2006年11月。


下旬。


 朝っぱらから原付で走っていると、最近は小学生の群れと出くわす。てのも位打ちからのお出かけがなくなったせいである。原付で歩道のそばを走るんですが、さすがに子どもたちがいるときは離れるし、速度を落として慎重に行ったりするのです。それはそれとして、信号停車なぞしていると、とある小学校の子どもたち、先頭を行くのは上級生っぽい少年少女で、その後ろをカルガモ状態で一年生とおぼしき子どもたち(黄色い帽子に黄色いカバーのランドセル)が続く。で、上級生、渡り終わったら、右と左の車に頭を下げ、向かい側にいる横断中の旗持ったPTA、手前にいるPTAに頭を下げて行軍再開。おにーさんおねーさんに従って、黄色い子どもたちも同じようにするわけで。なるほどこうやって仕込んでいくのだな、と感心。頭下げられたり、挨拶されると、道を譲ったりちゃんと停車してよかったと思うもんである。うむ。


 というような日々に、いきなり福岡にいる十年来の友人からメールが来る。「産まれました」はあ? ちょっと待ていきなり何をいいだすのだきみは? と問いただしてみれば、本人丈夫じゃないんでどうやら妊娠したことも極秘にしていたらしい。実際、一人目のときは帝王切開だったし、今回も切迫早産。それにしても直接しばらく会ってない連中、みんな知らなかったようで。ともあれ友人間でいつものように何かお祝い贈りたいねえ、という話が一日でまとまり、いつものように私が「あとよろしく」ということになった。ふう。まあみんなでお金出して、予算1000円前後から高くても20000円かからないというのがパターン。あんまし高いともらう方も気を遣うし。これまではベビー服、絵本、体重計などをプレゼントしている。特に体重計のときは面倒だった。どこに売ってるんだ、体重計? から始まったし。まあ今回もみんなの意見をいくつか聞いて、こーゆーのもあるけど、ほしいものがあれば優先するぜよ、とメールする。じっくり考えますとの返事。


 しばらくして、その彼女からハガキ。喪中欠礼。おばーちゃんが亡くなってたそうで。ハガキの最後には新しく誕生した娘さんの名前が書いてあった。そこで初めて名を知った私。うーん、そのおばーちゃんは二人目の孫には会えなかったのだなあ、と思う。春先に亡くなったとのことだったので、孫のこととか知らなかったのかねえなどとしんみり。そーゆーのが来ると今年ももう年末だなあと感じる今日この頃。


 という話でアップダウンしていた頃、母の知人の娘さんが交通事故に遭ったのだという話を聞く。母が見舞いに行ったときにはすでに自発的呼吸が停止、瞳孔開きっぱなしで、心臓だけが動いているのだということだった。小学校一年生。私は母の知人を直接知らないし、娘さんにも会ったこともない。名前も知らない。それでも、早い知人はそのくらいの子どもがいてもおかしくなかったりするし、いろいろ感じるところはあるわけで、一気に沈み込む。


 テレビをぼけーっと眺めていたら、夕張市の話が出ていた。えーなになに、四人家族で年間6万オーバーの負担増? 病院と公衆トイレと老人ホームと図書館と学校がなくなる? 70歳以上の老人に支給されていたバスのパスカードが廃止? 移された団地の9割方が夜になっても明かりついてないし。税金が最高、サービスが最低? 一気に過疎化が進むと思うぞ、んで夕張にずっと愛着持って住み続けてる人たちの負担ががんがん増していく、と。んで、じり貧でツブれる。たとえば夕張市で働いている人でも、別に夕張に住んでなければいけないということはないわけで。籍を移す人も増えるだろうしねえ。ろーりんぐすとーん、転がる石にコケはつかないのです。


 ところで、こないだいつもの本屋に行き、久々にレンタルDVDのコーナーに行ってみたときのこと。どうも棚がスカスカしている。これは一体何事であるか、と首を傾げたものである。その後、本売り場に行って、ふと気づいた。む、新刊の冊数が少ない。講談社ノベルスの新刊で西澤保彦が出てることを知らなかったぞ、私は。文庫の新刊平台に本を一冊ずつ立てて並べている一角があり、それって一冊しかないわけで。明らかに売れるだろうという類の本で5冊程度。むー、と唸りつつ、既刊棚へ。既刊棚の下に平台があって、そこには先月の新刊とかキャンペーン中の本なぞが平積みされているのです。そこにぽこぽこ穴が。むう? 怪しく思いながら、その翌日行ってみたら、いくつかの穴が埋まっている。どうやってか? 方法1:もちっとだけ高い平積みの本をそこに移して均す。方法2:既刊棚から抜いた一冊本を抜いて置く。結果、平積み全体が低くなり、牧野修の新刊が三カ所くらいに違うレーベルのところに分散されていたり。で、穴埋めしたとおぼしき本が元々あっただろう既刊棚、これがそこに一冊分ずつのスペースができたまま。その後、一週間ほど経過しても、新刊の入りが遅い、冊数が少ない、既刊の補充がない、何より、11月も終わりだというのに12月の新刊案内が作業台の横に立てかけてない(11月の予定表のまま)。ただし新刊案内に関しては、届いてないわけじゃないようで、コピーはいつものようにもらえたのだけど、作業台のところにあるやつは、あれで入荷確認とか予定とかやったりするもんじゃないのかなあ。耳を澄ませば、これまでこの店で聞いたことのないようなレンタルとか販売とかのサービスを宣伝するアナウンスが流れてくるし。ぶっちゃけた話、近々ツブれるんじゃないかと危ぶんでいる私。前回ツブれてた本屋や何ヶ月か前にツブれたとこと雰囲気や本の動きが似てきてて、じり貧な感覚が消えないのよねえ。杞憂であることを望む。


