2005年3月。



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上旬。 『奇人宮の宴』、『奇憶』、『記憶汚染』、『奇妙な論理』(*1)


 前回書いた中国の賄賂の話について、お世話になっている大学の先生様(中国系専門)から反論というか指摘をいただく(*2)。子どもの親が先生に賄賂を贈ってるんじゃないかということであった。ああなるほどと思う。私は、大人社会で賄賂が横行→禁じる方向へ→子ども社会でも、という流れから、子どもが子どもに賄賂を贈ったり接待をしたりするということだと思っていたのです。学級委員とか選挙で選ばれるというイメージがあるんで、贈賄の相手が先生という方向には連想が働かなかったのでした。そっかー。親が先生に、というパターンは思いつかなんだ。それはありそうなことです。納得納得。でも子ども→子どもというパターンはないんでしょうか?


 前回、前々回と二度のミッションを行い、「旧支配者様召喚」イベントが発生したのでした。実際は他にも様々なイベントをこなしており、例えば北にいらっしゃる別の旧支配者様(親方、と呼ばれる御方(*3))とコンタクトを取ったものの、交渉に失敗したとか。山の彼方にいらっしゃる「泳ぐもの」様を召喚する呪文がすでに失われていて断念したとか、南にいらっしゃる方への召喚呪文を書いた札がどっかに行っちゃったとか。ともあれ、幾人かとの交渉に成功はしたので、イベント「古きものどもの宴」発生(*4)です。オールドワンズの会合というか儀式です。なお差し障りがあるかもしれないので、今回も参加者および関連者は高度ネーム、じゃなかったコードネームで呼称させていただきます。ええもちろん私が勝手につけてます(*5)。おこんないでね。ではそのイベントの模様をば。


 ……の前に、前述の先生様からメールが。この先生、実は「古きものども」のおひとりで儀式参加者なんですけど、大学の再試だかが入っていて遅れるとのこと(*6)。くーっ。ここはひとつ前向きにぽじてぶしんきん。当初の心づもりで予約(予約したのは当の先生様です)できていたら時間的に完全にアウトでした→よし。「むさぼるもの」であらせられる八代の御方がいらっしゃらなくてよかった→よし。料理を残しておくとも思えない、みたいな不信度の高い日記文を読んでいる者がいた→よし(*7)。これでばっちりです。イベント開始です。


 ……の前に。当日お昼頃、不意にぶるっと来た。ケータイである。見慣れぬ番号が着信です。不吉な予感に駆られつつ、出てみる。「はい、もしもしー」「あー、どうも、○○です」本日いらっしゃる「赤の御方」でした。「あ、どうもお疲れさまです」と普通に受け答えして苦笑される。「どうもお久しぶり」ああなるほど直接お声を拝聴するのは五年ぶりくらいなのですから、「お久しぶりです」「ご無沙汰してます」くらいがフツーなんだろう。「今日のことなんだけど」「はいはい」ますますイヤ〜な予感が(*8)。「インフルエンザにかかったみたいで」ぐおっ。赤の御方病に倒る。電話を終えると即店の方に変更の連絡をしてもらう。


 とりあえず途中市立図書館に行って予約本を受け取り、外に出るとみぞれ。慌てて館内に戻って天候の回復を待つ。やがてどうにか持ち直したっぽいので大学にある文芸部部室に移動して、時間を調節。そっから歩いていくことに。この日、寒波が来てまして、午前中雪が降ってました。夕方、私が部室を出た頃ははらはらと舞う程度で、まあこれくらいなら大丈夫かなと思った次第。てくてくてくてくてくてくと歩いて街の方へ。途中神社のそばにある古本屋を覗く。収穫なしです。10分後外に出ると、吹雪いてました(*9)。ぐわー何じゃこりゃあ。しかも汁っけたっぷりですよ。べしょべしょになりつつどうにか上通りのアーケードに入るも、風が強いため、アーケード内にも雪が猛烈に降り込んできています。天に祟られているような気持ちになったり。何だか前回とか前々回とかも天気に嫌われてましたっけ。負けない、私は負けないぞ。どうにかこうにか辿り着いたのは、前回焼き討ちもといボヤだか放火だかに遭った本屋。ここをしばらく覗いて細かい時間調節をして、いざお店に。一番下っ端としては、参加される方々のお出迎えをしなくてはなりません。


 予約時間の25分ほど前に到着して外から店内をうかがう。客がいっぱい。と、お客が団体で動き出した模様。ぞろぞろぞろぞろ15人ばかりが10分ほどかけて外に出る。どうも集合写真を撮ろうとしているらしく、最初に出てきた人は店のおねーちゃんをひとり拉致してデジカメの操作などを仕込んでいる(*10)。そりゃ別にかまわんのだけれど、通行人まで引っ張り込んだり、道いっぱいに広がって車を通れなくしたりするのはどうか。車がストップしたのでそれを追い抜こうとしたタクシーが酔っぱらいの群れに突っ込みかけたり。さらに私がいたのが風下だったため、もわ〜っとアルコール臭が襲いかかってきます。ひーっ。同窓会だか何だか分かりませんが、皆べろんべろんになっているので、写真撮影をするという状況すら理解できてないようで。写真撮るために集合させるのにまだまっとうな理性があるらしい幹事が苦労してました。ようやく二枚ほど激写した彼らは一部がふらふらとどこかに向かって歩き出し、一部はそのままぼけーっと突っ立ち、一部が店の中に、ってまだ何かあるんかっ。店の前の集団が散開したため、入店を試みる。中に入ると一段高くなっていて、靴が二つ? え、ここ靴脱ぐの? と周囲を見回すも靴箱のようなものがあるわけでもなし、第一、ほとんどの人が靴を履いたまま店の中にいる。どうしたものか予約ボードを眺めつつその場から動けなくなる私。店の人が接近してきたので、脱がれたままの靴を指さしてみる。店のおねーちゃん、爆笑。どうやら先刻の酔っぱらいが再入店したときに脱いだものらしい。靴のない人が奥でうろちょろしているのが見えた。


 さて、ようやく店内に土足のまま上がり、席に案内される。入り口が見える席に座ったのは、他の参加者の方々が発見されやすいようにとの配慮。予約時間までまだ少々。早く来ないかなーと思って入り口を見ていたら、いきなり「よう」と眼前に出現されたのは旧支配者様。すでに上着を脱ごうとされております。ごわっ。いつ入って来られましたか。(*11)縮地法ですか瞬間移動ですか人の認識能力すり抜けて来られたんですか。さすがです。前日は図書館の宴があったと聞いていましたが、たっぷり元気そうです。さらに話によれば翌日は一族郎党集いて「雛祭りの儀」が行われるとか。桃ですか、桃の節句ですね。何やらもんのすごいものを想像してしまいますが。近況などを交わしていると、お役人様登場。学生の頃からあんまり変わっておられませんなあ。


 やがて時間になり、来る人は揃ったので、皆様方に赤の御方が欠席されること、先生様が遅れてらっしゃることと「ヤツらが料理を残しておくとは思えない」的発言をされていたことを報告。期待に応えて料理を食べ尽くすべきかとも思われたが、まあ穏当に残しておくことで一致。


