下旬。
小遣い稼ぎの場で、本をあちこち貸したりしていると、別の人から声を掛けられる。「俺にも何か貸してくれんね?」ほうほう。その四十がらみのとっつぁんの好みはというと(
前もってリサーチ済)、戦記物だがフィクション系、みたいな感じ。「こないだまで太平洋戦争関係とか読んでてねえ」ううむ、フィクション系はあんまし強くないからなあ。といいつつ、高校くらいで読んだ零戦乗り坂井三郎『大空のサムライ』ネタで盛り上がったり。「何か面白いの貸してくれたら、日本刀の本とか貸すよ」日本刀かあ、見てみたい気もするが。「フィクション系あんまし持ってないんですけど」「物語とかになるかね。物語はその世界にのめりこめるのがいいよねえ」などとおっしゃる。ぐう、どうしたもんか。と数秒悩んで出て答が「て、ていとものがたり……?」お任せコースになったので、翌日持っていったのが、荒俣宏『帝都物語1、2』、半村良『産霊山秘録(上・下)』、隆慶一郎『影武者徳川家康(上)』といった、歴史系のネタを下敷きにしつつ、ちょいと違う方向に行っちゃうもの。
すなわち、伝奇系! 複数貸しでお好みのものの続きなりを選択してもらう咆哮で。さらに翌日、「あれ出だし読んだけど面白いねえ。だけどちょっと時間かかるばい」「どれ読みました?」「影武者のやつ。でも娘に取り上げられてしまったたい」私の脳裏の中では気弱そうなとっつぁんに娘さんが突っかかり「何だよ、おもしろそーなもん持ってんじゃねーか」とジャイアン的に本を奪うシーン。娘さん、歴史ものとか興味あるらしくて、しばらく前まで中国物に凝ってて、最近日本に上陸って感じになってたところにナイスタイミングだった模様。しかも中学三年生とか。微妙に脳内シーンを修正(ジャイアン→ジャイ子)。「それよりゲームも貸してくれんね」そういやとっつぁんとは「真・三國無双」の話もしたっけか。「『戦国無双2』なんてどうです?」と話の流れでそちらを貸すことに。
こうして二人(父娘)のお客が増えたわけですが、一方で減るお客もいるわけでございます。前回アクション小説を貸してた人ですが、本はしばらく貸さなくていいということになりました。経過は以下の通り。
まずその人が「ゲームはパワプロ(育成系野球ゲーム)以来やっとらん」という話をしていたと思いねえ。で私が例によって「じゃあ何かやってみます? 面白そうなの見繕いましょうか?」としゃしゃり出たのである。まずRPGやシミュレーション系は外された。
間に長い中断とかが入るとストーリーや展開がどうなっていたのか忘れがちだからだ。
複雑な入力を要求するのもダメ。なんとなればその人は昔はカラテで全国大会とか出てたそうだが、今は結構反射速度が鈍ってきているようだからだ。「じゃあ」ということで私が持ってったのは「真・三國無双2」と「塊魂」どっちもアクションゲームだけれど、さほど複雑なボタン操作はないし、やっててゲームの面白みが感じられる。なおかつステージクリア式なのでしばらく間が空いても支障なし。しかし数日後「あれはちっとも簡単じゃなかばい」と返却された。ぬう、「三國2」と「塊魂」で難しいといわれたらどうすればええのか。記憶と我が家にあるゲームのリストを脳内展開して検索。結果、
去年衝動的に買いそろえた「ナムコ・ミュージアム」が浮かぶ。うむ、これならシンプルだし、懐かしかろう。さらに話していて、「『シムシティ』みたいな町作ったりするゲームは前やったけど面白かった」とのたまわれたので、「ああそれなら」と地図作製ゲーム「ネオアトラス2」に馬育成ゲーム「ダービースタリオン」を提案。興味を持ってくれたようで、翌日持ってこようとしたら「アトラス」が見つからず、「ダビスタ」に馬ガイドまでつけて貸す。翌日、「ありゃあ分からんばい。功略本て思うたら馬の説明だし」そりゃそうだ。一番私が分かりにくかったのは、どの馬がどうなのかということだったのでその手の本を知人からもらったのである。敷居が高いようだったが、それでもちまちまやってくれてるようで嬉しき限りである。
さらに「ネオアトラス」を貸す。翌日、ふらふらになりながらやってきて「あら面白かばい」よっしゃあ。どうやら
ええ年こいたおっさん(四十代)が、夜中からやり出したゲームで徹夜したらしい。しかも「
