2007年4月。


上旬。


 BMW社が新聞に広告を載せたそうでして。運転者の思考とかをフロントに映し出すシステムの予約開始ってな話。予約の問い合わせが結構あったらしく。もちろん、エイプリルフール皇国、じゃない広告だったわけですが、日本じゃそーゆーのってできにくいですわなあ。冗談を解さぬ輩からクレームとかわんさか来そうだし。というのはさておき、成田良悟のサイトに行ってみたら、成田良悟オンリーイベントの告知が載っていました。参加資格成田良悟本人、サークル参加資格成田良悟本人の完全オンリーイベントでございました。しかも藤原祐『ルナティック・ムーン』の二次創作冒頭部も公開されちゃったりなんかして。もちろんエイプリルフール企画でしたけど。そんなん眺めてたら、「おう、アイレムに行かねば」と反射的に検索かましてごー。お、「私立愛礼夢学園」のサイトになってやがります。中学・高校・大学の一貫教育で、洞窟探検家の資格も取れるようですな。にまにましながら卒業進路とか学校案内図とか眺めていると、学園長挨拶で学園長殺されてるし。学園七不思議を探す話になっていくし。いやー、堪能させてもらいました、アイレム企画。一日だけのエイプリルフール企画なので、もうとっくに消えてますがね。8メガ越えるサイト(ページ数だけで50近い)+16メガくらいのムービー+校歌、掲載された怪しい写真やCGの数々を一日だけのために作るアイレムはスバラシイと思います。ちなみに昨年はどこぞの湖だかに怪獣を探しに行った企画だったかと。計画書や写真や進行過程や見積書とかが公開されてました(もちろん一日だけ)。来年は何やってくれるかなー。


 前回は珍しく旧作「樹海の葡萄」とかをUPしちゃったりなんかしたわけですが、その直後家の中をぶらぶらしていたら怪しいものを発見。赤っぽい箱に青い時で商品が書いてあります。「伝説の果実 北海道 ドラキュラの葡萄」なんじゃあそりゃあ、と思ったら「あ、それ北海道土産でもらった」とこともなげに父上がおっしゃる。裏返して商品成分とかを見るに「ドラキュラの葡萄(200g)の成分パワー」? ビタミンCがレモンの2倍、鉄分がホーレン草の1.6倍、カルシウムがバナナの3.4倍。てか何故バナナと比べるのだ。まあハスカップの果実液なんですがねえ。うーん、ハスカップワインは飲んだような記憶がありますが、ハスカップってどんなん? 広辞苑に入力してみる。は、す、か、っ、ぷ……「バスガール」が出ましたよ? ウィキで調べてみる。ほう、スイカズラ科スイカズラ属で、不老長寿の秘薬ですか。ん? 待てよ、えーと広辞苑広辞苑。ぶ、ど、う……「ブドウ科ブドウ属」うわ、ハスカップ、葡萄じゃないやん。などとネタにしつつ、検索を続け、通販サイトを見つける(→ここ)。や、夕張メロンピュアゼリーヌーヴォーの今年分はもう売り切れてますかそうですか。とうきびハイミルクチョコとか夕張メロンピュアゼリープチゴールドとかドラキュラの葡萄ゼリーとか、ネーミングは楽しいですなあ。誰か北海道に行くときにはお土産希望。


 変な商品といえば、最近一番インパクトがあったのが、「ショッカー幹部パーティーワインセット」ですかね。やりおるわバンダイ。税込み15750円で、ワインとワイングラスが2つずつに、日本支部長ゾル大佐からの招待状付きで、ショッカーマークの箱に入っているすんぽー。見たときは「これもエイプリルフールなネタかよ」と思ったんですが、掲載時間見たら4月2日だし。うーん、実物見てみたいなあ。


 前回移動図書館で本を借りた話など書きました。移動図書館は一ヶ月に一度その場所にやってきまして、貸出期間は次に来るときまでってことでフツーに図書館で借りるより2倍くらい長いのです。たまに利用するのは、結構穴場で新刊が残ってたりするってのと貸出期間が長いので、最優先ではないけどキープしといて読むという方法が使えるためです。ところで、熊本市立図書館のサイトで貸出情報を見てみたら、何冊か延滞マークがついとりまして、ぎょっとする。ん、こりゃ前回移動図書館で借りた本ばかりですな。んー? おわっ。移動図書館のスケジュールを見てようやく分かったざます。前提として移動図書館は月の前半に動きます。で、2月終わりくらいから半月ほど蔵書整理期間だったと。結果として、何が起こったかってえと、先月私が借りたとことか、移動図書館が回ってくるサイクルが今回に限り1週間ちょい。貸出するときに半年くらいのスケジュール表はもらいましたが期限のこととかいわれなかったんでまったく気付きませんでした。前回に引き続き、お役所仕事って感じずら。あと半月以上あるつもりだったのでまったく本も読んでおらず、むかつくー。返却しましたともさ。ぷん。


