中旬。
近所にゴミ捨て場がありまして。アルミ缶などは24時間放り込めて、業者が回収する手はずになっていて結構便利に使う人がいるっぽい。もっとも「袋に入れたまま捨てないでください」と書いてあるにも関わらずビニール袋いっぱいのビール缶が捨ててあったりするので、マナーを守らないバカが近所にいることが分かって、それはそれで悲しいものですが。先日のこと。朝、原付でそのゴミ捨て場の辺りを通りかかりましたところ、
バイクが捨ててありました。なんちゅーか、紫とか赤とかでカラーリングされて、ゴツくて高い背もたれがついたバイクで、ぱっと見、
どこのジャングラー号改であるかという感じでした。はて、今日は燃えないゴミの日であったか? と首を捻るが、
一部の人はアレは燃えるのであろうなあなどとも考える。でも私はあの手のものにはちっとも燃えないし、もちろん萌えもしない。アクセルミュージックなどうるさいだけである。それきりそのことを忘れていたのだけれど、さらに数日して、またジャングラー号改が捨ててあった。今度は車もついてます。……これって
ゴミ捨て場を駐車場にしているのかな? いや指定のゴミ袋とか周りにあるんですよ、ちゃんと。多分、夜車駐車して、付近の住民が問答無用にゴミを捨ててると思われ。さらに数日して、夕方早めに帰ってくる途中、前方から見慣れちゃったジャングラー号改がぱらりぱらりと走ってくる。む、や、
なんちゅーか変身後のライダーみたいな顔したヤンキーライダーでした。
隣町図書館へ行ったときのこと。本を選んでいたら、カウンターで男性の大きな声がする。どうやら貸出の際にトラブル発生の模様。はて、この
隣町図書館でトラブルとは珍しいことであるなあと本棚を眺めながら何気なしに聞いていた。貸出をしたときにまだ未返却のものがあったらこの図書館では「○日返却予定の本が○冊残っています」ということで教えてくれる。それが今回のトラブル発生の原因。「19日までの本が
12冊残っています」いや多いなじっちゃん、頑張ってるじゃん、と思う内容だが、じっちゃんそれを全面否定。「わしゃそんなに借りとらん」といいはる。「ご家族がそのカードで借りられたのかもしれません」「それは絶対ない。
わしゃ、免許証の裏にカードはいつも入れとる。他の者は使えない。わしので借りたのは今日返した二冊だけだ」奥さんがカードを持ってるかどうかの検索が入ったものの、奥さんのカードは更新をしてなかったので現在使用停止であると判明。ともかくじっちゃんが家に電話して確認するということになる。しばらくしてじっちゃん帰還。どかどかという足音ですでに結果は分かってますが、やっぱり「家の者は誰も借りとらん」だそうで。聞き取り調査の末、12冊の本の期限が19日まで、本日じっちゃんが返した本も19日までだったらしい。「貸出のレシートはお持ちではなかったですか。本に挟まれたまま返されたとか」たしかにレシート見れば何借りたかは分かりますわな。同じ期限だから借りたのは同時なんだろうし。返却棚を確認してもらう。「わしが返したのは、この1冊と」探していたが棚にないようだ。「わしの孫が借りてたのが1冊だったんだが」
じっちゃんちょっと待て。あんたのカードは他の者は使えないんじゃなかったんか? と内心ツッコんでみる。
さて、いかにしてこのようなトラブルが発生したのか。たしかにじっちゃんが主張してたのだが、12冊はなんぼなんでも多い。本人が借りてるならさすがに忘れないだろう。注目すべき点はまず返却日が同じだったことだ。推測を立ててみた。
じっちゃんが本を借りる→じっちゃんのカード情報が残ったまま→次の利用客が12冊借りる。
なるほどこれが可能なら、じっちゃんのカードに19冊着くことになる。ただ、システム上可能なのかどうかですな。隣町図書館のシステムはよく知りませんが、貸出情報を確定してレシートを出す行程が入るので、確定時点で利用客の情報はいったん画面上から消えるような気がします。というか、上の流れには実は他にも無理がありまして、次の利用客のカードを読み込む、というのが間に入るのですな。その時点でじっちゃんの情報は次の利用客の情報に切り替わるだろうし。んじゃ、こーゆーのはどうよ。