メモリーカードが足りんかったけん、保存できんで、電源点けっぱなしで来た」という。メモリーカード(PS2用じゃなくてPS用)は一枚所持で、「ダビスタ」が入ってしまったため「アトラス」には足りなかったらしい。休憩時間に外線104で近くのゲーム屋の番号を聞き出して電話。「プレイステーションのですよ、メモリーカードはありますかね? 中古でよかっですけど」応答があってどうやら確保できたらしい。「プレステ2のじゃなくて、古いのでいいんですね、古いのですね」としつこく念を押されたらしいが、中古で980円也。帰りがけに寄って購入してまた夜中3時くらいまでやってたらしい。「それにしても、わしがメモリーカードのセーブ数15ブロックって何か聞いたら店員も首ばひねっとったばい。ありゃ何かね」「いや、プレステ1のメモリーカードはブロックってのが単位で15ブロックまでなんですよ。ゲームごとにセーブデータが何ブロックってのが決まってるんです。プレステ2はバイト単位で8メガまでばかすか入れられるんですが、1用とは互換性がないのです」「あの店員はそぎゃん違いも知らんかったんかねえ」そりゃあプレステ3が出て何ヶ月も経っているわけで、
プレステ1を知らない世代がいてもおかしくはなかろうが、メモリーカードの違う知らないのはゲーム屋の店員としてはどうかと思う。で肝腎の「アトラス」はというと、「破産寸前ばい」大航海時代を扱ったゲームで主人公は船団を作って提督を雇いあちこち派遣して地図を作るというやつである。最初の何年かはポルトガル王から資金援助があるが、地図作製でそこそこの成果をあげないと援助打ち切りになったりする。まあ貿易とか宝探しで稼げるんですがね。「最初はアフリカの喜望峰発見を目指して南回りで行くのがいいですよ。北回りのロシアから行く航路は停泊できる町がなかなか見つかりにくいし、西回りで行くと大西洋の感覚が分かりにくくて、アメリカ大陸になかなか到達できないんで」などと思い出しながらいうと、
メモ帳を取り出して事細かに方針を書き込んでいる。さらにミッション中も夕方になったらそわそわしだし、「ううむ、残業はなしですませるばい」とかいってるし。
そりゃあもう見事にハメたって感じでこちらに達成感があったり。さらに翌日、貸してた本をまとめて返却され、前述のようにしばらく読めそうにないので返す、新しいのは当分いらないと宣言されてしまったわけで。「パックマンも面白いし、馬育てるのも楽しい。でも今は地図ばい」
そ、そこまでハマるかおっさん?
先日新聞を見てたら教科書の話で、
漢文のテキストに「三国志」を取り入れた章をまるまる作るとか何とか。「演義」なのかどうか分かりませんが、理由として昨今男の子の間でそーゆーのをモチーフにしたゲームがブームで、そっからマンガや小説に進む例が多いのだとか。そうした興味をそのまま勉強につなげようという魂胆であろう。うむ、
「三国志」を取り入れたゲームといったら、KOEIの……「決戦U」? いや「三国志戦記」? 何かボケようとしたが思いつかず。ぐう。まあ妥当な線で「無双」なんでしょうがね。それにしても「無双2」がヒットしてから相当経って、「無双」もだいぶ飽きられてマンネリ化してるわけですが、今更という気もしますねえ。
というネタ振りの後で、
「無双OROCHI」の感想です。まず
結論:悪くない。シナリオはまああってなきがごとしなんですが、各勢力のシナリオが微妙にリンクしたりしてるのが楽しい。流れとしては、時空をねじ曲げて「戦国」と「三國」の世界がくっついてるんですが、その勢力に魔王遠呂智軍が挑んですべて打ち破ってる状態。「三國」の内、曹操は死亡、孫堅は捕虜、劉備は行方不明となっている。魏は曹丕が後を継いで魔王軍と同盟し、それを良しとしない武将は反乱軍へ。呉は人質解放を条件に反乱軍鎮圧をせっせとさせられていて、陸遜・甘寧・凌統らはそれを嫌って反乱軍へ。蜀は趙雲が反乱軍を結成して劉備を捜索中、それを諸葛亮が邪魔をする展開。トータルとして、それぞれの勢力の半分くらいは魔王軍、残りが反乱軍という状態ですかね。「戦国」系はというと信長軍、信玄軍、謙信軍が独立して反乱勢力となり、徳川は人質取られて呉と行動をともにし、毛利・伊達あたりは魔王軍、北条は反乱軍になっている。シナリオは全部で四つあり、「魏」「呉」「蜀」「戦国」の勢力別になる。それぞれのシナリオで使える武将が限られるという「三國無双3」方式だ。ただし前述のような敵味方混沌としているので、使える武将がシャッフルされた状態になっている。例えば陸遜は呉の武将だが呉シナリオでは使用できず、「戦国」で信長配下になって使えるようになる、といった感じ。
