。まず、スカートがやたらデカい。ヴァル・ヴァロどころの騒ぎではありません。サザビーにもちょっと似てます。でも横から見たシルエットが一番近いと思ったのは、バウンドドッグ。
バウンドドッグの両手両足を切断して、頭部をビグロにすげ替えたような。ノーマルビグロでも結構な大きさだったんですが、それがバウンドドッグの頭にしか見えないってのがいかにビグ・ラングが大きいかを示しているかと。んで、実際動いてるところを後ろから見たら、どうもこりゃ……ノイエ・ジール(「0083スターダストメモリー」に出てきた緑色で速くて強いやつ)の原型なんじゃないか? でも動きが物凄く鈍い。というか、ビグロヘッドが完全に固定されてるみたいで、横も向けません。主武器はビグロアーム、
嘴からビグロビーム、腰からビグロミサイル、さらにビグロビーム攪乱弾。終わり。問題は、ビーム攪乱最中でも実弾食らうとボディが弱いのに、それを守ることができないってことでしょうか。そりゃそうだ。自力でほとんど動いてるようには見えないし、固定された
ビグロ頭部にあるビグロアーム、首くらいまでしか届きません。このビグ・ラング、
頭部がビグロである必要性皆無というか、普通に砲台付けたりした方が良かったんじゃ……? 見てて、「こりゃこの反省を元に、速度をアップして、邪魔なスカート部分を切り離し、ビーム攪乱フィールド付けて、
いらないビグロを取ったのがノイエ・ジールなのではあるまいか」と強く感じる。ってそりゃ
ビグ・ラングの改造でもなんでもないですな。ともあれジオン驚異のメカニズムはさらに炸裂し、スカートの中の劇場、じゃないや工場でオッゴの補給換装もばっちりです。そのシーンがあるんですが、真ん中のレールに乗って移動するオッゴに次々と内部アームが伸びてきて作業開始。それらすべてオートでも何でもなく、コックピットから操作です。パイロットはひとりなわけですんごい負担大きいですな。んでレールの端まで行ったら天井部に移される。そこにはカタパルトがあって、スカートの外に勢いよく打ち出されるオッゴ。ってちょっと待て、無茶苦茶デカいぞ、ビグ・ラング。DVDに収録された設定画像では、
スカートの奥の方にモビルスーツ四体がぶら下がってる絵があってさらに仰天。巡洋艦とかその程度の大きさは軽くありますよ。移動する補給庫であるところのビグ・ラング、戦闘に入っていきなり、サラミス二機をビグロビームで撃沈。寄ってきたボールをビグロアームで掴んでぶん投げたりと大活躍。挙げ句、
「赤いモビルアーマー? まさかこんなフィールドに?」と敵がどこぞの誰かさんと間違えたらしく一時撤退してくれたりしてます。それにしてもこんな
スカートの中覗かれて弾撃ち込まれたら一撃死しそうな兵器(実際それに近いシーンがある)、何でまた開発したんでしょうかねえ。前に出てきた空飛ぶズゴック(ゼーゴック)は何故ズゴックのボディなのかという問いに「一番出力がでかかったから」という答があったんですが、今回そーゆー
理屈づけ一切なっしんぐ。何となく、「
せっかくだからビグロでも載っけるか!」的な発想のような気がします。系統としては、なんとなあく、
アッグ-アッガイ-アッグガイ-ジュアッグ的な流れのような臭いがぷんぷん、てか同じ人たちがやってんじゃないかという疑いが。アッグはドリルとカッターな土木機械だし、アッガイは安上がりで貧弱、アッグガイはアッガイの後継機で白兵戦用(手が四本のヒートロッドで、アッガイ爪に換装も可)、ジュアッグはやっぱりアッガイの後継機でゾウみたいな鼻した火力重視型、ですが、以後この系統のモビルスーツはなくなっちゃったわけでして。ともあれ奮戦する素人部隊でしたが、3巻後半ではア・バオア・クーが陥落。要塞内にいたジオン艦艇の脱出が始まり、脱出ルートは当然のように敵が少ないフィールドから。てことはビグ・ラングとかの作戦宙域でございます。連邦軍の追撃部隊やそもそもここにいた連邦の攻撃部隊らを食い止める役目になっちゃったわけでして。そんな中、