じっちゃんがボケてる、あるいは利用する可能性のある家族すべてに連絡がついたわけではない。
んー、これが一番ありそうだなあ(おい)。孫が借りた本が混じってたわけだし。んでもうひとつのコースも思いついた。
奥さんが更新停止のカードで借りようとした→更新手続きが面倒だったので、じっちゃんのカードの情報を住所とか電話番号とかの確認の末、呼び出してもらって12冊借りた。
持ってきてない家族のカードで借りれるのかどうか分かりませんが、奥さんのカード情報が呼び出せたようなので、その逆もありかなと。はてさて、じっちゃんの事件、真相やいかに、というところで何ですが、
もっと重要なことが私を待ってたのでとっとと本借りて帰る。んで寝る(←重要事項だったらしい)。
そして11日、驚きの展開がっ……という予告を書いてたことを思い出したので、覚えてる限りのあらすじをテキトーに書いてみんとす。10日までに通常ミッションの量が増えました。11日からやる分もどかどかと。
問題の11日に早朝ミッション場に行ってちまちまやってたらボスがやってきて、「あ、今日は別室のミッションチーフの指示に従ってミッション遂行して下さい」とあっさり追加。さよう。追加は追加であって、
前にこっちに投げられた分が消えてなくなるわけでもない。やむなく、別室に行く。何故かオカピ女も来る。他に何人かヘルプで呼ばれた人たちとブリーフィング。つまるところは、画像データのチェックである。やたら画像の入ったフォルダをひとりあたり100個くらいとりあえずもらう。「んー、ひとつ15分くらいかな」とミッションチーフ。元の部屋に戻って使ってたパソコンからフォルダを開いてチェック開始。7時間後。オカピ女がこっちにどすんどすんとやってきて「どのくらい進みました?」と問うてきた。「んー、60フォルダ目終了したくらいかな」「何でそんなに終わってるんですか!」きゃつめはあまり進んでいなかったらしい。「んー、少ないのもあったからねえ」と答えていたが、そのときの私の本音。
1)途中でコツをつかんだので
サブ脳に条件付けして条件反射で問題ないものは処理してたから(問題のあるものはサブ脳から呼び出しがかかる)。
2)マウスを動かす距離が違う。私のは
マウス速度:最大戦速、マウス加速度:絶対無敵なので。手首のわずかなひねりどころか指をちょっとずらすような感じでカーソルがぴゅー。
3)
気合いの差。
4)
ミッション中はおしゃべりに興じてねーからだよ。
つーか、ミッションチーフの「1フォルダ=15分」なら、7時間で28フォルダなんだなあとしばらく経ってから気づいた。うむ。私がスゴいのではなくて、ミッションチーフの見込みが過小だったということでひとつ(
ちょっとケンキョになってみた)。
12日(水)。100フォルダの残りを片付け、次の100個をもらう。途中、
オカピ女がギガボスに召喚される。戻ってきて曰く「来週から某県に行くことになりました」とーとつな話にみんなして目を剥く。期間は1年? とりあえず3ヶ月くらいということだが。「もう帰ってこないでいい」「戻ってきても席はないぞ」とみんなから温かい激励の言葉をかけられている。4つ目くらいをやってたときにミッションチーフから作業凍結の指示が出て、別ミッションが発生、優先順位を塗り替えられる。送られてきた指示に従ってミッションをこなしていく。この日はさほど問題がなかった。
15日(金)まで。オカピ女の遠征を笑っていたプチボスがギガボスに呼び出され、「
明日から某市(かなーり遠方)に2週間行けといわれた」いやプチボスも通常ミッションてんこ盛りなんですが、そーゆーの完全無視。ひたすら「嫌です」といったあげく、「二日後から1週間」ということで話をまとめたらしい。直後、今度は安田大サーカストリオの最後のひとりが呼び出され、「絶対断りなよ」「負けちゃだめよ」と激励の言葉と供にギガボスに送り出されるが、暗い顔して戻ってくる。「プチボスがこっちでやるはずだったことをすべてやれといわれた」「あんた手持ちの分があるでしょ? そういったの?」「