まずけなす。全体としては、「三國3、4」と「戦国2」と「三國3エンパイアーズ」を混ぜ合わせた感じで、
マップは最終面を除きすべて使い回し。武将エディットもなく、護衛武将もなし。キャラの
コスチューム変更は色違いのみ2色。
ムービーもオープニングと共通オープニングとエンディングくらい? 過去の無双の予告ムービーが入っているがはっきしいってそんなもん収録するくらいならギャラリーにキャラ情報でも掲載した方がタメになると思う。特典みたいな感じでキャラの絵が見られるのですが、それがいちいち読み込みが鬱陶しい。
キャラ選択でカーソルひとつ動かすたびに読み込み、またひどく遅い。そんでステージロードの時間もたっぷりだ。画面真っ黒で待たされるというのは無双初じゃないかな。無双のウリだった爽快感は前作「戦国エンパ」が極端に敵兵が少なかったのと逆に雑兵がわらわれ出てくれるのでいいのだけれど、必殺技であるはずの
「無双奥義」「無双乱舞」に爽快感がないのはどうしたものか。しかも奥義メーターの減りが早いため、あっという間に終わってしまう。付け加えて、初の試みだが
奥義メーターが敵殴っても回復しません。これまでのシリーズでやってきたような「死にかけてるとメーター回復が早くて、逃げ回りつつ一発逆転」みたいなマネができないのです。じゃあどうやってメーター溜めるのかというと、チーム制なんで控えに回すとライフ、無双ともにじわじわ回復。アイテム取っても回復。あと武器に付加効果をつければ多少殴っても回復するようになるが、「無双」の爽快感は減じてしまっている。あ、あと後述する技能が誰が何を持ってるのか分からないので結構面倒くさい。一覧で見られればいいのに。
けなしたので褒める。勢力別シナリオだと使うキャラと使わないキャラがひどく偏るのだが、それを防ぐ工夫があった。今回装備アイテムがなくなり、すべて技能や武器の付加効果に変わっている。たとえば攻撃上昇技能とか付加効果「旋風」(攻撃範囲拡大)といった具合。技能は全キャラ共通で8つまで装備できる。この技能、どうやって入手するかっていったらそれぞれの武将が3、4つくらい所持しているのですよ。ひとつずつしか表示されないのですが条件を満たすとそれがゲットできる寸法。例えば最初は「60人撃破」とか簡単なものなんですが、後になると体力○%維持したままとか開始後○分以内とか条件が加わってきます。んで「攻撃力上昇」技能をひとつゲットしてもあんまし変わらないのです。別の武将で「攻撃力上昇」をさらに入手するとその技能のレベルが上がり、最高レベル20まで(馬関係は10)になります。つまり、
使わない武将とか嫌いな武将でもプレイする意味が出てくるんですな。しかもシナリオクリア時のボーナス経験値を全キャラ共通で使えるようにプールできるので、後から出てきたりあんまし使わなかったキャラに突っ込んでパワーアップさせたりといった救済もあります。キャラやマップの使い回しも大して気になりませんでした。呉シナリオで初期キャラ「孫策」「徳川家康」「服部半蔵」という組み合わせで、「島左近」を軍師に迎えて、旧蜀残党(張飛の娘とか)+呉残党(甘寧ら)+島津軍と戦うマップとかわくわくしますわ。キャラの組み合わせで微妙にセリフが変わるし、掛け合いとかシンプルで楽しい。遠呂智軍には司馬仲達と諸葛亮に石田三成が軍師としていていろいろ仕掛けてくるので、それも予想外の組み合わせとかあったりして面白い。キャラ配置等を変えるだけでマンネリ感払拭ですな。
工夫次第でやれることはあるってことで。もっとも
