2006年10月。


上旬。


 前回までのあらすじ。隣町図書館で子どもとこみゅにけーと。原付故障、バス移動、修理長引く、代車が来る予告。おわり。


 昼前に代車到着。鍵の仕組みが、以前借りたやつと同じマグネットで蓋を開くやつだったので、バイク屋のにーちゃんの説明を遮って代車ゲット。お昼を食べている最中だったのでその続きを楽しみ、お出かけ。しようとして気づいた。私、前回お出かけの途中で故障に見舞われた原付をそのまま安全地帯に置いて、後で回収してもらったのでした。てことは……ヘルメットがない。溜息ひとつ、携帯電話からバイク屋へ連絡。愛用のヘルメットを持ってきてもらう。いやはや。さっきとは違うにーちゃんがヘルメットを持ってきてくれたので、ようやくお出かけ。代車は白いかぶちっくぼでーのトゥデイ。この車種は初めてだったので走りながらいろいろ感触を楽しむ。まずメーターのところにシールが貼ってあり、オイル交換の時期について書いてある。距離計のオレンジ色を目安にしてください、とか。う、何かすんごいアバウトでないかい? そんで速度計と距離計はあるが、燃料計がない。む、こーゆー仕様ですか。下の方にガソリンスタンドなマークが。ははあ、このガソリン残量はスタンドのランプの精が教えてくれるのですな。ほとんど走ってないのに翌日、実際スタンドのランプがちかちかして教えてくれました。いやー、今まで使ってたのと違うやつに乗るってのも面白いもんですねえ。


 そして、マイ原付が戻ってきた翌日。平日だったのですが休みを半ば無理矢理ゲットして、胃ガンやら何やらの検診。去年は春だったのですが、今年は秋でした。んー、ぼりうむたっぷりのばりうむを飲んで、夕方熊大文芸部の新歓だったことをかすかに覚えておりまする。今年はその手のイベントも用事もなかったので、原付で検診場所へ。受付手続きをすませて、検査車へ赴く。先に待合い椅子に座っていたのは、ふくよかなおばちゃんで、多分、検査とかでは脱ぎやすい服装でとあったため、おろしたてのような真新しいTシャツを着ておられた。真っ黒なシャツで、胸のところに某アメコミヒーローのマークが書いてある。うむ、バット男(仮名)ですか。多分、バットなマークだと思うのだけれど、横長テレビのようになっているのでぱっと見たところ首のないラドンみたいなのがいとおかし。しばらく待っていたら、オバットマンTシャツの人は係のおっちゃんからバリウムもらって飲み干し、検査室に消えていきました。手持ちぶさたなので周囲を観察していると、バリウム飲んでアトラクションのように回転する検査は去年から始まったらしいと発覚(説明書きがあった)。てことは、去年私が受けたのがタイムリーだったわけですなあ。まあ今までバリウム飲んでそれで透かしてたわけですが、今度のは回転を加え、胃壁にまんべんなくバリウムを塗りたくるようで。などなど観察をしていると私の番になり、おっちゃんがプラボトルに何か入れてバリウム入れて、しぇいくしぇいくしぇいく。さらに何ぞ入れて、もっぺんしぇいくしぇいくしぇいく。バーテンみたいぞなもし。「じゃあこれをまず口に含んで。まだ飲まないでくださいね」発泡剤ざらざら。ボトルを渡され、「一口飲んで発泡剤を飲み込んでください」ごくり。「飲み込みましたか? じゃあ残りを自分のペースで全部飲んで下さいね」口の中、端っこの方で飲み込み損ねたつぶつぶがしゅわしゅわいってるのを楽しんでいたが、それごと飲み干す。奥の台に寝るとゆっくりと向きを変え、左に三回とか指示の通りにくりくり回る、ベッドも回る。うがー。圧巻は天地逆になって左向き、伸ばした手で腰の辺りの握りをつかんで支える状態。いや実際は肩のところにういーんと支えが動いて押さえてくれてるんだが、何となしにほら、体操の吊り輪みたいなポーズなわけですよ。結構きつい。多少ふらつきながらも検査終了。3週間かそこら結果までかかるとか。検査車がたくさん停まってる出入口のところで、お茶が置いてあり、終わったときにもらったピンクの小粒を飲む。んでふらふらしながら原付で帰宅。