それは土日にやればいいだろう、と」そんな段取り。いろいろと差し障りがあって削除。段取りの悪さのため、例えるなら、「この英語の本を日本語に訳してくれ」というミッションをやりおえる頃、「あ、熊本弁でよろしく」となり、「あ、やっぱ熊本弁より関西弁だね」というような流れの最中に上の方で「いや俺は東北弁の方がよい」と横やりを入れてこられて現場がさらに混乱、超訳でもいい、意味が分かればよい、逐語訳でないとダメなど条件が刻々と変わり、延々その都度最初から同じ本を読んでるような徒労感を味わう(長い例え)。
16日(日)。体力回復中。隣町図書館へ行く。帰って寝る。
17日(月)。例えていうなら「こないだやったやつで文法的におかしいとか単語が違うというのを全部抜き書きすること。最初から」というミッションが発生したものの、通常ミッションの途中だったので、そちらに加わらず。ほくほく。
18日(火)。通常ミッションが一息ついたので、前日発生してたミッションに巻き込まれる。嗚呼。連日のミッションで疲れてるし、有給が余りまくってる(←新年度にリセットされる)ってんで、
22日に有給叩き込んで4連休と行こうかと画策する。
19日(水)。担当チーフから内線で呼び出される。「すいませんが、今いらっしゃるところの人たちが今日何時まで残業できるのかというのと、明日から日曜までのミッション参加予定日及び予定時間を確認してください」「……は?」「ミッションは日曜までで終了させます」「えーと、日曜何時までが締めですか」「終わるまでです」日曜日は終わらないかもよ。
4連休どころかノー連休になりそうである。死ぬ。てっきり今やってるやつが対象なのだろうと信じ込んでいたが、作業説明に呼ばれていってみれば、予想してたのと違う。例えていうなら「あ。こないだやってたのは第3版を元にしてたんだけど、初版ので逐語訳ということになったから。ただしどこがどう違ってるかは不明なので最初からきっちり」てなミッション。ブリーフィングから戻ってきたら、今度は
ギガボスに呼び出される。うわ、今度は私かよ。前に聞いた情報だと「嫌です」というと説得にかかる、泣き落としにかかる、懐柔策に出る、という攻撃パターンが確認されているし、「家族が反対します」というと当然ながら「もういい大人なんだからちゃんと説得するように」と来る。反応をしくじると予想外の角度から攻撃してきたりするのでうかつかことはできません。ソファでの会話。「プチボスが今某市に行ってるが、君は外に出るのは無理かね」「無理です」「何故」と会話がつながり、
きっぱりすっきりかつやんわり二度とそういう話が出てこないよう、それでいて好感度が下がらない方向で断った。無傷ですんだの私だけ。びば。
1.家に年寄りがいるんですよ。
2.両親が二人とも遅くなったりするんですよ。
3.祖母も最近足腰とか弱ってきてましてね。以前脳の血管をやって入院したりしたこともあるんですよ。
4.前に死んだ祖父は、周りに家族がいないときに死んでます。
5.家にひとりだと祖母は不安がるんですよ。
6.家を長く離れるのは無理です。
というのが大体の流れ。まあ例によって嘘ついてるわけじゃないですからねえ。じーさんが死んだのは真夜中の病院だったので、誰もいなかったとか両親が毎日遅いわけでもないとかそういう余計なことはいいませんともさ。
20日(木)。「使ってはいけない言葉とかそうしたもののルールについて、多少変更があるのでその説明をまずします」ということで朝9時に別室へ。そのままさらに別の部屋に押し込められて作業が始まる。てっきり自分が所属してるところでやるものだとばかり思っていたのだけれど。入ったことのない大部屋の雰囲気に気圧される。ぐう。まあ、いくつかネタを拾ったので、プラマイゼロ、かな。もしかすると、翌日以降の作業でマイナスになるかもしれないが。なお、