鉄鼠とか猩々とか仙狸などの遠呂智軍武将とかに混じって牛金とかがいたらいったい何の妖怪だよとか思ったりしますが。さらに「戦国2」で真田幸村と前田慶次しか使えなかった便利技能「馬呼び」(直前まで乗ってた馬を画面外から呼び寄せる)がデフォルトで全武将搭載です。「三國」の馬上チャージと「戦国」の馬攻撃といった重なる要素は「馬攻撃」の方にほぼ統一ですが、馬超などは馬上チャージが残っているようです。その辺りはいい感じになっています。経験値溜めてその場でレベルアップってのも「戦国2」のシステムですが、強くなった感があってよろしい。
と
持ち上げたところでもひとつ落とす。「戦国」系武将相手によく起こることなんですが、
攻撃がすり抜けることがあるんですよ。具体的には相手が連続攻撃に入ってるとき横合いとか背後から攻撃するとスルーされる。これがどうにも違和感がある。つまりですね。ゲームやってると自分でリアルに攻撃してるわけじゃないですから、どうやってそれを実感できるかってこと。格闘ゲームとかでもそうですけどね、ボタンを押したときのリアクションがコンマちょいレスが悪くてももっさりした感じになる。攻撃受けたのに遅れてよろめかれたりしても興ざめですわな。シューティングでもしかり。相手のリアクションと音ですよ、要は。弾が当たっても音がしないとか爆発しなかったら、「当たった」という感覚がしないわけで。で「OROCHI」に戻りますけど、くだんの現象、よくよく観察してみるに敵の体力減ってるんですね。つまり
当たってないように見えるのに当たってる。ぶっちゃけ敵が雑魚に混じってると敵体力メーターがよく分からないので当たってるのかどうかすらごちゃごちゃになってしまいます。
敵を薙ぎ倒す爽快感がウリのゲームでそんなことされてもねえ。「戦国無双2」で話題騒然だった味方武将の救援要請をご存知の人もあるかと思いますが、「戦国2」では雑兵ひとり本陣に入っただけで「本陣に敵が! 至急救援を!」とメッセージが出ておりました。今回はそういうことは少なくなりましたが、
総大将敗走が敗北条件なのに率先して総大将が敵陣に突っ込んでいきます。
「総大将苦戦」とかメッセージが出てときにはホントに苦戦してます。「苦戦」のときは体力半分削れてるし、顔付きメッセージだと死ぬ直前です。しかも他武将は回復しないのです。結果として総大将にべったりくっついて護衛しなくてはならない局面も。他の場所でイベントとか武将苦戦してたりするのに助けにいけないというのもなあ。あと「無双」にしては珍しく処理落ちします。何度バランスも相当なもので。「易しい」「普通」くらいだとほとんどこちらの体力は減りませんが、
「難しい」になると三回くらい殴られると死にます。雑魚にもやられます。
もっと上だと一撃死もあるかもしれないというハラハラドキドキのゲームになってます。シナリオも全体で四つなので欲をいえば
七十七人の個別シナリオだったらよかったのになあと正直思う。個人シナリオだったら、ボリュームも膨らむし、使うキャラとか使えないキャラとかあんまし関係なくなるですしね。とはいえ、実際は最初からずっと捕虜で使えるようになったらすぐ最終決戦といった孫堅もいるわけですし、シナリオの構成上個人でやるのが難しいとは思いますが、そこはそれシナリオライターの腕なわけで。まあ開発期間が「ガンダム無双」とダブったり、3月に合わせての発売なのだろうから仕方ない面もあるでしょうけどね。
といった感じでいい面悪い面鑑みて、総合評価:悪くない。つまるところ、そんなに期待してなかったというのが大きいですな。
「悪くない」というのは「予想より遊べた楽しめた」といった感じ。まだシナリオが残ってるのでプレイは続けますがね、もうちっと楽しめそう。
楽しみにしていた酒見賢一の『泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』が届いたのでわくわくしながら読む。ひたすら読む。前回だったか書いたように出廬から長坂までが描かれる。えーと、未読の方のために説明しますと、曹操は人材マニアの戦争狂で「主演男優症」(最後やいいとこは自分がやりたくなる)患者。
劉備は時折幼児退行する聞き分けのないチンパンジーとして描かれ、
孫権はまとまりのないヤクザ連合の三代目になります。特に今回は呉の面々がヤクザ弁(?)で登場するので楽しいです。三代に渡るご意見番「張昭のオジキ」とかそれぞれの武将の軍は「組」と呼ばれてたりとか、