 とある本屋で見た、今旬のモーストインパクトタイトル。「ももんがぁ対見越し入道」気になりません? それ見たのは例のでんじゃらす「闇の森」の中心近くにある本屋。立ち読みなぞすまして、「闇の森」を原付でぼへぼへ走っていると、ノボリが目に付いた。「市」……すまん、ものすごく正直な話、これは何をいってるのか理解できなかったのですよ。「百」と「均」だけデカくて色まで変えてあるので、ぱっと見「百均」でも「百貨均市」って後ろは「均一」のもじりとして考えるに、「たくさんの商品の何らかが均一である」ということをいってるだけだよなあ。つまり、値段のことだけとは限らないし、いわゆる「百均」のように100円とも限ってない。全品1万円でも均一は均一だし。あるいは質的なレベルかもしれんし、メーカーかもしれん。ううむ、こりはいったい何なのだろうか。


 加納朋子の新刊情報をゲットした。短編集で『モノレールねこ』っての。タイトルいいなあ。紹介文なぞ読んでいると、ペットのザリガニの一人称短編を発見。タイトル、「バルタン最期の日」。バルタンってんだから、バルタンですよなあ。ハサミだし! 早速恩田陸の新刊と一緒に市立図書館にリクエストしちゃう。その晩、実相寺昭雄の訃報を聞く。ショックを受けたというか、まだ生きてる人だったのかという気持ちが強かったり。ご存じない人のための補足であるが、『星の林に月の舟』の著者です。うーん、今回こーゆーネタが多いなあ。


 ある朝、起きてメールチェックしてたら、こないだ子ども産んだ友達からメールが来ていた。希望プレゼントの回答のようだ。読んでみたら、どうも上の子が引っ越してすぐアレルギーで小児喘息で病院通いのようで、下の子もそうかも、という前振りの後で、第一希望掃除機、第二希望空気清浄機……ってちょっと待ていっ。この展開からすると、今掃除機ないんで(壊れてるんで)ほしいなあ、って程度じゃなくて結構マジ話じゃないかえ? その手の掃除機なんて上を見たら涙がこぼれるくらい高いぞ、10万越えるし。ちなみにしばらく前に我が父が買ってきた掃除機、水フィルター式ってえの? 吸い込んだのを水に通すタイプ、15万オーバー20万以下っていってたし。かといって予算枠に留まりそうなやつって、アレルギー対策とかに御利益あるかどうか分かんないし。と混乱しつつ、他のメンツにメールを投げる。その日のうちに、みんな混乱してくれたようで。むう、どうしたもんか。今のところ「掃除機は向こうに買わせよ、無難に空気清浄機でゴー」という結論に落ち着きつつあるが、みんなして週末いろいろ当たってみるそうな。やあ、みんないいヤツよね。


 ちょっとアッパーな感じになってきたところで、例の交通事故に遭った少女の話の続報が入る。見通しのよい道路、下校中の小学生3人。はねられて一日目、ものすごい元気だったそうな。常々元気な少女で、バク転やったりと体育系みたいな。ところが、二日目に急転、呼吸停止の事態だったそうで。校長先生とかPTAの人とか来たりして謝ったとか何とか。いや別に校長のせいじゃないと思うが。脳死状態のまま、とうとう30日に亡くなったそうで。変死ということで警察が来たらしく、多分検死解剖とかあったんじゃないかなあ。喉か気管の途中に何か詰まったままだったらしい。肺そのものはとてもキレイだったそうで。そんなこと聞かされてもねえ。1日目に元気だったってのが余計悲惨な感じ。6歳か7歳くらいでしょ? 生きてればこれから先、いろんな楽しいことや嬉しいことや悲しいことやその他諸々が待ってたはずだったわけで。たまらんなあ。あ、いかん、書きながら涙ぐんできちゃったよ。……冥福を祈ります。


 てことで書くのがキツくなってきたので、今回ここまで。






 購入した本:
  壁井ユカコ『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち1』、山本弘『神は沈黙せず(上・下)』、畠中恵『ねこのばば』、メリッサ・スコット『天の十二分の五』『孤独なる静寂』『地球航路』、畠中恵『ねこのばば』

 読了した本:
  清松みゆき/グループSNE『猫の手冒険隊、集結』、御堂彰彦『付喪堂骨董店』、小林めぐみ『きりきりなぼくの日常』、花凰神也『死神とチョコレート・パフェ』、新城カズマ『ライトノベル「超」入門』、三雲岳斗『アスラクライン4、5』、田口久美子『書店繁盛記』、小路幸也『東京公園』



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