上で書いたようなミッション内容は当然ながらすべてイメージです。
しばらく前にこんなことを書いた。
ついついナチュラルに「7月」と書いてたのが数日続き、「いやいかんいかん」と無理矢理「2月」に修正したりするそんな日々。
こないだ気がついたら「8/15」とかナチュラルに書いていた。
脳内は着々と夏が進行中であるらしい。というか忙しくて今がいつなのかよく分かりませんが。
原付でへろへろと夜帰っていたら、途中のガソリンスタンドで立て看板に貼られた紙がが目に止まる。「
高速道路より安い価格」とだけ書いてある。ははああれですなつまるところ……
建設費? ほら昨今無駄な道路がどうのこうのとかテレビ番組でやったりしてて話題になってたりするじゃないですか。
このガソリンスタンドは「ウチは高速道路より建設費が安いんですよ」ということを主張しているわけである。なるほどねえ。どういうメリットがあるかさっぱり分かりませんが。って違いますねそうですね建設費を比べてどうするよべいべー。これはあれですよやはりガソリン価格です。つまり「
ウチは高速道路料金より安いガソリン価格ですよ」ということを主張しているわけです。計算がすんごく面倒そうですな。てか燃費とかあんだから無茶だろうと思わないでもないです。まあもちっと分かりやすく書いてほしいぞと考えるのは私だけですか。高速道路の看板とかは高速でも見えるように簡略化したりデフォルメしたりしているそうであるが、文章を短くするのも見やすくするための方策なのであろう。とかうだうだ考えるより何より、
だいたい何故その立て看板貼り紙がガソリンスタンドの出口にあるのか、ということの方が非常に興味がある。その看板を見る人ってのはガソリンスタンドで給油し終わったか、隣接する道を走っててすでに入口を通り過ぎてしまったかであるのですよめいびー。なんてことを思いつつ、その数日後、紙が一部めくれて、「価格」しか見えなくなってました。何が何やら。
前回『二人のガスコン』を読んだ流れから
エスプリの赴くままに佐藤賢一『ダルタニャンの生涯』を読む。大デュマとその元ネタを引き、別の資料を出しながら史実のダルタニャンを描いていて、読んでいて面白かった。うむ。史実のダルタニャンと創作のダルタニャンはやはり微妙に違っていて、例えばデュマのダルタニャンはフランス軍元帥になるが、史実では遙か手前で戦死しているとか、イベントの関係上出生年が違えてあるとか。書かれていることにふむふむ頷きながら読んでいたが、これってなんか前にも味わった感じじゃのう。や、日本でもありますわいな。雑賀孫市とか前田慶次郎とか。斉藤道三にしても創作で広まった「美濃の油売りから一代にして大名」というのが史実とは違うことが判明しているわけでして(親子二代による国盗り=道三二人説)。とりあえずだいたいの流れは押さえたので、いよいよ大デュマに挑戦。えーと、たしか前に講談社文庫で出てたよなあ、「友を選ばば三銃士」とか。いざ検索かけてみると、講談社の「ダルタニャン物語」は絶版っぽい。全11冊で、『三銃士』だけじゃなくその後まで全部入ってるようだ。ちなみに前回読んだ『二人のガスコン』は『三銃士』と続編『二十年後』の間に入る設定でした。あ、ブッキングで出てる。とりあえず図書館にあるようなので借りてみっぺ。文庫だと
そんなに厚くなかったような気がするので、4冊ほど予約して取りに行く。
二段組みで分厚いのが4冊出てきました。うひー。一冊目『友を選ばば三銃士』に取りかかる。訳自体は昭和40年代のもの。読んでいて今なら「枢機卿」なのが「枢機官」だったりとか違いが目に付く。それにしてもよもや
『三銃士』で「大名」「三下やっこ」「岡っ引き」「武士」といった単語を見ることになろうとは。うむう、作者の視点が濃いのう。「ではこっちの方に注意を戻してみよう」みたいな感じの文が入って場面転換とかするし。何やら