魯粛が黒スーツ着たエリートヤクザみたいな雰囲気で出現したりとか。あと劉備のバカっぷりが前よりさらにヒドくなり、とにかく出廬した孔明の策を蹴りまくって機会を逸しまくり、散々脳天気ぶりを発揮しまくります。で孔明は孔明でアホウな主君を持ってしまったばっかりに、どんどん不利になっていく状況で変なことをし続けます。後半「恐竜馬車二号」の床下隠し部屋に劉備、孔明、魯粛が隠れて過ごし(長坂で曹操軍に追いつかれた)、ほとんど身動き取れない状態で主従の会話を聞かされたエリートヤクザが毒気を抜かれて洗脳されてしまうシーンとか。他、全体を貫く、歴史とは何かという話。密室でなされた会話のはずなのに何故記述者はそれを知っているのか、という真面目っぽい話が出てくる一方で、大爆笑もののセリフやらがぽんぽん出てきます。両者を合わせたシーンを引用してみんとす。場面は劉表の子で暗殺におびえる劉gが劉備を通じて孔明に泣きつき(劉備が散々自慢したせいで)、孔明を軟禁して策を要求するシーン。
たとえばこのとき孔明が、劉gのせっぱ詰まった身の上相談に対して、
「残酷な天使のように神話になればいいではありませんか」
と爽やかな表情で答えたと書かれていても、誠実な研究者であればあるほど否定も肯定もすることが出来ないのである。
「わたしは継母に呪われて、命旦夕に迫っております。どうすればよいのでしょう」
と劉gが泣きすがって問うたのに、
「人は愛をつむぎながら歴史をつくるのです。もしもふたり逢えたことに意味があるなら、だけどいつか気付くでしょうその背中には、遙か未来めざすための羽根があるのです。ほとばしる熱いパトスで、この宇宙を抱いて輝く、誰よりも光を放つ神話になればよろしいのです」
悲しみがそしてはじまるのです、と、わけの分からない助言を与えた可能性を、良心的な研究者であればあるほど否定できないのだ(ちなみに、自由を知るためのバイブルはそう孔明的には『老子』『荘子』や『易経』である)。
「孔明どの!」
「ふ。じきにあなただけが夢の使者に呼ばれる朝が参ります」
「わかりました。お言葉に従います」
と劉gがなんとなく納得すればいそれでいいわけだから。多元宇宙的にも。
とにかく『三国志演義』は小説だから仕方がないとしても、『三國志』にはこういう真偽虚実を疑われるような記述がたくさんあり、これをもとにして立派な歴史小説を書こうとする作家のいたいけな瞳を、月あかりが映してるわたしの愛の揺りかごから、ずっと眠ってる孔明がその夢に目覚めたとき、思い出を裏切るなら胸のドアを叩いて、意地悪く冷笑するのである。女神なんてなれないままでいいから、もう、さっさと世界中の時を止めて閉じこめてもらいたいものである。
酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』より
爆笑しながら、「
これホントにええのか?」と心配になったり。笑える人は笑えると思われます。まあ本作では孔明、ホントにこーゆーセリフいいそうなキャラなんですわ。深そうに見えて意味不明というか何というか。こうした名セリフとかは他にも随所にあって魏延登場シーンで後々のことに触れ、北伐の際に仲達らとともに魏延を地雷爆破にかけようとする話(後の「演義」バージョンでは削られているらしい))の後で、
蜀漢の慢性的人材不足の中、裏切り(予定)者の名を受けてすべてを捨てて戦い続けていた魏延のどこがそんなにいけないのか、謎と言えば謎というしかない異常な仕打ちといえる(そのせいか痴情のもつれ説あり)。孔明がイジメ抜いたせいでかえって魏延の性格が歪み、謀叛気分を募らせてしまったのではないかと指摘されても仕方がない。魏延が、孔明の最後の賭けであった寿命延ばしの怪しげな呪術を無意識にぶち壊しにしたのも、プラマイゼロな仕返しである。
酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』より
いやー楽しんだ楽しんだ。第参部が待ち遠しいですが、あと何年かかるものやら。
ダン・シモンズの新刊が発売になったという情報をゲットしたんで、まず熊本市立図書館に行く。