 まあここんとこずっとダン・シモンズの『イリアム』にかかりっきりでしてね。えらい時間かかりましたが、それに見合った楽しさでございました。基本的には三つの話が同時展開していく方式で。時代は結構未来。

 1)火星でギリシャ神話の神々が再現されるトロイア戦争を観察している。観察のためにすでに死んだ人間の学者を残存DNAから復活させ、アイテムを与えて観察報告をさせている。神々のうち、運命の女神とゼウスのみがトロイア戦争の先を知っていて、学者たちは「イリアス」を知るために未来を予想できる。トロイア戦争はすでに最後の一年に入っている。このパートの主人公である学者のホッケンベリーは、アフロディーテによって、かの女神以外には追跡も見破りもされない量子移動装置(テレポートのメダル)と、かの女神以外には見破れない使用時には透明になれる「ハデスの兜」を与えられ、アテネ暗殺を強制される。しかしトロイア戦争は「イリアス」に描かれるものとは齟齬を生じだしていて、ホッケンベリーの行動によってその齟齬が次第に大きくなっていく。

 2)木星の各衛星に、かつて地球から原型が放たれた半機械生物がいる。彼らは火星でひんぱんに量子移動が行われ、空間がぐずぐずになってきていること、さらに急速な火星のテラフォーミングに危機感を覚え、探索隊を派遣する。このパートの主人公マーンムートは小柄なヒューマノイドタイプで深海探査船の操縦者で趣味でシェイクスピアを研究している。他の仲間たち3人とともに火星に向かった彼らは衛星軌道上ステルス状態のときに、地平線の向こうからカッ飛んできた二輪戦車の神が放つ槍によって撃墜される。仲間の半数を失ったマーンムートらは、火星で延々人面巨像を造ってる緑のこびとらに救出されるが。

 3)地球ではある人物から「イーロイ」と揶揄される状態の人類が細々と生きている。彼らはヴォイニクスと呼ばれる機械の従者たちにかしずかれ、地球の拠点を結ぶファックスと呼ばれるテレポート網で生活している。二十年を1セットとして彼らは蘇生院で復活し(若返り)、第五の二十年を終えると地球を取り巻くリングに昇天すると信じられている。リングにはポストヒューマンがいるとされ、イーロイたちはポストヒューマンになるのだと信じられていた。イーロイはすでに文字を知らず文化を知らず自力で1マイル以上歩くこともせず料理も掃除も戦いもできないし、そのことに疑問を持たない。最近の流行は「トリノ聖布」と呼ばれる布状の精密機械をまぶたにかぶせること。そうすることによって連続ドラマのように「トロイア戦争」を見ることができるのだ。ここでの主人公は第五の二十年の最後の一年に入ったハーマン(自力で探検を続け文字が読めるようになった)や蝶コレクターの女たらしディーマンら。彼らの前に「オデュッセウス」と名乗る老人や第五の二十年などの周期に縛られない「魔女」らが現れるが。

 といった三つのパートが入れ代わり語られ、後半で徐々に混じり出す。あ、地球パートで出てくる「イーロイ」ってのは作中でもほのめかされてるんですが、ウェルズの「タイムマシン」に出てくるエロ医、じゃない、エロイたちですな。資産家と労働者の進化が進んでいったら労働者はひたすら労働するだけの、資産家は労働を忘れ享楽的になっていくっていうやつ。資産家の方はエロイで、労働者の方がモーロック、だったかな。なるほどそんな感じで、じゃあモーロックが機械の従者たちかなってとこで。全体的な感想としては、いやー、トロイア戦争とか有名な名前やエピソードは知ってるんですが、なかなか分からない人名とかも多くてどうなることかと思ったんですが、後半がしがし楽しい展開になっていきます。ギリシャのえこひいきしまくる神々が戦争に介入しては、英雄たちにナノマシン注入してハイパー化させたり、ホログラムの馬に引かれる二輪馬車で空を飛んだり、時間を停止させたりとか、神話の再現をSFちっくにやってくれます。うー、アキレウス燃えるーっ。てかハードカバー2段組700ページ越えが、ぶっちゃけ序章みたいなんですが、こりゃ『オリュンポス』が出る前に読んでなくてよかったよう。まだリクエストした分は届いてないんですが、来たら最優先という感じでしょうか。でも、多分、今週末には手元に来るとして、それまでに恩田陸の新刊も来るだろうから、まずはそっちを片づけてシモンズにかかるとしましょうかね。一度入ったら恩田陸とか読んでる余裕なくなると思うし。