読んでいて時代小説、司馬遼太郎とかを連想する。なんかそんな感じ。一冊目後半でもうバッキンのとこから飾りもらって帰国してる。展開早っ。てか、まあ『三銃士』つったら、岩波だと二冊だしなあ。まだ読み終わってないのでしばらく楽しめそうだ。
紺野キリフキ『ツンツク図書館』も読了。『キリハラキリコ』に比べると不思議感がやや薄くていまひとつ。『キリハラキリコ』早く文庫化されないかなあ。
竹内真『ビールボーイズ』を読む。途中でやたら入ってるビールに関するコラムが作中作だということは途中で気づいたが、全体として楽しく読めた。小学生のときに好きだった女の子が転校してしまい、悲しみを癒すために秘密基地に集まりビールを飲んだ(ビール工場の閉鎖で女の子は転校した)少年たち。彼らが集まりビールを飲む「ビール祭」という区切りで描かれていく。こないだ読んだ『ワンダー・ドッグ』が竹内には珍しく「場所が動かなくて、人が入れ代わる話」だったのに対して、今度は「
『自転車少年記』(単行本版)の手法で『カレーライフ』やりました」な話。エピソードが短く切られていて、集まって飲む話とかがメインでさらに中心になるキャラが三人くらいいて、それぞれバラけてるので『自転車』のように軸になるキャラに欠けていて、エピソードも食い足りない感じがする。でもまあ、『ワンダー』もそうだったが、ほのぼのしちゃって最後は満足してしまった。新作を待つ。というか『カレーライフ』読み返し希望。
成田良悟の『デュラララ!!×4』を買ったので既刊を読み直すつもりがうっかり「越佐大橋」シリーズを読み返してしまう。面白かったのでよい。B級っぽい感じでよい。クズかっこよくてよい。それにしても、家ではぐったりしているのでDS版「バッカーノ!」は封も切ってない。よくない。
西澤保彦『謎亭論処』も文庫版出たことだし「タカチ」シリーズもまた読みたいなあ。新刊出ないのかなあ。
新刊出ないといえば北村薫の「円紫さんと私」シリーズである。他にもあるが。ところでこないだ隣町図書館から『吹雪の山荘』という本を借りてきた。
リレー小説で作者は笠井潔・岩崎正吾・北村薫・若竹七海・法月綸太郎・巽昌章でして。ミステリのリレー小説っていったらかの『堕天使殺人事件』がありますが、そちらは二階堂黎人・柴田よしき・北森鴻・篠田真由美・村瀬継弥・歌野晶午・西澤保彦・小森健太朗・谺健二・愛川晶・芦辺拓の11人で最後は芦辺拓の森江俊策が締める形。コピペしてて気づいたが、『堕天使』の人と『吹雪の山荘』の人ってダブってないや。各作家の予想付きってのは同じですな。その辺とかも読みどころなわけですが、何といっても登場人物が豪華です。私が読んでない人もいるので知ってる限りでは、OL若竹七海はいるわ、探偵法月綸太郎はいるわ、学生有栖川有栖はいるわ……って
何故有栖川有栖が書いてないのに有栖川有栖が登場人物表に出てる? パラ見してましたら、
北村薫の「ウィンター・アポカリプス」での語り手が「円紫さんと私」の「私」だったり。うわあ。三秒してから「ウィンター・アポカリプス」が笠井潔(『山荘』執筆参加者)の『サマー・アポカリプス』から来てると気づく。うひー。だ、だるたにゃんが一段落したら読むぞー。おー。
ライトノベルの老舗で拠点であった富士見書房刊行
「ドラゴンマガジン」がリニューアルされるらしい。そんな広告を見ていると豪華執筆陣とかノベライズとか七大付録とか
厚さ5割増しとか景気のよいことが書いてある。ふーん。初期ドラマガを支えてきた「ソードワールド」が完全リニューアルされて展開するとかいうのも聞いています。景気のいいこって。発売日が富士見ファンタジア文庫と同じ日になるそうで。リニューアル号は3月19日発売なのです。んで、その下に小さく「
以降、奇数月20日発売になります!」……え? ドラマガって創刊号からこの方月刊誌だったような気がしてならないんですが。
厚さ5割増しでも隔月刊化ってそれは前進じゃなくて後退では?