りくえすとだー。今回は去年出た『イリアム』の続編で『オリュンポス(上・下)』で、申込書に書き込んで提出。市立図書館の本館では「上下」をまとめてリクエスト・予約は不可なのです。分館はもっと柔軟に問題なくやってくれるんですがねえ。ともあれリクエストカード見たカウンターのおっさん「上下だと二つ揃うまで取り置きができませんけど」最初からそんなことは期待してないので「かまいません」てのも、早く読みたいというのもあるけれど、早く入荷させておけばまた借りれるからという計算もあるからだ。「通常は一冊ずつリクエストしてもらって、一冊借りてから次をという形にしてもらってるんですが、ほんとによろしいですか?」「かまいません」「下巻から届いて、上巻が後になることもありますよ」「どうにかします。かまいません」「ほんとにいいんですか」「かまいません」えーと、私同じセリフ何遍いいましたか?
もちっとさくさく対応せいや、「かまわん」ちゅーとろーが。で一週間以上経過してるんですが、いまだに予約リストに出てませんなあ。前にこの図書館、リクエストとか予約を入力忘れしやがって、もう一度書類出せいったとこですからなあ。翌日、今度は隣町図書館に行く。ここは上下セットでリクエストできるのです。前に恩田陸の『ネクロポリス(上・下)』をリクエストしたことあるし。で、カード書いて、前作にあたる『イリアム』を手にして、カウンターへ。「これリクエストです。この本の続編なんですよ」と簡単に説明する。するとにこやかに「ああそうですか。じゃあちょっと見てみましょうか」とパソ検索で書名を探し出し、「ああ発売されてますね。分かりました」とさくっと対応。リクエスト終了。多分入荷もしてくれるでしょう。ううむ、対応にずいぶん差があるなあ。で一週間くらいかけてちまちま『イリアム』読んでいる。面白いのだけど、読んでも読んでも終わらない。うー、忙しかったってのもあるんだけどねえ。「OROCHI」やってたってのもあるけどね。ゆっくり読むのも楽しいけどねえ。もっと時間が欲しいところです。とりあえず上旬くらいに早ければ『オリュンポス』が届くと読んでいるので、それまでには読み切るのです。
本屋に行ったら茅田砂胡の「クラッシュ・ブレイズ」の新刊が出ていた。あー、これもリクエストしなくちゃいかんなあ。でぱらぱらめくっていたら、コミック版「嘆きのサイレン」最新刊が同時発売だそうで。コミックコーナーにだーっしゅ。ゲットです。でその後つらつら考えてみるに、「デルフィニア戦記」も買ったし、「スカーレット・ウィザード」持ってる。コミックも揃っている。……「暁の天使たち」とか「クラッシュ・ブレイズ」揃えてもいいんじゃないか? と突発的に考え、ネットでいかほどの値がついているか調べてみる。……悪くない。てことで、
既刊分を大人買い。翌日新刊を買い、即読みする。うーん、悪くない。
休みの日に、移動図書館に。図書館のバスが来るのを待っていたときのこと。汗ばむくらいのいい天気で、親子連れがチャリ漕い
でのんびり走ってる団地裏。ゆっくり走ってた車が公園の横に停めてあったチャリを粉砕。いや、すんげー音がしたのよ。赤い車の助手席の窓から外を確認したのが見えた。私は公園の反対側にいたのでナンバーとか車種とかよく分からなかったのだが、そのまま車はゆっくりと走り去っていった。唖然としてたのは私と、チャリの親子連れ。親子連れはその車のすぐ後ろで目撃していたのだが。さらに進入してきたタクシーも走り去る車を見ている。「
あれ、当て逃げですよねえ?」と父親がタクシー運転手に話しかけてるのが聞こえた。まあ目撃者はあそこにいるからいいかととりあえず離れる。バスの音が聞こえてきたからである。それにしても、珍しく移動図書館に来てみればネタになるような出来事に出くわすものである。つーか、多分、ネ
タってのはどこにでも転がってるんだろうなあと思ったり。
隣町図書館に行ったときのこと。別にリクエストした本が届いたとかではなかったのだが。本を物色したり、並べ替えたりしていると、旧支配者様がすーっと寄ってこられた。何だかお久しぶりです。と思っていたらいきなり頭を下げられて、「このたび、図書館を異動することになりました」はあ? え?