 そうそう旧支配者様にうかがったんですが、隣町図書館について、書架に旧支配者様の意思が反映されているというのは正しかったことが判明。新刊が早いのは間に人を入れずに直接取引をして面白いのを送ってもらっているから。そこからリスト漏れしたものを改めて図書館職員が注文しているわけで。またウェブ検索とかについても実はかなり前からそういうシステムを旧支配者様が構築されていたものの、予算とか回線とかお金とかサーバとかマネーなど大人の事情でそのまんまだそうで。現在もシステムの再構築だかに追われているそうです。呪文と呪具を用いて図書館の奥で儀式を行っている姿が目に浮かぶようです(*12)。借りてた本を持ってくればよかった、と漏らすと「重いだろうが。直接図書館に持ってこい」といわれる。


 一時間ほど遅れて先生様登場。お腹が空いておられたようで、我々が残しておいた料理をひたすら召し上がる。他の方々から「どうして結婚する気になったのか」「太った」「変わってない」「再試の状況」など尋ねられおちおち食べてもいられない状態に。いや、それでも食べてらしたけど。


 以下、宴で交わされた会話ダイジェスト。覚えている限りをランダムに。もちろん私視点。

 ・「ハリー・ポッター」の功罪は、ファンタジーに見向きもしなかった人を引っ張り込んだこととファンタジーの粗製濫造を引き起こしたこと(*13)
 ・「ロード・オブ・ザ・リング」はまあ妥当なところではないか(*14)
 ・トム・ボンバディルが映画に出ないこと。現行のファンタジーでは扱えない、扱わない類の人物。
 ・ファンタジーの粗製濫造、クズみたいな本が大量に出回っている一方で、昔翻訳が止まったり、入手できなくなっていたものが復刻、新訳、翻訳再開というよいことも起こっている(*15)
 ・ゲームブックに関するえとせとら(*16)
 ・情報管理セキュリティは当然のこと。室内に入るのにIDカードや暗唱キーはありふれている。
 ・文芸部の現状。サイト運営、作品はダウンロード、連絡も掲示板という話に知らなかった方々愕然(*17)。ついで「こりゃもう笑うしかない」な反応。
 ・上に関連して、落書き帳が長いこと使用されていないことに触れ、あれが文芸部らしいものだったのに、という話に。連絡事項にも様々な自己表現があり、混沌とした中に面白いものが出てくるのでは。
 ・諸々の近況報告。
 ・山の向こうにいる「飲んだくれるもの」の方に電話。眷属を現在進行形で増やしつつあるそうで。「臨月じゃなかったら行ったのに」という言葉(*18)。相変わらず。
 ・『となり町戦争』についての応酬。作者がお役人様と同年代同学部の所属だということ。
 ・文芸部の部会形式について。作者本人が意見をまとめて記録する方式は、客観的な記録になりうるのか。また、そのことにより、全体の流れが後から分からず、どのような状況から出てきた話なのかが不明にならないか。
 ・指輪に関するお話。何故お役人様しか結婚指輪をしていなかったのか。配偶者様のご実家に立ち寄ってご休憩されてきたからだと茶化される。
 ・「泳ぐもの」様についてぐぐったら同姓同名で関連場所での死亡記事が出てきた話。数歳差で別人と判断(*19)


 デザートのケーキを分けて食らい、外に出る。部室に行くという案も出たが、歩いているうちに出現したアイリッシュパブでギネスビールを飲もうプロジェクトにあっさり変更。しかし覗いてみると大盛況で入る場所がない。諦めて離れ、今度はお役人様が知っているお店に。何やら見た目が学祭で学生が開いている模擬店みたい。厚めのビニールで外部から切り離されているせいでしょう。入ってメニューを見る。紹興酒やら何やら並んでいて、皆で眺め「この青島ビールとパンダビールを」と注文。何だかさらにまだ食い足りない様子の先生様が食い入るようにメニューを見ているが、どうやら最近日本人だということをお忘れのようで、漢字かな混じりの商品名が読みにくいみたい(*20)。かといってじゃあ漢字オンリーで書かれているお酒の方はどうかといえば、読めるがどんなものだか分からないとの答。いいのか大学の先生よう。テキトーに料理は旧支配者様が注文なさる。やがて登場した青島ビールとパンダビール。おう、ラベルが日本語ですよ。正面にいらっしゃったお役人様が注がれているのを見ていて、私があることに気づく。「原産地オランダ」いかにもチャイニーズな注文だと思わせておいてそうきますか。びっくりです。前にニュージーランド行ったとき、オールブラックス(←ラグビーの)の帽子買ったんですが、よくよく見たらメイドイン台湾だったりしたときのようなショックです。料理はおいしかったけど、紹興酒が中に投入したざらめの塊のせいですごく甘くなったので少々きつかった。


 ここで語られたテーマのひとつは、ゲーム害悪論。たまたまファミ通誌を読んできていた私は、エンターブレイン社長の息子(11)が、心配そうに「僕、大丈夫なのかなあ」といっていた話を出してみる。記事を読むと、学校で「ゲームばかりしてるとゲーム脳になる」とゲーム好きの友人がからかわれていたり、報道を見たりして、ひょっとしたら自分は将来殺人鬼になるんじゃないかと不安に思っている、というもの。いじめ、差別につながりかねない状況をゲーム害悪論が作り出す環境がある一方で、それを盛り上げているのは一部のマスコミであって、大阪の教師殺傷事件の折、ゲーム害悪論を持ち出してキャンペーンを張ろうとしてたのはほんの少しの連中で、他のコメンテーターや批評家はかなり冷めた反応をしていた、というもの。もちろん私の家で取っている某新聞は二日目までゲーム害悪論を無意味に煽り立てる記事を書いていたが三日目くらいからまったく載せなくなった。いやはや。お役人様が指摘もされていたが、かつてこの国には「野球害悪論」が存在した(*21)。イナゾーさんや某新聞が論陣を張ったのである。野球をするとおかしくなる、みたいな話をしていた某新聞は、やがて高校野球のスポンサーになった。掌返して意見を変えたか、日本人を上から下までおかしくしようとするつもりなのか知りませんが。また、テレビが広まりつつあったとき、「テレビを観るとおかしくなる」という説、一億総白痴化なんて言葉もあったし、ハンバーガーを食べるとおかしくなる、ロックを聴くとおかしくなる、パソコンなんてやってるとおかしくなる、ケータイをやってるとおかしくなる、そして今、ゲームやってるとおかしくなる、である。しかもそれぞれの説が例えば電磁波であるとかゲーム脳であるとか、きっちり証明もされてないものを論拠としているわけで。昔からいってることは変わらないのだな、という気がする。要は何事も程度問題でしょう、と思うのです。野球だってゲームだってパソコンだって勉強だって仕事だってやりすぎりゃおかしくなる人だって出てくるだろう(*22)。でも大多数の人がそうじゃないわけだし。