 ちょっとシモンズ待ちで余裕が出てきたので、通販限定販売で届いた川上稔『遭えば編するヤツら』を読了。笑ったー。笑いは活力源ざます。しすまげどんとかしょかつこーめーとか笑える話最近続くなあ。それにしても電撃系の作家ってこーゆー遊びが好きですなあ。どんな遊びかってえと、「遭えば」のシリーズはメディアワークスのサイトで掲載されたもので6MenDiceという作家六人組(てかこのネーミング)のリレー小説が始まりで、さらに電撃hpに川上の「遭えば変するヤツら」で展開。電撃の作家たちがアレンジされて登場しまくるわけで。「変」ではメカ古橋とか笑いました。今回の「編」では主人公が衝撃文庫で作家をしてるマフィア系成田・悪悟、その妹で常識人の成田・良子。悪悟が締め切りデッドライン(殺される期限)6時間くらいの段階で、衝撃文庫から入稿を終えた四人の作家が応援に駆けつける、という筋書き。「いぬなみっ!」を終えて新作「うまなみっ!」の準備に入ってるスキンヘッドで全裸の変態作家有沢・汚水(元ネタは「いぬかみっ!」の有沢まみず)。内臓大好きゴスロリ電波作家で「魯迅パンストミルク」を仕上げた藤原祐朋(「レジンキャストミルク」の藤原祐)、魔法少女もので人気で本人も魔法使いのメガネっ娘セーラー服、その正体はジャージ用務員のおかゆ・まさこ(「撲殺天使ドクロちゃん」のおかゆまさき)、某国が対衝撃文庫用に開発したものの何かに目覚め萌えに走ったロボット高橋876号(「灼眼のシャナ」の高橋弥七郎)といった面々。他にも悪悟の作品がアニメ化される話(成田良悟の「バッカーノ!」アニメ化にからめた話)が出てきたり、「世界の中心マッパダさん!」の予告(元ネタは「世界の中心、針山さん」)が掲載されてたりと笑えます。中でもスマッシュだったのは雑誌アルカディアの投稿コーナーの「埼玉県 成田良悟さん」のイラスト。前に川上稔によって「ゲーメスト」への投稿がスクープされましたが、これも強烈。いやー、SFっぽい話に最後はなってきて楽しかったざますー。メディアワークスの作家連は独特ですよなー。4月頭にあった電撃のイベントでも、川上のブログに出てくる話なんですが、川上のハードカバー『連射王』へのイラスト投稿が公開されてて、それが「埼玉県の成田良悟さん」だったりするわけで。


 朝、原付でとろとろ走っていたら、坂の歩道を爆走するチャリが一台。ほら、一昨年くらいに雪で凍ってボブスレーコースみたいになってた坂ですがな。凍ってませんが。ん、ありはどことなく旧支配者様のようですが。前に見たのとチャリが違うような。でも方向は合ってるよなあ。うーん。旧支配者様は文化系のところに異動になったようです。頑張っておられるのでしょう。ぷろとかるちゃー。とその直後、道端に変なものが落ちてるのを見つける。鳩? いや鳩っぽい羽根? というか妙にこんもりしてまして、鳩の手羽っ!? すぐに通り過ぎてしまったんですが、怪しげな儀式でも行われてたんでしょうか。旧支配者様と遭遇した後だけに(以下略)。いや、略のところで不穏なこととか書いてませんよ。式神とかヒットマンとか放たれるのイヤですしね。