カスペン大佐は艦長に銃を突き付け、「私のゲルググの発進準備をしてもらおうか」などと言い出す。その後別の人物から後頭部に銃を突き付けられ、「ご自分だけ逃げるおつもりか」と非難される。
さもありなん。がこっからがカスペン大佐がナカト少佐と違うところで。一本角のドクロマークをエンブレムにした白いゲルググが「待たせたな、ひよっこども!」と叫びながら、オッゴ部隊の前に滑り込んでくるシーンはかっちょええ。
カスペンの評価大逆転です。しかもオッゴをかばって被弾しまくって多分戦死。その後、
ビグ・ラング轟沈。静かにシリーズの幕は下りることになる。今回はいつもは兵器の分析をしたりテストパイロットを見守る側であるオリヴァー・マイ自らがテストパイロットになり、これまでの男たちの気持ちを思ったりするシーンも盛り上がるし、おそらく戦死すると分かってる戦場に向かうビグ・ラングの中で、周囲を飛ぶ観測ポッドを見て息をつくシーンもよい。うん、面白かった。多分、
次の「ギレンの野望」で、カスペンとかオリヴァー・マイとか他のテストパイロット連中が追加されるんだろうなあ。もちろん、ビグ・ラングも。
プレステ2の「ペルソナ3」をちまちまやっている。賛否両論あるゲームであるが、まあそこそこだな、というのが実感。てか、
もうちょっとどうにかすればすんごい面白いものに化けただろうになあ、と思う。ストーリーはこんな感じ。今日と明日の間には「影時間」というのがあって、通常の人間はこれを感じ取ることができない。その時間内には完全に意識がなくなっていて(棺桶のモニュメントとして表現される)、影時間直前の記憶と影時間直後の記憶が連結されるので気づかない。影時間には「シャドウ」と呼ばれるモンスターがいて、運悪く意識を持ったまま影時間に入った人間を襲ったりしている。シャドウに襲われた人間はそのときの記憶を失うが、同時に次第に廃人のようになっていく(
分かりやすくいえば「ジョジョ」のスタンドのようなもの)。一方、「ペルソナ」と呼ばれる「もうひとりの自分」を持った人間たちがいて、彼らの一部は影時間のシャドウを退治したりその謎を解こうとしている。物語の舞台になるのはとある私立高校。ここにはペルソナ能力者たちの集まりがあるのだが、主人公はこの学校に転校してきた早々影時間に迷い込んだりしてる。通常ペルソナはひとり一体なのだが、何故か主人公は複数のペルソナを出現させる。やがてシャドウの巣ともいえる「タルタロス」という塔が影時間の学校に出現していることが明かされ、主人公たちはそこに挑むことになる。ストーリー的にはすんごい面白そうなわけです。演出も細かいところがカッコよい。影時間に入るときには時計が大きく映し出され12時になると同時に時計がバラバラになったり。ペルソナ召喚時には「召喚器」という道具を使うのですが、これが拳銃型で、それを
頭に突き付けて引き金を引くと、自分の中からペルソナが出現する。逆手に握ってスタイリッシュに喚ぶもの、両手持ちで正面から喚ぶもの、足を踏ん張って力一杯喚ぶもの、自然体で喚ぶもの、キャラクターの性格が結構表現されていたり。