 というような話をしたり、会社の話だったり、と盛り上がりつつ、ふと外を見れば、うわっ、ビニール通してもでっかい雪がめちゃめちゃ降ってるのが見えますよ。何ですかこりゃ。とりあえずお勘定してもらい、外に出る。ふらふらしながら、次に行ったのは、またしてもさっきのアイリッシュパブですよ。


 にぎやかに生演奏がされているパブのテーブルを占拠。メニューを見て、ギネスを人数分と、フィッシュ&チップスを選択。先生様が代表して注文しに奥へ。しばらくすると戻って来られたので音楽聞いたり話をしたりしながら待つ。やがて黒ビールが運ばれてきたので堪能する。うむうまい。それからしばらくして運ばれてきたのは当然注文した……ってこのフィッシュ&チップス、めえぷるしろっぷがかかってますよ?(*23) 旧支配者様がメニューを検索され、「これはこれじゃないか」と示されたのは。「……フレンチトースト&バニラアイス」って「&」と最初と最後しか合ってないですよ、先生(*24)。と非難の視線が集中する。「いやちゃんと注文したって」そんなこといっても甘そうなニオイのするブツ(アイスがフレンチトーストで挟んであってそこにメープルシロップがかけてある)があるわけで。その場で話し合いがなされ、「これはどこかのテーブルのものが間違って届けられたのではあるまいか」論拠としては、先生様が注文したときに持ってこられた目印の番号ポップがいまだにテーブルに鎮座ましましていること、女性客のテーブルがすぐそばにあったことなど。先生様がだんだんアイスが溶けてきてる皿を持ってまた奥へ。しばらくして、やっぱり間違いだったようだと戻ってこられた。改めてやってきた熱々のフィッシュ&チップスを手づかみでがぶり。うまい。会計をすると、きっちり払う人がひとりもいなかったため1000円多い。余ったものを文芸部に寄付しようということになって、1000円札を私が預かる。残りは立て替えていた先生様のところへ。が、混じっている500円玉2枚を嫌がられる。すったもんだの挙げ句、私が預かればいいんじゃないかという結論になるまでしばしかかったのは皆なかなかに酔いが回り出していたためでしょうか。後日、このお金を持って部会の日に行ったものの誰も出現せず。いまだに預かっている状態である。


 パブを出ると、皆バラけることに。お役人様は帰るとおっしゃってる。「久留米に日帰りですか」「違うわ」先生様は歩いて帰るとおっしゃっている。「町から健軍まで歩きですか」「もちろん」などといった微笑ましい会話がなされる。結局部室に行ってみようという話は流れる。まあ、次回やるときには新しき民も儀式に参加してもらうというのはどうだろうかという気になる。儀式への参加だかイケニエだか分からないけれど。


 酔い覚ましをしてから帰宅。すると門の郵便受けに何か白いものが。郵便物でも忘れられておるのかとよくよく見ると、「配達の方へ。今取っている新聞は3月いっぱいで終わりにします」ああ、そういえば大新聞よりも地方新聞の方が地域情報に特化してるし、全国ニュースならネットがあるしで、大きいとこは細くなっていくのかねえ、というような話も出ていたなあ、と思いつつ就寝。そんな感じの一日


 なお、今回のイベントの記述に関しては、基本的にノンフィクションのはずですが、何ものかの記憶改竄を受けている可能性もあります(*25)のでご了承ください。


 話はまったく変わって、NHKの「クローズアップ現代」という番組を人に勧められたので眺める。若手作家が近年賞を獲ったりデビューしたりで、本を買う若者も増えてきている、いったい何が起こっているのか、という類のもの。高橋源一郎がコメンテーターとして出ていたが、まあ、番組観た感想は「甘い、ぬるい、無茶」というミもフタもないものだった。NHKの方針なのか何なのか知らないが、つまるところ自分たちがブンガクだと認める領域のみの話に終始していて、若者がといってるわりに若者をメインターゲットにした若い作家たちが書く小説群であるいわゆるライトノベルに関しての言及がまったくない。ずらりと本を並べ、賞の名前と受賞したときの年齢が並んでいるが、乙一なんて作家としてもう10年近いですよ、それが新しい才能出現なんて今更くくられているのはどうしたもんか。


 若い作家がデビューしてることについて考えてみても、ライトノベルの作家で新人賞獲ってデビューする人たちの大半は10代後半から20代前半です。20代後半や30代という方が話題になるくらい。別にこりゃ最近突如として起こった現象でも何でもなくて、小林めぐみなどは18で書いた作品で19でデビューしてますな、1990年でしたか。乙一がジャンプノベルで16のときの作品で17歳デビュー96年ですか。他にも職人的な作品を安定して発表し続ける小川一水など場合、紀伊國屋サイトで検索してみると、

小川一水[オガワイッスイ]
1975年岐阜県生まれ。1993年、中篇「リトルスター」が集英社ジャンプノベル小説・ノンフィクション大賞佳作に入賞してデビュー。1996年、同賞大賞受賞作『まずは一報ポプラパレスより』で単行本デビュー(河出智紀名義)。丹念な取材に裏付けられた斬新なテーマのジュヴナイルSFで好評を博す。2003年発表の月面開発SF『第六大陸』(ハヤカワ文庫JA)では「ベストSF2003」国内篇第2位を獲得、第35回星雲賞日本長編部門を受賞した。宇宙作家クラブ会員

 とこんな感じだし、さらにちょっと分野を変えて遡れば、栗本薫が25歳で乱歩賞(78年)、24歳で群像新人賞評論部門(76年、中島梓名義)、60年生まれの新井素子は高校時代にデビュー、大学生作家でしたし、大原まり子は20くらいでデビュー(80年)ですか。皆、今でも一線級の作家ですよ。まだまだ探せばいくらでも出てくるはずで、若くして活躍してる人なんて今に始まったことじゃない。


 というような話は一切出ず、ただ今の現状のみを語る番組ですな。いいたいことがまずあって、集めたもののうちそれに適しているもののみを見せて主張をする形。「若手作家」の特徴としていくつか挙げられるのですが、ひとつが「同じような言葉、文を繰り返し、韻を踏ませたりする」というもの。カラオケとか歌とかの影響などがいわれ、例として西尾維新が朗読されます。最新作のクライマックスです。でも西尾維新をもって若手作家の傾向を普遍化するのはあんまりだと思います。韻や回文や定型句など言葉遊びをものすごくよく使う作家で、NISIOISINなんて右から読んでも左から読んでもひっくり返しても同じ名前をペンネームにしてるような人ですよ。あんな人他にあんまりいないんじゃないですかね。で、次が「擬音語の多様」といって佐藤友哉の時計の音が朗読されます。大変そうでした。コミックの影響が語られるのですが、これもまた何か違うよなあという気がひしひしと。最近の話じゃないんですよ、別に。極端な擬音語をやたら使うあかほりさとるは80年代にすでに書いてましたからね。あかほりはアニメの人で、アニメやゲームのノベライズだったりするわけで、コミックしかないわけでも最近の話でもない。逆に、擬音語は絶対使わないという宣言をしている若手作家もいたりするわけで(川上稔なんてそうですね)。一概に擬音語を使う、というのが特徴だと思えない。