 昼になったので原付で出動。目的は熊本市立図書館の移動図書館である。市内28カ所を1日あたり2つずつ回る仕組みで、月の前半しか動いていない。置いてある冊数は少なめであるが、10冊まで約1ヶ月というのは魅力的である。せっかく平日オフなので時間と場所が合えば覗いてみようと思っていたのである。とその前に外で御飯でも食べますか。と行ったお店がつぶれていた。ううむ、まだまだ不景気なんですなあ。しょうがない。あそこの角のコンビニで何か買うか。と行ったお店がテナント募集中。うーん、しばらくこの界隈来てなかったからなあ。仕方ない。とりあえず人より先に原付の腹を満たすか。と行ったお店が塀だけに。い、いつの間に。たしかこのそばにあったゲームとかCDの店もつぶれてたよなあ。さびれているのかあこの界隈。大きい通りに出たところでようやく食事。それから移動図書館の巡回ポイントへ。時間数分前に到着。待っていると、馴染みのアナウンスが聞こえてきた。巡回ポイントは団地とかが多いので、移動図書館が来たことを大きく知らせるのである。設置最中の長テーブルのところへ行き、本館で借りたものを返却しようとする。するとそこのおっちゃんが目を丸くし、「うわー、今日は珍しかもんば見た」と大声。その後、移動図書館の職員さんが五人くらいいるのだけれど、その人たちに「久しぶりですねえ。どがんしとんなったですか」などとしきりに声をかけられる私。私、さりげに有名人? てかむしろ珍獣のような扱いでは? まあ前に時間が合ったときとかがしがし本の返却とか来てたからかのう。ちなみに28カ所すべて制覇してます。ついでに熊本市立図書館では行ったところがないのは五福公民館図書室のみだったり(15/16)。移動図書館ではとりあえず10冊くらい借りて離脱。その後、隣町図書館に行くつもりだったが、予想以上にぐるぐる検査で消耗していたっぽく断念。


 家に帰ってぐったりしつつ、海道龍一朗の『真剣』なぞ読んでみる。うむ。時代小説とかの私の基準は、山田風太郎・隆慶一郎・宮本昌孝・池宮彰一郎といったラインなのであるが、それに比べるとやや物足りない。てか盛り上がりに欠けるか。私にとっての面白さは盛り上がり(燃える!な感じ)やどれだけキャラに惚れるかという点にあるようだ。『真剣』の主役は「剣聖」上泉伊勢守なのだけれども、いまひとつ燃えない。むしろ、相手方である宝蔵院胤栄の方がカッコええなあ。次に加藤段蔵を暑かった『悪忍』を読んでみた。加藤段蔵って誰だっけ、と思ってたら飛び加藤じゃん。湯屋で深夜六人の忍びに襲われる冒頭の戦闘シーンはええ感じ。なのだけど、どうも後半があっさりしていて食い足りないなあ。今手元には『後北條龍虎伝』も借りているのだけど、これは構成が『真剣』とそっくりで、『真剣』でちらりと語られたエピソードを膨らませているようだ。うーん。


 日曜日・月曜日と連休になりそうだったので、前々から約束していた近所に住む太っちょ魔王にメールしてみる。約24時間後返信が来る。どうやらどこの魔界か知らんが電波の届かないところにいたらしい。たしかきゃつはコンビニで働いていたと記憶しているが、日曜は朝10時までシフト入ってて、それからなら遊べるという。なら昼過ぎくらいと決定。さてさてどうなることやら。


 例によって朝っぱらからガソリンスタンドへ。私がよく寄るとこでは、給油マシーンに給油量と値段が表示される。これはなかなか便利なもので、店員がレシートとか持ってきて始めて値段が分かってサイフをごそごそやるよりもいい感じなのである。んで、その値段メーター見ていたときのこと。こちらとしては払いやすい金額がいいわけですよ。値段がちりちり上がり、500円になった。よし今だ止まれ。という願いも空しく(店員が見てなかった)、さらに金額が上がり、510円、よし今度こそ。通過。520、これでどうよ。かちり、521円(「レギュラー満タン入りましたー」)。うーん、なかなかうまくいかないものよなあ。まあお釣りなしで払えるというところで満足しますか。店員が給油ノズルを給油口から持ち上げてフックに掛けようとしたとき、最後の最後でぴっ、とメーターが変わった。522円。くわー、慌ててサイフを開け、1円玉を探す。これで結局釣り銭どかどかもらう羽目になったらネタになるのだけれど、何とか見つかりほっとする(それでもネタにしたが)。にしても、どこをどう力んで引き金を動かしたものか。「ありがとうございましたー。気を付けてお帰りください」の声に見送られ、お出かけ続行したことでありました。