ゲーム的には、ペルソナが21種類の系統(タロットに分類)されていて、これは「女神転生」シリーズの悪魔の分類(妖精とか外道とか)に相当して、合体とかのキモ(「女帝」と「法王」を合体させたら「女教皇」になるとか)になってきます。で、今回の目玉としましては「絆」をテーマ(某TV番組みたい)にしているだけあってか、友達や知り合いとの関係がクローズアップされています。「コミュ」というシステムですが、特定の人とエピソードを重ねることによって、自分の中にある特定の面の成長を促すというもの。例えば、運動部のコミュは部活に参加することによってレベルアップしていくんですが、このコミュが司っているのが「戦車」のペルソナ。「戦車」系のペルソナは物理攻撃が強いという特徴を持っています。コミュが上がると、「戦車」系ペルソナを合成した際にボーナス経験値が入ります。さらにコミュがMAXになるとその系統の最上位ペルソナの封印が解けて合成が可能になります。運動部のコミュをある程度育てると、イベントが発生し、他校のエースが登場、「他校のエースのコミュ」(ちなみに「星」)が発動可能になります。コミュは一日にひとつくらいしか関われない(放課後にコミュを発動させるとエピソード終了後夜になっちゃうため)ため、なかなか成長させられないコミュも出てきます。そうすると、
相手がスネたり、喧嘩になったり。全部を育てるのは無理ですから、スケジュールを考えて(コミュが発動する曜日が決まっている→古本屋の老夫婦のコミュは日曜は店休だとか)、好みに従っていかねばなりません。たしかにこーゆーのってあるよねーと思いつつプレイ。
戦闘に関して。前に「真女神転生Ⅲノクターンマニアクス」をプレイしたことがありますが、あれの発展系ですかね。敵も味方もたいてい弱点を持っていて、攻撃をうまいこと
弱点にヒットさせると「当たりもう一本」で大ダメージを与えた上、再行動ができます。今回はさらに弱点攻撃かクリティカルヒットを出すと敵がダウン。すべての敵をダウン状態に陥れると「総攻撃」発動可能になります。行動できる味方全員による敵全員攻撃。無茶苦茶なダメージを与える上、こちらの行動力消費はありません。ただし、ダウン状態に攻撃をヒットさせるとたとえそれが弱点攻撃であってもダウンは解除されます。一方敵側はというと、「総攻撃」はないものの、ダウン状態の味方に弱点攻撃を加えても味方のダウンは解けないという利点を持っています(つまり連続して大打撃を与えてくる可能性がある)。主人公以外の味方キャラはペルソナが固定なので弱点も固定。しかも弱点すべてが重なるキャラがいないので、いかに弱点攻撃を防ぎ、かついかに敵に弱点攻撃を加えるかがポイントになってきます。主人公のペルソナも当然弱点があるので、ペルソナ合成でスキルがある程度いじって、例えば闇属性に弱いペルソナに闇属性に強いペルソナを掛け合わせてみたりとか。結構それ考えるのが楽しかったりするわけです。
BGMについて。
たいていのBGNにボーカルが入ってます。結構新鮮。例えばPSで出てた「moon」などはボーカル入りの曲がありましたし、シューティングやアクションでも歌入りがあったわけです(「マクロス」とか)。RPGでは珍しい試みで、うん、最初牌違和感ありましたが慣れるとかなり耳に残って心地よい。サントラとか聴いてみたいなあ。
というのが大まかなよい部分ですが、それぞれに弱いところもあるので総合評価「惜しい」になるんですね。まずコミュがらみから。コミュをレベルアップさせるということは、相手と親密になっていくことにつながります。がコミュがらみのイベント時以外、ほとんどその親密さが表現されません。同じ寮生活をしてる
女の子とコミュMAX「特別な関係」になっても普段のセリフ行動まったく変化なし。やってることがギャルゲーみたいなで絆を表現しようとしているわりに、いまひとつ。ほったらかしにしてたり別の人と付き合ってたりするとと機嫌が悪くなり嫉妬したりするのは女の子限定になっていて、男には起こらず。主人公が男固定だからなんでしょうけど、これもどうにかならんものか。