 実際比べてみましょう。『クリスマス・テロル』は手元にないんで、画面に映った文をそのまま引きます。

 物凄い音が自分の頭上で鳴る。
 暗転。
 だけど気を失わせてはくれない。
 ジリリリリリリリリ
 リリリリリリリリリリリリ。
 狂ったような時計の音。
 再び頭に衝撃。
 ジリリリリリリリリ
 リリリリリリリリリ。


 まあこの場合の問題になっているのは時計の音ですね。引用してあるからには、これが擬音語の多用の顕著な例、のはず。じゃあ、次。私が本棚の奥底から見つけてきた古いドラゴンマガジン誌の中からあかほりの小説が載ってるのをテキトーに。できれば時計の音がいいなーと思ったがそう都合よく載ってるわけもないのでした。ぱっと目についたものを引用してみんとす。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 テンシコが悲鳴を上げた。
 ワンを捕まえている触手の先端がテンシコのお尻に触れたのだ。
 次の瞬間、テンシコの頭の上に輝いているリングが飛んでいた。


 ジャキッ! ズサッ! ジャキーン!


 リングはワンを捕らえていた触手をズタズタに引き裂き、続いてナマコングの本体の皮膚をも斬り裂いていった。


 フォォォォォォォォォォォォン!


 ナマコングが空気がぬけるような悲鳴を上げる。



 引用は「KO世紀ビースト三獣士」の第三章から。全編こんな調子ですね。んで、これが掲載されたドラマガが1992年の3月号である。10年以上前にこういう文章が雑誌に載って売られていて、文庫もたしか出てたんですよ。今20代前半とかの人が10歳くらいにはこういうのがフツーに存在してたわけで。影響が皆無、とも思えない気がするんですが。


 あと、本屋の風景も映って、高校生くらいの女の子が月にどのくらい本を読むのかと問われて、10冊くらいとか答えて、多分それをもって「若者が本を読み出した」という風に持っていきたかったんでしょうが、月10冊って多いのか?(*26)


 ところで若者向けの本ってどのくらいあるんだろうか。試みに、若者向けだと目されるライトノベル系の本が文庫で一ヶ月あたりどのくらい出版されてるのか見てみよう。本屋で資料としてもらってきた今月の新刊リストを参考にして、

 ソノラマ文庫(朝日ソノラマ):3冊
 ファミ通文庫(エンターブレイン):11冊
 角川スニーカー文庫(角川書店):8冊、角川ビーンズ文庫(同):5冊、角川ルビー文庫(同):5冊
 電撃ゲーム文庫(メディアワークス):2冊、電撃文庫(同):13冊
 講談社X文庫ティーンズハート(講談社):2冊、講談社X文庫ホワイトハート(同):7冊
 コバルト文庫(集英社):14冊スーパーダッシュ文庫(同):4冊
 パレット文庫(小学館):4冊、キャンパス文庫(同):1冊
 ウィングス文庫(新書館):2冊
 徳間デュアル文庫(徳間書店):1冊、キャラ文庫(同):4冊
 ダリア文庫(フロンティアワークス):3冊
 富士見ミステリー文庫(富士見書房):4冊、ドラゴンブック(同):1冊、ファンタジア文庫(同):8冊
 MF文庫(メディアファクトリー):1冊、MF文庫J(同):6冊

 これで109冊。さらにハヤカワJA文庫まで入れるなら111冊。あと、自社にライトノベルのレーベルがないんでフツーの文庫のフリしてるのが何冊か(*27)。まあ、ちょっと方向性が違うレーベルもありますが。書いてる作家の多くが若手で、つまり月に100人くらいの作家が本を出してる状況なんである。なお1レーベルで1年に2、3人は新人賞関連でデビューしてきますから、膨大な数の新人若手作家が生き残り合戦を繰り広げているわけですよ。何しろ、ターゲットの若者層は出る本出る本大量に買えるわけじゃないんで。でも毎月大量の本が出るんだから年に何冊も出さないと読者は待ってはくれない質が落ちれば見捨てられる売れなければ次の仕事が来ない。って感じのサバイバル。出版社によっては大賞獲ってデビューして、受賞後第一作も出さずに消えてったりすることもあるし。だからここで10年勝ち抜いた作家は相当なものではないでしょうか。まあ、玉石混淆でとんでもないものがある一方で、すごくいいものも出てきたりする。実際ライトノベルを観てみると、技巧に構成に文章にとワザの粋を凝らして面白いものを作ろうとしている人たちがいっぱいいる。そうでもしないと生き残りが難しかったりするというのもありますが。そんな中でいいものが出ても、ライトノベルに見向きもしない人たちには分からないわけです。ところが、近年、ライトノベル作家が別ジャンルに進出したり、出版社の垣根が取り払われたりして、そういうものを無視していたブンガクの人たちにようやく見えるようになったんじゃないかな。


 こないだ読んだ本の一節。対談。

 三村:逆は前からあったけどね。ライトノベルで書いてた作家が文芸誌で書いたとたんに「こんなところに埋もれた作家が!」的な言い方されて、「埋もれてねーよ!」みたいな。(「SFが読みたい! 2005年度版」)


 ネットやケータイで書いて経験を積んで、というようなことが出てきたが、別にこれも今に始まったことじゃなくて、10年くらい前からネット上では活字離れじゃなく、みんな何かを語ろうとしている、というのはいわれていたのである。というようなことも触れず、さも今発見された現象のように進む。


 見ていて情報の繰り出し方、出す情報に偏りがあるのが分かるので、情報操作で結論に導こうとしているのかなーと思ったり。80年代、90年代からのライトノベルの流れがあってそれを受けた世代が表に出てきてるとか、すばるで新人賞獲った三崎亜記なんて30歳半ばだとか、本を読まないでデビューした人よりも遙かに多くの人が本を読んでデビューしてるんじゃないかとか、デビューしたのはいいけどあっさり消えていった人たちはどのくらいいるんだとか、賞の数がめちゃめちゃ増えてるんだから若手と若手じゃない新人について数じゃなくて割合で測ったら昔と比べてどうなるんだろうかとか、そんなんいってたら番組の主張がすべて崩壊しますしね。おかげで、例として出されるものの数が極端に少なく(各項目につき1人とか)、しかも当てはまらないケースを出すのが容易。若者たちの動向に触れようとして、ネット、ケータイ、話し言葉みたいなものを持ち出すわりに、若者がどんなものをネットで書いているのか、若者が若者に向けてどんな作品を出版しているのか、そうしたことにあんまり突っ込んでいかないから、大きなピースが抜けている感じがする。おかげでツッコミどころ満載というか、主張の根拠が薄いというか、物足りないというか、若手の活動が目立っているというのは事実なんでしょうけどね、ブンガクの人がただ自分たちが思いもよらなかった現象についてちょっとさらってみました、というか、ああだから一部クローズアップ現代なのね。なんてことを考えてみたりもする。例えばこれを私の師匠たる某先生のゼミで発表しようものなら、最初の5、6分でツッコミが入り出して発表中断、トラウマになるほど1時間半くらいボロクソにされた挙げ句、途中で発表自体は打ち切り、翌週初めからやり直しになるような気がする(*28)