 日曜日になった。わざわざ太っちょ魔王と遊ぶ約束などしてたのは、市街に出たくなかったせいもある。何となれば、この日は前に台風で延期になった藤崎宮の例大祭だったからである。いい天気だったので布団を干してみたりする。最近は朝晩結構涼しいので、いつまでもゴザ+窓開け+扇風機のコンボじゃそのうち凍死しそうである。結構埃を吸ってるので布団叩きをする。汗だくになったくらいに魔王からメールが来て何時になるか、眠いので来るなら早めにといわれ、じゃあ1時過ぎくらいとか返信。数分後仮眠を取るから2時半とかメールが来る。昼頃出かけ近所の本屋とか古本屋とかを回り、隣町図書館へ赴くことに


 隣町図書館にて。久々にカウンターに旧支配者様が。よぉと手を挙げ、にやりとされる。私は返却処理を済ませると、新刊コーナーへ。それからピンポイントで目当ての作家のコーナーに行くが本日の目標は見つからず。ネットで前もって探して来たんだけどなあ。最新の情報とは連動してないのかしら。しょーがないので館内の検索ましーんでキーワード入力。ちなみに今回の鍵言葉は。「さかきつかさ」「けしのはな」「おおもりのぞみ」「ぶるぼんこばやし」ひらがなで書くとちょっとアレだが、まあそんな本を探していたわけです。が、前三つで引っかかったのはすべて貸出中。「ぶるぼん」のみ貸出可だったので、検索画面の番号を覚えて移動。や、ありました。一冊抜いて、マーケッティング関連の棚にはなかなか来ないのでついでに周辺の本を探索。するとふらりと旧支配者様が近付いてきて、隣にしゃがみこんだ。あっちは本をいじりながら、こちらは本を探しながら、ぼそぼそと会話をする。骨子は、最近図書館に不審者が出たとか何とか。女性のスカートを覗いたとか覗かないとかいう話でして。で、まあ対策として「声かけ強化運動」をしているらしい。「ほほう、そりゃコンビニみたいですなあ」と素直な感想を述べる私。たしかに声かけとか効果あると聞くしなあ。「で、こないだの図書館の話を読んだ」という話になる。話の流れをつかみかねていたのだが、「多分カウンターで声かけたのは――だと思うが、ほら、その前に『子どもとにっこり』みたいな話があっただろう。笑わせてもらった」って、私、不審者と思われた!?「いやそういうことじゃないだろうが、笑わせてもらった」そ、率直な感想をありがとうございまする。でもまあ、うん、私が不審者かどうかは別として、声かけ運動はいいと思うですよ。普通の利用客にしてみればより身近で親しみやすい感じがするしね。んで、先日の移動図書館の話などして、移動拠点はすべて行ったことがあると告げると呆れられる。「お前、市立図書館の職員さんはみんなお前のこと知っとるんじゃないか」う、さすがにみんなはないと思うが、分館に異動になった人に異動先で会って挨拶されたことはあるぞ。