そんなこんなでミッション場でわずかな休憩時間は意識を再起動のためシャットダウンしてるか本読んでるかですな。それにしても次から次にミッションが連鎖的に発生しては、巻き込まれてしまう今日この頃。どこに地雷があるか分かったもんじゃありません。まさしくあの歌の通りですな。「
春ー、罠ー、のみーのー」次回こそはまったりいきたいものです。
とりあえずいつものやつで締め。てきとーに。
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これは珍しい。グ。こんな場末の酒場で、こんなつまらぬ語り手のくだらぬ話を聞きたいなんてな。
おっと。別に旦那をこき下ろそうってわけじゃありませんよ。わしのようなものの話を聞こうって奇特な御方だ。よほどの器とお見受けしました。グ。
グ。
おっと。失礼。ちっとばかし喉の具合がよくないのでね。多少なり聞き苦しいのは勘弁していただきたい。グ。グ。
や、こいつは。どうにもせびったようで申し訳ないこって。グ。たしかに喉にはこいつが一番の薬ってもんで。おい、親爺、もう一本こっちに持って来てくれ。何、金なら今日は心配ない。なあ、旦那。
で、旦那。一体このわしのどんな話を聞きたいってんで。グ。グ。ははあなるほど。かの「霧の山」とか「霧の流れる山」に関する話ですかい。たしかにわしはあの辺りの出身。よくぞそのことを突き止めなすった。とはいっても、酔っぱらいの戯言。わしのことなど皆ここいらの者は知っているのかもしれませんがね。
あの辺りの者は「霧の山」なんて言葉は使いませんや。単に「山」ってんで。「山」といえばあの辺り一帯、グ、のことで。グ。なるほど。察しはつきやした。旦那、あの話を聞きたいとみえる。
あの辺りには昔、「山の下」って呼ばれる地主連中がいましてね。「下」があれば「上」もあるって寸法で、もちろん、「山の上」という連中もいました。そうです。よくご存知で。さすが旦那だ。グ。「山の上」ってのはつまるところ、あの牛頭たちのことで。「山の下」の連中は、牛頭たちと商売をしてたんまりもうけてたってわけです。
なるほど。旦那は事情に通じてらっしゃるようだ。だとすれば、一体何を知りたいんですかね、グ、ひとつわしの方こそ教えていただければ、語り口も無駄がなくなるってもんです。
……アゴルの一件ですか。それを語れというなら、グ、グ、グ。ああ、そこまでしなくても。いや、こんなに。いいんですかい。まさか偽金ってことはないでしょうね。いや、別に旦那の素性を疑ってるわけじゃありませんがね、いきなりこれだけの金をわしごときに出されては裏に何があるのか用心しようって気にもなるってもんで。
ようござんす。グ。わしの知る、アゴルの物語をお聞かせしましょう。
アゴルってのは、「山の下」の男でした。これが実は二人いましてね。おや、旦那でもそれはご存知なかった。この二人は従兄弟同士で、顔立ちも年格好も大層似てたということです。区別するためにひとりを「手のアゴル」、もうひとりを「炭のアゴル」とでもいっておきましょうか。手のアゴルはその手の器用さから、炭のアゴルはよく外を出歩いては泥だらけになっていたことからつけられた、まああだ名でして。ともあれこの二人は年の変わらぬ仲のよい従兄弟同士でした。グ。
旦那のことだからご存知かもしれません。「山の下」には昔っから伝わる歌があります。牛頭どもの言葉で歌われているのですが、これが「山の下」の「山の下」である証、「山の下」が「山の上」を呼ぶためのものです。歌の意味なんて分かりません。ただ、これを歌うことができなければ、グ、いっぱしの「山の下」として、牛頭どもと直接の商いをすることもできないわけで。
二人のアゴルももちろん、小さい頃からその歌を仕込まれていました。そして十五になった折りのことです。二人のうち、手のアゴルだけが、旦那のいわれる「霧の山」に踏み入ることになりました。ひとりで山に入り、歌い、山の民に会うこと。これが商いをするための、まあ「顔見せ」です。グ。あるいは、地方によっていろいろとあるでしょう、大人になるための儀式、度胸試しのような意味もあったのかもしれません。仲のいい従兄弟同士でしたが、ここでふと、炭のアゴルに悪戯心、というのでしょうか、グ、あるいは嫉妬であったのかもしれません。手のアゴルの後を追って、こっそり山に入ったのですよ。
グ。ああ、すいません。ああ、うまい酒だ。喉も心も潤うってもんで。
ええと、どこまで話したんでしたっけね。ああ、そうそう。アゴルが山に入ったところでした。実は、このアゴルたちが、戻ってこなかったんです。何が山で起こったのか、本当のところは他の者には分かりはしませんよ。ただ、こういう話だってことです。グ。
牛頭どもは、たしかに自分たちに会ったという証に、「山の下」にひとつの贈り物をするんです。ええ、旦那がさっき見せたようなぴかぴかに光る石をひとつ。これが、その後牛頭どもに対する身分証のような働きをするんです。ひとりにひとつ。「山の下」の連中はこれをグ、「我らが貴きもの」と呼んでいました。