 情報の出し方についての実験。仮に金原ひとみが19だかで賞獲りましたー、という情報があったとする。番組的にはこのレベルで情報提供が終わってしまう形になり、若い作家がスゴい、になる。じゃあこれに補足トリビア。

 補足トリビア1:金原ひとみは19で芥川賞受賞。
 補足トリビア2:金原ひとみの父親は著名翻訳家。
 補足トリビア3:金原ひとみの父親は大学で創作講座を開いている。
 補足トリビア4:金原ひとみはもぐりで父親の創作講座を受講していた。
 補足トリビア5:金原ひとみより先に、父親の創作講座から20代で新人賞獲ったりで作家デビューし、今も活躍してる人が2人いる(*29)

 どこで情報を入れるかで導ける結論が変わってくるんじゃないですかね。金原ひとみがスゴイのか、オヤジがスゲーのか、先にデビューした二人がイカしているのか、若手作家が弾けてるのか。ちなみに先輩作家がデビューしたのは95年と98年で、生まれは同じ71年だからここまで書くと、持って行き方によっては19で賞獲った金原ひとみはスゲーになるのも可能。


 何かあーだこーだテキトーに思ったことをまとめもせずに書いててメンドーになってきたのとあんまし書いてる時間がなくなってきたので、番組の総括。30分で語ろうとするのが間違ってる。コメンテーターが高橋源一郎ひとりというのがおかしい。いちいちいうことにツッコミ入れてると、ふと、高橋源一郎の本のことを思い出した。『文学がこんなにわかっていいかしら』を、とある大学の先生(*30)は『文学がこんなにわかっ(たつもりになっ)ていいかしら』といってたなー。もし、今回みたいに現代の状況分析するんならやるならもっと人集めて討論形式にして資料出して徹底的にやってもらいたい。朝まで。それでようやくちょっと見えてくるんじゃないかという程度でしょう。おそらく2010年代になってようやく2000年頃の状況として把握できるようになるんだろうし。


 何だか最近暑い。4月中旬から5月上旬並といってました。桜咲くのが早まるかな。でも週末から真冬並になるみたい。って、週末また私、隣町図書館に侵入するつもりなんですけど……。あんまり寒いなら中止して家で本でも読んでようかなあ。





(*1)サブタイトルになってるのはすべて実在の書籍。順番にティム・パワーズ、小林泰三、林譲治、マーティン・ガードナー。
(*2)この頃は結構活発なやり取りがあったのだなあ。
(*3)異名の由来は、ドイツ語の授業で「巨匠ミケランジェロ」となるとこを「ミケランジェロ親方」と訳したとかなんとか、だったような。
(*4)またてきとーなことを書いている私。
(*5)味付けは、ラヴクラフトな感じでひとつ。古きものどもとかオールドワンズやら旧支配者やらはすべてそっからのネタです。
(*6)自分で時間決めて予約しといて何をしてるんだか。
(*7)よくない。喧嘩売ってるんかと思いましたですよ先生様。
(*8)こーゆー予感はよく当たる。
(*9)嘘のようだかホントにこーゆーことがホントに起こるんである。いやはや。
(*10)見た目は酔っぱらいにからまれてるだけのようであった。
(*11)ホントにまったく入店に気づかなかったのでたまげた。入り口見てたんだけどなあ。
(*12)一年経った今でもやっぱりいろいろと忙しいらしい。
(*13)あの小説が最高傑作だと思われてもファンタジー界はいい迷惑じゃなかろうか。
(*14)まだ全部観てない。そのうち必ずー。
(*15)マーセデス・ラッキーとか「ドラゴンランス」とか。
(*16)ファンタジーブームに便乗か。「ソーサリー」復活なんてのが話題になっていた。
(*17)現在「新学期が云々」という話で止まってる。うむ、夏の終わりの記事でしたかな。
(*18)相変わらず無茶をいう。ホントに来そうでコワいですが。
(*19)とはいうものの、とりあえずまだ本人様と連絡はついていない。
(*20)何故そうネタになりたがるのか(本人はそう思っていないだろうが)。
(*21)いってる内容は名詞を入れ替えただけでたいして変わらないよなあと思う。
(*22)妥当な結論だと思うが、何かに責任転嫁をして安心したいから賛同しない人も多いんだろうなあ。
(*23)届いたものを見て皆しばし呆然としていた。ぷうんと甘い香りがしていた。
(*24)冗談のようなイベントである。
(*25)内容が内容だけに可能性高し。
(*26)平均的な本読みはどのくらい読むんだろうか。私だと月10冊はめちゃめちゃ少ない方だと感じるのだけど。
(*27)茅田砂胡の「デルフィニア戦記」あたりのことだったかな。
(*28)「K大もの」シリーズ村雨先生のモデルになった御方。人によってはキロ単位でやつれるくらいの発表のプレッシャーがかかる。
(*29)こないだ親父と二人の鼎談を読んだが結構面白かった。小説とかとはまったく関係ない学部のゼミだったんですな。
(*30)前髪の様子から「キタロー」と呼称されていた先生だった。




 購入した本:
  成田良悟『デュラララ!!X2』


 読了した本:
  柴田錬三郎『柴錬三国志 英雄・生きるべきか死すべきか(上・下)』、ますだおかだ『漫才少年』、安田均編『へっぽこ冒険者とイオドの宝』、榊涼介『鄭問之三國誌(一)(二)(三)』、北方謙三『三国志 一の巻天狼の星』『三国志 二の巻参旗の星』『三国志 三の巻玄戈の星』、鈴木大輔『ご愁傷さま二ノ宮くん』
 




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中旬。 苦節ウン年、ようやく。あと幾つ?