 シモンズ待ちで「無双OROCHI」をだいぶ進めました。メインシナリオは四本すべてクリア。ただレベル「難しい」だとまだ瞬殺されるー。やっててそれぞれのシナリオでお気に入りのキャラを中心に、あんまし好きでないキャラも結構使ってるのは前回いったようなシステムの勝利でしょうか。ただ、いくつかやっぱし不満点もあるわけでして。「戦国無双2」で登場し、「戦国無双2エンパイアーズ」で使用可能になった柴田勝家や佐々木小次郎なんか影も形もありません。「戦国無双」から復活したキャラとかはたくさんいるのに、何故? あとキャラ選択時にランダムボタンがあって、スロット決めるようにキャラが選択されるので、てきとーにやるときとか使ってるんですが、どうせならマップもランダム選択できるようになってたらよかったのにと思うのですよ。キャラランダムで、マップランダムに選んで、いかにしてクリアするかみたいな感じで楽しめたらなあ。自分で選ぶとマップ偏るし。ムービーは結局OPがひとつ、シナリオ開始時がひとつ、各シナリオのエンディングで4つの計6つですか。それ以上の数入ってるのは、各無双の予告ムービーです。いらねー。こんなん入れるくらいだったらもっとキャラ紹介とかやってくれればいいのに。エンディングも使い回しなイラストとかだったし。


 桜玉吉の「御緩漫玉日記」の3巻が出てたので購入。「しあわせのかたち」から入ったファンなんですが、うーん、どよどよーんとしてますなあ。ゲームコミック「しあわせのかたち」の後半からエッセイ漫画になり、以下体験シリーズの「防衛漫玉日記」、会社設立したりする「幽玄漫玉日記」に続くシリーズでございます。ぶっちゃけ、「漫玉」になってからどんどん病んだ感じが出てくるのですよねえ。そのせいで休載になったりとか。前に「ファミ通」で連載してるみずしな孝之が鬱入ったときにも「これだからエンターブレインの作家は」といわれたのは玉吉がいたせいでしょうな。「幽玄」あたりから墨書きとか切り絵調とか葉っぱ組み合わせて扉絵とか前衛ちっくだったりするのも楽しいところ。まあ読んでて笑えたり、どよーんとなったりするんですけどね。

 墨漫画でどよーんとした後、江草天仁の炭漫画「びんちょうタン」を購入、読破。名前は知ってたんですがね。読んでみて、こりゃどうしたもんだろうと反応に困る。主人公で頭に備長炭をくくりつけたけなげな「びんちょうタン」、発明好きの元気娘「ちくタン」、お金持ちの箱入り娘「くぬぎタン」、神社の孫娘でお寺の孫娘で霊感少女「れんタン」らが登場する四コマ漫画でございまして、合間に「備長炭」や「竹炭」とかの使い方が入ってたり。ほのぼのしたり切なくなったり。ううー、「ドラえもん」の昔からおばあちゃん系の話には弱いのです私。あと、1巻で書かれたエピソードが微妙に角度を変えて2巻でまた出てきたりとかするのにはびっくりしました。ぶっちゃけ買い間違えたのかと思ったくらい。あ、でもこりゃ私的にはヒットかも。アニメにもなってるそうで、レンタル屋に出てるなら探してみようかしら。


 なんかもうすっかりあったかくなってきましたなー。こないだ休みの日にぽけーっと窓から外を見てたら、白いものがえらい飛んでまして。ほら、あれですよ、遠山の金さん銀さんでお馴染みの桜吹雪ってやつ? ってあら? 私の家の近くに桜なんてあったかしら? と思ったら近くの山から飛んできてた模様。うーん、桜ちるー。風流ですが。


 どうにかK大ものの旧作を掲載。読んでやろうかという奇特な御方がいらっしゃいましたら、どうぞ、怒んないでね(ぷりーず)。K大ものの説明で更新した部分など読んでおくといいかもよ。なお、次回更新時になんぞUPするかどうかは未定です。予告しちゃうとやんなくちゃいけなくなっちゃうし(おい)。






 購入した本:
  栗本薫『もう一つの王国』、五代ゆう『パラケルススの娘6』、古橋秀之『冬の巨人』、久保田悠羅とF.E.A.R.『アンデッド』『聖雪のキャンパス』『想望のメモリアル』、ファミ通編『カプコン電子の猛者たち』、茅田砂胡『王女グリンダ』、佐藤大『レックレス・プレイヤーズ』、久住四季『トリックスターズC PART1』、三枝零一『ウィザーズ・ブレインⅥ 再会の天地(中)』、岡田圭介『ディストーション』、沖田雅『オオカミさんと“傘”地蔵さんの恋』、成田良悟『バッカーノ!1934完結編』

 読了した本:
  ダン・シモンズ『イリアム』、六塚光『タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔』『タマラセ 探偵はドリルで突つかれる』『タマラセ ボンクラたちのララバイ』、久保田悠羅とF.E.A.R.『聖雪のキャンパス』『想望のメモリアル』、川上稔『遭えば編するヤツら』、成田良悟『バッカーノ!1934完結編』



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