 隣町図書館で借りた本を原付に入れたまま、太っちょ魔王の館へ。呼び出すとやつとともに番犬が出現。

 じごくのばんけんが6ひきあらわれた!
 まおうがあらわれた!
 まおうはねむそうにしている

 ていうか、犬多いよ。六匹に飛びかかられる私。たしか他にも大きいのが何頭かいたはずだが。とりあえず魔王が犬を蹴散らし、きゃつの居室へ。どうも仮眠を結局取らなかった様子。しばらく遊んでいたが、「ゲーム屋にでも行くか」という話になり、魔王が車を出すことに。走り出した車の中、魔王がズボンのポケットからアイテムを取りだした。コンビニ巻き寿司。っておいこら、ハンドル手放しで海苔くるくる巻くの止めい。「いや、なかなかうまく巻けないんだよねえ」ってそーゆー問題じゃねえ。海苔巻きもごもご食べながら、「俺が今L(←コンビニの名前)にいるって知ってたっけ」どうやらLのコンビニ巻き寿司らしい。「あれ、貴様、あそこのS(←コンビニ名)じゃなかったか?」「いやそこはもう止めた」「さては客でも殴ったか」「いや店長むかついてさあ」殴ってはいないようだが。「Lの正社員になろうかなあ、とか思ってるんだよね」「貴様、どっかバイトで入るたびに同じこといってやしませんか」「マジマジ。俺、前に、F(←コンビニ名)の支店たちあげもやったっていったっけ?」「それはアレだな、貴様、建築の『建』がつく『建ち上げ』であろう、ぶっちゃけ、土方?」「って違うわー!」などと爽やかトークを繰り広げながらゲーム屋を回る。んでまたどーでもいい情報をつかむ。「あそこのゲーム屋とすぐそばにある焼肉屋とハンバーガー屋とカラオケ屋二軒、やってるとこ同じ会社だって知ってた?」何故貴様、そんなこと知ってやがりますか。てか知ってる人少ないんじゃないか。「いや、俺、昔、そこのカラオケ屋でバイトしてたことがあって。夜になったら焼肉屋の店員が売り上げを持ってきてカラオケ屋の金庫に入れるんだよ。結構前だから今は集金とか全然違うだろうけど。物騒だし」猛烈に眠そうだったので、とっとと帰ることに。事故られてはかなわん。「いや、死ぬときは一緒」「絶対嫌だ。てか貴様だけ生き延びそうな気がするのは何故だ」


 魔王と「三国志」がらみの話などをしたせいか、PS2ゲーム「三国志[」をまたやってみた。思えば、この「旬な話」のめちゃめちゃ最初の頃に感想を書いてみたりしたこともあったような。やってみたら、私の中のドラマチックジェネレーター(脳内補完機能、妄想エンジンでも可)全開。止め時がなかなかつかめないくらいハマる。ということで久々のゲームプレイ話。次の段落から興味のない人はしばらく飛ばしてOK、プリーズ。と思ったが、ややまとまりに欠ける気がするので今回はなし。残念。


 朝晩は寒くなってきたが、ある夜、冷凍庫に夕飯時にはなかった袋かき氷が入っているのを見つける。いちご味。私の後から帰ってきた母親が入れたっぽい。てか何故今更かき氷? 翌朝事情が判明。母親は知り合いの集まりに行っていたのだが、その席で大量の刺身が出たらしい。食べきれなくて集まった面々が持ち帰ることにしたとか。が、新鮮な刺身だったので氷で冷やしながらお持ち帰りすることに。さよう、あの袋かき氷である。「今日の晩には十分食べられるだろう」と母親がいうが、相手である父親は「いや俺今日は出張でおらんしなあ」。そこで私が横合いから一言。「せっかくだから氷だけでも食べれば?」ちなみにめちゃめちゃ肌寒い朝の出来事でした。


 今旬の不意打ち。「ハヤカワ文庫を読むなら、目にやさしい明るさで」ナショナルのパルックプレミアとやらの広告。実はハヤカワ文庫新刊の帯。正直、ハヤカワ文庫の少し前のやつとかさらに古いやつとかはいるかもしれないけれど、新刊はフツーのでいいんじゃないかと。昔のに比べたら、字大きいし、行間空いてるし。まあハヤカワに限ったことじゃないですけどね。それにしても今月の新刊栗本薫の『快楽の都』をついつい『すかいらーくの都』と呼んでしまう今日この頃。







 購入した本:
  貝花大介『佐藤家の選択1』、フィリップ・リーヴ『移動都市』、六塚光『レンズと悪魔』、ヤマグチノボル『ストライクウィッチーズ』、栗本薫『快楽の都』、成田良悟『バッカーノ! 1934獄中編』、西村悠『二四○九階の彼女』、御堂彰彦『付喪堂骨董店』、小林めぐみ『きりきりなぼくの日常』

 読了した本:
  矢野俊策/F.E.A.R.『明日へのプロファイル』、米澤穂信『ボトルネック』、濱岡稔『ひまわり探偵局』、森博嗣『少し変わった子あります』、海道龍一朗『真剣』『悪忍』、有川浩『図書館内乱』


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