 原付を走らせるとある土曜日。目の前にバス。バスのお尻にはお店の看板が。信号停車で何気なしに眺める。「フランス風菓子専門のお店」とある。写真があって、紅茶カップとカップ皿、さらに隣にはチーズケーキらしきものの載った皿。ケーキは切られていて、ナイフだかコテだかみたいなんが一切れちょっと持ち上げてみたりなんかしてるわけで。そりゃ別にかまわんのです。写真が多少色あせてて薄い紅茶とチーズケーキが同じ色だとか問題じゃありません。住所が大字までなのは、多分現地では誰もが分かるような場所なんでしょう。これも問題ありません。しばらく見てて気づいたんですが、何でこれ、畳の上に載ってるんでしょう? 明らかに畳です。どっから見ても畳なんですよ。畳の上でケーキセットがフランス風とやらを主張してるわけで。せめてテーブルに〜(*31)


 というワンシーンは、実はまたしても隣町図書館へ行く途中でのこと。この日はどういうわけか晴れていて、寒いわけでもなく。おう、初めて晴れましたよ、隣町図書館。晴れる日もあるのですね。とか変な風に書いてると、そのうち隣町方面から呪殺されたり拉致されたり名状しがたい感じのものに改造されたりするかも(*32)しれません。ぶるぶる。ので表現を変えます。隣町図書館に行くときの晴れ確率が25%になりました。あ、あんまし変わってないかも。とりあえず入館。ここに来る前に本屋に寄ってまして、「ああ今回のソノラマの新刊はこれか岩本隆雄いつ出るんだろう延びまくってるなあ」などと思ってたりしたのです。その岩本隆雄じゃない新刊が何で新刊コーナーに平然と並んでますか、隣町図書館。相変わらずの入荷速度です。この日はCDコーナーにも行ってみました。って、「塊魂」のサントラがあるっ。何じゃこりゃあ。やっぱり油断できない図書館です。まあ、ただ、何度も通っていたらいくつか不満な点も出てきたりするわけです。シリーズの最初の方がなかったりする(多分、シリーズが面白いと判断されて入荷したものの遡ってない)、とか書架の並びが明らかに変になってたりとか(外国文庫のヘミングウェイの隣に日本人作家が書いた『趙雲子竜』はおかしいだろう)、祝祭日閉館なので連休の日曜日月曜日は開いてないぞこら、とか。う、あんまり書いてると次回あたり行方不明になってるかもしれないので、これくらいに。ええ、そうです、並びが変なところのいくつかはこっそり直したりもしましたよ、とフォローしてみたり。


 前回入手した今月の文庫新刊リストを眺めていたときのこと。縮小コピーかけまくったために字がつぶれていたりして見づらいのであるが、その中でみょーに覚えのある単語を目が拾った。『火吹山の魔法使い』っておいおいおい。前回のネタかました後でこう来ますかという感じです。素晴らしいです、いい仕事してます。キ/クニヤ検索機から消えようが、扶桑社万歳。えー、勝手に盛り上がってますが、ご存じない方もいらっしゃるでしょうから説明をば。ジャクソン&リビングストンが書いたゲームブックシリーズ「ファイティングファンタジー」の第一作目なのです。80年代半ばのゲームブックブームを作り出したきっかけであります。名作「ソーサリー」四部作はハードカバーで復刊されたっぽいんですが、そもそも「ソーサリー」出した創元は健在なんですね。ところが「火吹山」などを出してた社会で思想な会社はとうにツブれてしまっておりました。別の出版社で拾われましたのもあるんですが、ゲームブックは手つかずだったんですね。いやー、素晴らしい懐かしい(*33)。今でも私の本棚にはボロボロになった『火吹山』がありますですよ。


 ネットオークションで「奏(騒)楽都市OSAKA」の公式ガイドブック、つーかゲーム攻略本も兼ねた設定資料集を落札。定価1200円を4000円切るくらいで。やっと入手ですよ、欲しかったんですよこれ。前に何度かオークションに出たのに入札かましてたんですが、あっさり10000円越えるので断念してたのです。うー長かった。これで川上稔関連の本はすでに期間限定通販で申し込んで届くのを待ってる「矛盾都市TOKYO」と1000部限定だったOSAKAの豪華ブックレットがメインですかね。ブックレットは小説版OSAKAとゲーム版OSAKAの応募券切り取って応募して抽選でって感じだったんですが、入手できず。非売品なんで古本屋にも出回らないだろうから気長にオークションに出てくるのを待つばかりです。んでその本が到着したのでぱらぱらと眺めてにまにましている今日この頃です。それにしても120ページくらいあるんですが、そのうちゲームに関する部分が半分以下で、さらにそれがゲームの高略じゃなくてデータになってるのはいったいこりゃなんなのか、と思うが、その辺が川上稔っぽくてよかったり。

 と何の説明もなく書いてましたが、川上稔を知らない人もいらっしゃるでしょうから簡単に説明を。私が好きな電撃文庫系作家さんです。文章にクセがあるんで好き嫌いが分かれるところでしょうが、実験的な小説を職人的に書いてたりします。造語を使って世界観を構成していくのがうまいです。その辺、私の中では同じ電撃系の古橋秀之と双璧って感じです。「都市」シリーズで同人誌が作られたのを入手し、「同人誌って自分でやってみらんと分からんよなあ」といい、出版社と所属会社の許可を得た上で自分で自分の公式公認同人誌作ってみちゃうような人です。いじょ。


 ライトノベルの比較研究を脳内展開しまくってみましたが、書くのがメンドーなのでここには書きません。基本的な流れとしては、「変人が主宰する集まりに主人公が半ば無理矢理所属させられ、騒動に巻き込まれていくパターン」もので、谷川流の「涼宮ハルヒ」シリーズ、沖田雅の『先輩とぼく』シリーズ、さらに秋山瑞人の『イリヤの空、UFOの夏』を比較して、何故ハルヒを私が受け付けなかったのかを分析してみるというもの。自分なりの結論はそれなりに出たんですがね、話がそのまま『イリヤ』における秋山瑞人の情報の出し方に関するものに展開していったので、きっちりまとまらなかったのです。ついでに日本作家の書く「三国志」比較も何年か前に考えて、今回また頭の中でやってたんですが、宮城谷昌光とかまだ読んでないのでやっぱり書きません。


 久々に熊大文芸部の部会に出席してみたりする。いや先週も行ったんですがね、誰もいなかっただけで。今回はちゃんと人がいらっしゃいましたよ。ツブれたんじゃなかったんですね。というわけで懸案だった500円玉二枚と前回書くのを忘れていたビール券を渡す。めでたしめでたし。そのままずるずると批評会にまで参加することに。テーマは短歌ということで、先々代の部長様が詠まれたものをその場で読む羽目に。といってもよく分からんというのが正直なところ。そういや詩人技能は、「宴」イベントで連絡の取れなかった「泳ぐもの」様や「大なる御方」様が持っていらっしゃったよなあ、と思い出したり(*34)


 批評介護、じゃなかった批評会後に行われた雑談の方が、文芸部っぽくて面白かったかも。「クローズアップ現代」に関しては出席者の100%が批判的(*35)。やっぱりという感じがしました。あと書かないだろうといいましたがここに書いてしまいます。実は前に知っていた先生が数年前に定年退職目前にして懲戒免職になったらしいのです。その人、私の知ってる韓国人女性と不倫の仲だったのですけれど、ついに妻子を捨て職を捨てた(というかクビになった)そうで(*36)。文芸部の後輩がいうにはネットでたまたま見つけた記事に、そのカップルが昨年本を出したことが載ってたそうな。1300語くらいを例に挙げて「日本語韓国語同源説」を唱えてらっしゃる。日本語と韓国語は元はひとつだったというか、韓国語から日本語が派生したとかいうやつで。うわー、どこのトンデモ本ですかそりゃ(*37)。たしかその先生、アフリカの言語を専門にされてたんですよ。アフリカで十年だか二十年だか長い間過ごして研究されてたのです。それが韓国語ですか、1300語ですか。愛ですか愛ですね。すんごい個人的にはウケたが、多分その先生の教え子というか関係者は笑えないだろうなあと思う(*38)