もちろん。手のアゴルは歌い、牛頭に会いました。ということは、「我らが貴きもの」ももらったんです。ところがこれを見て落ち着かないのは炭のアゴル。従兄弟の前に姿を現して、それを見せてくれと迫りました。グ、グ、グ。「貴きもの」を手に入れたばかりの手のアゴルはそれを懐に、例の素早い手さばきでしまい込み、炭のアゴルを相手にしませんでした。かっとなった炭のアゴルは従兄弟ともみ合いになり――
手のアゴルは霧の渦巻く崖に落ちたということです。そして――
炭のアゴルは「貴きもの」を持って、姿を消しました。
再び「山の下」にやってきたとき、アゴルの懐に「貴きもの」はありませんでした。山から離れ、町の暮らしに慣れ、落ちぶれてしまったということです。それに、実は炭のアゴルは、あの手のアゴルが「貴きもの」を入手したとき、近くに隠れて、牛頭を見ていました。「山の上」のことは幼い頃から聞いていたんですが、実際に見るのは初めてです。人じゃない牛頭。グ。そこに嫌悪を抱いたのです。
そのアゴルは、ひとりで「山の下」に戻ってきたわけではありませんでした。旦那、ご存知なんでしょう。かの男爵、かの先帝陛下のご友人がともにいらっしゃったのです。男爵は初め、「山の下」を治めて、牛頭どもとの交易を一手に握ろうとしていたのです。グ。それを可能にしたのがアゴル、それに拍車を掛けたのが「貴きもの」でした。つまるところ、グ、牛頭どもは貴重な石をたくさん持っていると思われたわけで。しかも、「山の下」はその一人前と認められた分しか「貴きもの」をもらえませんでした。商品としては扱ってなかったんです。
結果はご存知の通りです。男爵は牛頭どもの部族をいくつか滅ぼした。宝をたくさん手に入れた。だけじゃなく、自分たちですべてを手に入れるため、「山の下」たちを追い散らしました。
いえいえ。アゴルはたんまり報酬をもらったなんてことはありません。哀れなアゴルは放り出されました。それだけじゃあない。
どこから嗅ぎつけたのか。猛り狂った牛頭たちが、散り散りになった「山の下」を追ったんです。襲撃に否も応もなく関わったものたちすべてが仇討ちの的になりました。
グ。グ。グ。哀れなアゴルもですよ、旦那。
これでわしのつまらぬ話はおしまいです。
ああ、ありがとうございます。この金貨はありがたくちょうだいしますよ。旦那に幸いがありますように。
ええ。せいぜい喉をいたわることにしますよ。旦那の金貨で当分はゆっくりできそうですしね。
グ。グ、グ。
え、この喉ですか。昔、ちょいとつぶされましてね。ようやくこの程度しゃべれるまで回復したんですが、もういけなさそうだ。グ。グ。
いやなにちょっとしたことでしてね。別に大したことじゃありませんし、旦那に語るような話でもありません。
それではまた、何かこのつまらぬ語り手に聞きたいことでもできましたら、お越し下さい。旦那ならいつでも歓迎だ。
勢いで書いて第28回了→To be continued 第29回。
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今旬知った訃報。
アーサー・C・クラーク。一時期読んだなあ、ハマったなあ、クラーク。アシモフとクラークは何だか死なないような気がしてたんだけどなあ。ネットで情報を追っていたら今月上旬に
ゲイリー・ガイギャックスが逝ったと知る。クラークもショックだったが、ガイギャックスもデカい。彼の「子」がどれだけ多くの人に影響を与えたんだろう。「子」だけじゃなく、「孫」とか「曾孫」とか「玄孫」とか、各国での子孫とか。あ、知らない人もいるかもしれないので、説明すれば、ガイギャックスは、世界初のRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のデザイナーです。ぶっちゃけ今のRPGにしろファンタジーブームにしろ、影響を受けてないものはないしねえ。冥福を祈る、というか、
逝った先で楽しくやってくださいというか、後から来る人のために新作でもよろしく。
購入した本:
西澤保彦『謎亭論処』、畠中恵『とっても不幸な幸運』、大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!』、犬村小六『とある飛行士への追憶』、堀田純司/GAINAX『ガイナックス・インタビューズ』、清松みゆき/グループSNE『猫の手超人王、激闘!』、菊池たけし・久保田悠羅/F.E.A.R.『ノエルと白馬の王子』
読了した本:
竹内真『ビールボーイズ』、紺野キリフキ『キリハラキリコ』『ツクツク図書館』、成田良悟『バウワウ!』『Mew Mew!』『がるぐる!(上・下)』、佐藤賢一『ダルタニャンの生涯』、拓未司『禁断のパンダ』