主人公を男女選べるようにして、男の子と付き合えるような形にすればもっと幅が広がったと思われます。で学校ですが、意外にやれることが少なくて単調。何もないなら省略すればいいのに、省略に「午前→昼休み→放課後」と時間がかかる。似たような雰囲気のゲームで川上稔原作の「奏(騒)楽都市OSAKA」がありますが、これは授業を選択でき、選択することで放課後の行動の幅が広がるという点で「この日はどの授業を受けるか」という思考が入ります。同じく自由度の高い「ガンパレ」シリーズでは放課後に訓練や勉強などやれることがたくさんあるので単調な感じはそんなにありません。「ペルソナ3」は
自由度を中途半端に入れてるせいで、しばらくやっているとやることがなくなったり単調になったりといった弱みが出てきています。
戦闘の弱点ですが、こりゃもう、
AIのおバカ加減に尽きます。ペルソナの固定は構わないんですよ、私的には。それによって「何故主人公だけが特別なのか」という謎がストリーに絡んできますしね。ただ、仲間に細かい指示を出すことができません。大雑把な指示(例えば、「回復・補助に徹しろ」とか)は出せますが、ターンの一番最初にしかできない上、戦闘終了時に指示はすべてリセットされます。つまり「SP(ファンタジー物だとMP、術を使う力)節約」の指示を出して、SPを湯水のように使うのを制限したかったとします。一度指示出して、戦闘終了で解除、次の敵とエンカウント、ターンの頭でまた指示を出し直しです。戦闘外での指示で固定とかさせてもらえればよかったのに。放っておくとホントにバカスカ術使ってSPを消費し、回復に徹しろっていったらクソ高い回復アイテム容赦なく使うし、頭の痛いところです。仮に敵の弱点が氷系で、氷の単体攻撃術のSP消費が6、氷の敵全体攻撃術のSP消費が12、敵が3体いたとします。味方キャラでどちらの術も使えるキャラがいたとき、こやつ、単体攻撃を一体にぶちかましダウンさせる→単体攻撃をダウンした敵にぶちかまし、起きあがらせる→そいつの行動終了。あるいはまったく関係ない、敵を混乱さえる術を使ってみたり。まあ他人の行動はよく分からないし操れないよなーと思うんですが、時々殺意を覚えたりもします。この辺、もうちょっとシステムをいじるだけで何とかなったんじゃないかなあ。
他にも。舞台になるランダムダンジョン「タルタロス」。満月の日にイベントが発生するまでフロアの上限キャップがあります。フツーにプレイしてたら、一週間くらいで上限に達しちゃうのよ。ダンジョンに何があるってわけでもないし、戦闘に飽きたら、ダンジョンに行く意味もなくなってくるし。うーん。BGMは前述のように楽しいんですが、時折思い出したように入る
アニメのセンスが悪い。ひとつのイベントがあって、その間にいきなりぶつ切りでアニメが入ったりとか、ムービーにする意味があるのかと思うようなシーンにアニメ入ったりするし。
まあいろいろ書きましたが、それだけ
惜しい作品であるということ。ダンジョンが単調なせいで、どうにも
二周目とかやる気が起きるかどうかビミョーなとこですがね。高いうちに中古で売っちゃうかもしれん。うみゅう。
予約した本が入ったということで市立図書館へ。館内うろうろしつつ本を物色していると、向こうから図書館のおねーちゃんとお客が近付いてきた。むう? おねーちゃん私を示し、「
こちらが手芸と編み物の本になります」いや、私、本ですか? しかも手芸と編み物? と一瞬納得しそうになりましたが(するな)、とりあえず横にどき、お客さんに書架を譲ってあげることに。うむうむ。さらにうろついていると小路幸也の新作が出ていたので借りる。小路幸也はデビュー作と二作目くらいを読んで、「面白くないことはないが、何となくふわふわしていて、すかすかしていて、物足りない」という感想を抱いてしばらく読んでいなかった。が、何ヶ月か前に『東京バンドワゴン』をタイトルに惹かれて読んでみたら面白かったのですよ。四世代が暮らす古本屋だか喫茶店だかのお話で、