 てなわけで短歌な批評会を終えて、数日。知人からNHKスペシャルが「ケータイ短歌」だったことを知らされる。ん、時代は短歌なんですか!? ケータイってことは短歌を携帯している人がいると。違う違う。ケータイで短歌を作るんでしょうなあ。いまひとつピンと来ないんですが、短冊代わりに使うんでしょうかねえ? NHK、無理矢理現代文化を紹介しようとしてませんか、最近。まあ短歌の方は観てないんで何ともいえないんですが、こういう番組観て何となく若者の現代文化みたいなのが分かったつもりになって、実際はほとんど分かってない人って多いんじゃないかなあ。


 日本一ソフトウェアの「ファントム・キングダム」を購入。ちまちまちまちまやっている。ちまちま度が増していて多少見にくいが、それを吹っ飛ばす面白さである。それにしてもこの作り込み度はクレイジーだなあ。とプレイしていたら、いきなり地震。ゆっさゆっさと揺れる。とりあえずセーブしようと反射的に思うが、セーブできないような場所だったのであっさり断念。そのときは家に私と祖母しかいなかったので、一階に駆け下りて祖母の様子を見る。まだ揺れている。祖母は無事で、揺れもなくなったので、二人して一階でNHKを見た。地震情報のテロップが一瞬だけ出て消える。見えねーってばよ。数秒後もう一度。今度はちゃんと見える出し方だった。でも詳しい情報も何もない。やがて福岡方面が震源地だったと判明する。震度6、マグニチュード7ですか。ううむ。発生直後の映像が繰り返し流れるのを見るとかなり揺れている。福岡方面の友人にメールを出してみたり。うむ、情報の速度はやっぱりNHKである。こーゆーのをやっとればいいのだ、という気もする(*39)

 30分後、父親から電話。「家は大丈夫か、ばーちゃんは大丈夫か」と問うので無事だと答える。「パチンコ屋も相当揺れたぞ」そりゃどーでもよろしい(*40)。後で聞いたら「あれがなければ勝っていた」と負けた言い訳にしていた。 民放で流れてる地震のニュースを見て、沖縄にいるらしい弟が電話してくる。「大丈夫か」「あー、家の本棚にあった本が落ちたよ」「どこの本棚よ」十以上の本棚が我が家の各所に仕込んであるのだ。それらはすでにチェックされている。崩れた場所をいうと、「下敷きになったりしてはおらんだろうね」「あー、下敷きになった。残念なことに……扇風機が」「……アホウ」さらに私が席を外してるテレビで知ったらしい、阪東にいるっぽい妹からも確認の電話がかかってきたそうな。ニュースによれば震度6、マグニチュード7って話で、もうちょい福岡に近ければえらいことになっていただろうなあ。被害がさほどでもなくて良かった(亡くなられた方には申し訳ないが)。でも夜になっても余震が熊本で感じられたりして、結構コワいですよ。去年の新潟といい、地震王国全開って感じです。


 地震で思い出したが、高校のときの国語の時間である。「地震の地の字はどうフリガナをつけるのが正しいのか」という質問をいきなり担当教諭(農家の次男坊風おっさん)が皆にぶつけてきたのである。「『じ』か『ぢ』か」で挙手をさせられた。私の推測エンジンによる思考展開はおおよそこんなものである。「地震の地の字は一字だと『ち』である→よってそれが濁ってるんだから正しくは『じ』ではなく『ぢ』であろう→『じ』はそれが間違って広まってるんだろう」結果、「ぢ」で挙手したのは私ひとりで、教諭は「バカ者。これは『じめん』と書くのだから『じ』が正しいのだ」とバカボンのパパだからパパなのだみたいな理屈を頭ごなしに叩きつけられ、私はクラス中の笑い者になった経験がある。あの理屈には当然ながらいまだに納得しておらず、その後かの教諭が担当になった小論文講座はやっぱり納得できないことが多くて欠席しまくってたなあ。ヤな思い出です。


 ま、前回がちょっと長めだったので、今回はちょっぴりあっさり風で。てか忙しく上にあんまりネタがなかったのです。いやはやこんな日もあるさ。う、また揺れてますよ、余震ですよ。早く平穏な日常にならないもんですかねえ。




(*31)隣町の隣町だったのでそちら風だったのかもしれない。
(*32)時々そんな気配を感じたり。
(*33)でも昔のバージョンの方がおとなーな感じだった。新しいのはちょっちライト系な見た目。
(*34)詩人のスキルを持った方々だったので。
(*35)さもありなん。
(*36)授業も試験も捨てたのが直接の原因だったらしい。
(*37)ただ紹介文とか見る限りでは、「と学会」でも取り上げてくれそうにないかも。
(*38)無茶苦茶不機嫌そうな顔になるような気がする。
(*39)いやまったく。
(*40)まったくです。




 購入した本:
  なし。


 読了した本:
  北方謙三『三国志 四の巻列肆の星』『三国志 五の巻八魁の星』『三国志 六の巻陣車の星』『三国志 七の巻諸王の星』『三国志 八の巻水府の星』『三国志 九の巻軍市の星』『三国志 十の巻帝座の星』『三国志 十一の巻鬼宿の星』、秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏 その1』『イリヤの空、UFOの夏 その2』






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下旬。 ケネス・アーノルド(*41)なかりせば世の中多少つまらなくなってたろうなと思いつつ『イリヤ』再読終了し空を見上げる春の夜。


 知人であるところの太一様が掲示板に書き込みになったのだが、隣町図書館に行ったら祝祭日閉館まっただなかだったそうである。電車ということは、神社の辺りから出ている妖怪列車あるいはそれに類するものに乗って(*42)行かれたのであろう。異界であるところの隠れ里に向かうようなものであるから、乗っている人が少ないのはまあ妥当なところでしょう。銀河鉄道とかネコバスとか千が乗ったやつとか。ご苦労なことでございます。でも多分隣町図書館は来年あたり市立図書館にクラスチェンジするであろうから、祝祭日も利用できるようになるんじゃないかなあ。文句いってたら拉致られて怪しいイキモノに変えられて中国奥地で未確認生物として目撃されるようになるかもしれまんよ。というかそもそも太一様はかつて古きものどものおひとかたであらせられる「狩り集めるもの」様ご愛用の超蕪(*43)を所持しておられるじゃありませんか。あれを置物じゃなくて移動用アイテムとして復活させれば隣町までひとっ飛びでございますよ、多分。って蕪に乗って隣町に行くというのもしゅーるで、ますます隣町が人外魔境になっていくような気が、