旧支配者様図書館を去られる? 何やら別の館の部署に移られるようです。ふむー、旧支配者様はずっと隣町図書館におられたと記憶しておりましたが、そうですかー、異動ですかー。別所でも頑張っていただきたいものです。それにしてもこれで隣町図書館をネタにすることはなくなる……わきゃありませんな。だって熊本市立図書館だって知り合いいないのにネタにしてるし。
ああ、そういう感じで環境が変わるシーズンなんですなあ、今。異動する人あり、辞める人もいるだろうし、入ってくる人もいるだろうし、学生なら進級や入学、卒業ってのもありますでしょうし。それぞれの環境で頑張っていきたいものですな。
先日、父親が親類の集まりだか何だかに呼ばれていった。幾人かで山に実家の
山に入ってみかん狩りをしたのだという。ぼろぼろとひどく疲れた様子で帰宅した父は山分けになった獲物としてどでかいビニール袋いっぱいの「みかん」を持ち帰ってきた。
「みかん」と呼ばれていただどう見てもみかんに見えないところがミソでありまして。量と大きさが大層なものであったため、小遣い稼ぎの場に七つほど(重かったのでそれ以上は無理だった)持ってって振る舞う。そこで出たのが「これは何か?」という質問ばかりで、「甘夏」「八朔」「デコポン」といった呼ばれ方をすることになった
謎の柑橘類をみんなでおいしく頂きました。皮はごつかったけど、一週間ほど寝かしてたので結構甘かったのです。それにしても「みかん狩り」は大変だなあと思いました。
などと「みかん狩り」ネタが出た辺り、、旧作の整理をしていたところ、まあこれくらいなら、というような
作品を発掘したので掲載してみんとす。前回旧作か新作をとか書いた記憶もあるし。えーと、「狩り三部作」の第二部にあたる作品で、コードネーム
「みかん狩り」に続く「ぶどう狩り」でございます。雰囲気だいぶ違いますがね。発表が
「いかにして十一音の翼により世界は奏でられたか」の後なので、読んだ人はだいぶ困ったようですが。ちなみに第三部コードネーム「まつたけ狩り」てのも脳内に存在するのですが、諸々の事情(エグかったりグロかったり)で圧倒的脳内指示を得て執筆不可の状態になっております。ちょほほ。同じ時期に書いたK大ものも近々掲載したいところですが、断言するとアレなので、あくまで希望ってことでひとつ。
購入した本:
北方謙三『水滸伝 六 風塵の章』、賀東招二『つどうメイク・マイ・デイ』、矢野俊策/F.E.A.R.『覚悟の扉』、篠谷志乃/グループSNE『競争・怪盗・大湿原』、大波篤司『図解近接武器』、上橋菜穂子『精霊の守り人』、竹岡葉月『マイフェアSISTER』、茅田砂胡『暁の天使たち』『神々の憂鬱』『海賊王の帰還』『二人の眠り姫』『女王と海賊』『天使の舞闘会』『舞闘会の華麗なる終演』『天使たちの歌劇』『嘆きのサイレン』『スペシャリストの誇り』『ヴェロニカの嵐』『パンドラの檻』『オンタロスの剣』『ソフィアの正餐会』『大峡谷のパピヨン』、川上稔『遭えば編するヤツら』
読了した本:
成田良悟『ヴぁんぷ!U』『ヴぁんぷ!V』、有川浩『図書館危機』、酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』、篠谷志乃/グループSNE『競争・怪盗・大湿原』、矢野俊策/F.E.A.R.『覚悟の扉』、火浦功『ファイナル・セーラー・クエスト完全版』、茅田砂胡『大峡谷のパピヨン』