じーちゃん頑固、とーちゃんロックンローラー(放浪癖あり)、その子ども(異母兄弟含む)や孫(小学生)などが登場する連作ほのぼのミステリで、
語り手死んだばーちゃん、という構成。思ったよりずっと面白かったので今回『キサトア』に挑戦。結論、良かった。
ラストで泣きそうになったよ私。舞台はちょっとファンタジックな雰囲気の町。
テイストはエブリディマジックなファンタジーかな。主人公の少年は目の病で色が見えなくなっているが、リトルアーチストとして有名。父親は風の読み手のフウガさん(精霊使いみたいなもの)。少年アーチの双子の妹がキサとトアで彼女たちがまた病気持ち。キサは朝日が出てくると同時に起きて、日が没すると眠って起きなくなる。トアは日が沈み出すと起きて、朝日が完全に出ると眠ってしまう。つまり彼女たちがお互いに言葉を交わせるのは毎日ほんのわずかな時間(日が出始めてから出終わるまでと、日が沈み出してから沈み終わるまで)。それでも元気に生きている双子とおにーちゃんとおとーちゃんの物語。舞台になる海辺の町では突風のような嵐に五年前まで毎年悩まされていて、フウガさんが来て海辺に巨大な風車をいくつも建てることで風を操作し、その災害からは守られるようになった。一方で近年漁獲高が減ってきていて、町ではフウガさんの風車のせいだという説が流れ始めたりと不穏な気配が起こってきている状態。キサとトアの性格もしっかり描かれているし、二人が一緒に過ごせないことの寂しさみたいなのもイベントとして描かれている。例えばキサは昼友達と遊べるがトアは遊ぶのが難しい。だからトアが寂しくないように周囲の大人やおにーちゃんが交替で起きていてトアを夜中に御飯食べたり遊んだりしている。後半出てくるお祭りがあるのだが、そのメインイベントを見ることができたのはキサで、ただ縁日は二人とも楽しめたし、花火大会はトアだけが見ることができた。不幸なんだろうけど、どっかほのぼのした感じがして、以前感じたどっかふわふわしたテイストはそのまま残っていて、「すかすかした感じ」が薄くなった。こーゆー作風が合っているのかもしれないなあ。
『東京バンドワゴン』と『キサトア』は文庫化されたら購入希望。間にあるのも読んでみるかなあ。
上月司の新シリーズが始まったので購入。新刊リストで見たときも思ったんですが、「『
れでぃ×ばと!』ってどっかで聞いたよーなタイトルですな。メディアワークスだし! ……「よつばと!」? で、買ってみたらあとがきに同じようなことが書いてあって笑った。
残念ながらよつばもジャンボもパンツマンも出てこない模様。
最近驚いたこと。マイクル・ムアコックが
「エルリック」の映画化権をハリウッドに売った話。何年か前のことらしいんですが、最近また話が動いてるとか。うひゃあ。
購入した本:
宮崎柊羽『神様とゲーム
ハレ/クモリ/アメ/ニジ』、瑞原螢『エース戦記』、佐藤大輔『信長新記1~3』、恩田陸『夜のピクニック』、室積光『ドスコイ警備保障』、M・レズニック&M・H・グリーンバーグ編『短編集シャーロック・ホームズのSF大冒険(上・下)』、三雲岳斗『アスラクライン5』、上月司『れでぃ×ばと!』、うえお久光『ジャストボイルド・オ’クロック』、榊涼介『ガンパレード・オーケストラ 緑の章』、マイクル・ムアコック『ストームブリンガー』、西澤保彦『神のロジック 人間のマジック』
読了した本:
小路幸也『キサトア』、小林賢太郎・升野英知『大喜利猿』、宮崎柊羽『神様とゲーム
ハレ/クモリ/アメ/ニジ』、深山森『ラジオガール・ウィズ・ジャミング』、佐藤大輔『信長新記1~3』、恩田陸『夜のピクニック』