 などとこの稿を書いていたら、メエルが来た。旧支配者様からである。件名の終わりは「祝祭日も開けるんだよ」って何ちゅうタイミングで来ますか。くろやぎさんからおてがみついた。黒山羊といえば「千匹の仔を孕みし森の黒山羊」(*44)を意味するというのは世界の常識です。どこの世界かは知りませんし、旧支配者ではないような気もしますが。私、最近好き放題隣町図書館のことを書いているような気もします。隣町産のヒットマンか式神か毒電波が飛んでくるかもって予告状ですか。あるいは怪しいイキモノにされるのは私かも。「なるんだよ」ってのも気になります。「いいかい、祝日開館になるんだよ、分かったかい」と諭しておられるのか、「ちゃんと祝日開館になるんだよ、分かったかおらー」と怒鳴っておられるのか。脳裏をよぎる歌は「黒山羊さんからお手紙着いた、白山羊さんたら読まずに喰われた」ひー喰われるのはイヤだよぅ、ぶるぶる。おそるおそるメエルを開くことに。おおう、どうやら前回の旬な話を見てしまわれたようです。いろいろと回答を得てしまいました。


1.シリーズものが抜けてる等の指摘に関して。基本的に1巻目を入れてないものについては2巻目以降からいきなり入れることはない。なかった場合、誰かが借りてるか持ち去られてしまったか紛失して登録抹消か、ではないかとのこと。リクエストしてもらえれば入る確率高し。

2.違う棚に本が並んでいたことについて。いたずらの可能性。または誰かが本を抜き出し、借りずに戻そうとしたが別の棚に入れてしまった。あるいはそもそも図書館の人の分類が間違っていた。間違っているものについては指摘してもらえれば図書館人の好感度アップ。

3.祝祭日開館について。来年あたり開くようになる予定。


 ははあなるほど。1については違うのもあったんですが、その点は後述。2についてはすいません、誰かが面倒になって違うところに戻した、というのは思いつきませんでした。そういうのって私許せない性格なので。3については予想通り。


 少々安心して読み進めていくと、最後にこんな記述が。「次回の来館時のお天気は、快晴です。桜の開花を見ることができるかもしれません」っておい、何故そんなことが分かるのですか。占星術ですか予知能力ですか未来見てきましたか。ともかく好き勝手書いたことでもあるし、借りたCDの期限が近づいたこともあるしで市立図書館経由で隣町に行くことに。何だかぽかぽかした感じで晴れてますよ。やっぱりい。ぽかぽかした昼だしテーマソングはこれで。「あーるー晴れたーひーる下がりぃ、いーちーばーへ続ーく道ぃ」ってどなどなですか。ところが市立図書館を出て隣町通りに入った辺りからどうも雲が出てきた。気温がやや下がってくる。うむ。これは旧支配者様の呪力が天候に勝てなかったのか、はたまた雲を召喚されたのか。


 ともあれ、隣町図書館に入り、返却カウンターでブツを返す。うむ、旧支配者様のお姿はなし。それからCDコーナーに向かい、つらつら眺めていると、ピンポイントでヒットするようなアイテムを発見した。「アメリカ横断ウルトラクイズ オリジナルサウンドトラック」こ、こりは聴いてみなければ。ということで早速ゲット。それから文庫コーナーへ赴く。こないだまで見なかったうえお久光の「悪魔のミカタ」が13冊いきなり棚に並んでいて魂消る。推測するに(1)13冊まとめて入荷した。(2)13冊まとめて借りてた人がいた。(3)前からあったが私には認識できないようになっていた。のいずれかであろう。それから外国作家文庫コーナーへ。眺めていると、またも間違いを見つけたのでヒソカに訂正しておく。ひとつ、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『ダークホルムの闇の君』をきちんと『グリフォンの年』の隣に。ひとつ、マーセデス・ラッキーの『運命の剣(上)』を下巻の隣に。いずれも大変ズレた場所にあったのである。さすがに前回書いたことであるし、旧支配者様もお読みになられた様子であるから修正されているだろうと思ったら、ヘミングウェイの隣にやっぱり『趙雲子竜』があったり。背表紙の分類シールを確認。外国作家と日本作家では多少違うのだが、この本は日本もの。虚空を見上げてしばし考え、まあネタのひとつにもなろうかと日本作家の棚まで持っていくことにする。うむ、素晴らしいぞ私。そこでふとカウンターを見れば、ひぃ、旧支配者様出現、徘徊中です。とっさにやや腰をかがめて棚に隠れるように移動(*45)。再び外国作家のコーナーへ戻り、アメリカ横断なんちゃらのCDよりははるかにまっとうな本を選出。市立図書館からも借りてちょこちょこ読んでいるイーガンの『万物理論』である。よしとっととブツを借りて退散しましょう。ところが今度は貸し出しカウンター要員つまり貸し出し者を迎撃する係の一方に旧支配者様が。緑色のエプロンです。妙ににこやかです。ぐう。こっそり隣のおねーさんに貸し出ししてもらっりしていたのだが、旧支配者様は別のお客さんをタイミング良く迎撃していてこちらに気づいていない(ように見える)。でも一応挨拶せんわけにもいかないし、できればメエルをネタする許可も得ておきたいので、貸し出し終わった後、となりのおじさんの後ろに並ぶという行動に出る私。いかにも不審人物である。


 おじさんが去り、旧支配者様と目が合ったので挨拶を試みる。といきなり旧支配者様がカウンターから出て来られ、私は連行。喰われるのですか白山羊ですかドナドナですか。まあ散々ネタにさせてもらっているとはいえ基本的に旧支配者様はいい人なので(応用的には知らない)、「メエルを引用させてもらってもよろしいか」となし崩しに許可を得る。「まだ変なとこに本が入っていたので直しておきましたでございます」という言葉に「それはいったいどこだ」と文庫コーナーへ。実はこれがここにあって、これがここにあって、趙雲はこの隙間でござった。背表紙の分類シールはどうだったかと問われて、抜からずチェックしていた私は即答。「ご協力ありがとうございました。またよろしくお願いします」といわれる。って私ボランティアで本並べの人ですか(*46)。シリーズものについては、途中が抜けていても本屋と違って即座に勝手に補充されるわけではないのだということなども講義される。ふむなるほど。いろいろいわれたが、申し訳ない。基本路線以外は忘れてしまいました。でもシリーズなのに揃ってないのもあるよね、という極端な例を示すために日本作家のコーナーへ連行返し


 日本作家のコーナーで私が示して、なるほどこういうのもあるのか、と旧支配者様を納得させた極端な例外。ヒント1:大まかに分けてシリーズが2本。どちらも完結。ヒント2:短編、中編、連作、一冊まるまる長編、複数冊に渡る長編と長さがまちまちな上に、著者がばらばらなので作者で分類している以上、位置が散り、順番も分からなくなる。ヒント3:通し番号があるわけじゃない。ヒント4:先に終わったシリーズのラストを示したときの、旧支配者様のコメントは、「何だ会長じゃないか」だった(*47)。という鬼か悪魔か妖怪かというシリーズなのだが、後で思い出したが戯曲に似た形式のものもあったり。まあホントに極端だけれど、ライトノベルなどではシリーズにもかかわらず通しタイトルがなかったり、逆にすべて同じタイトルで副題がちっちゃくついてるだけで間があるのかないのかすら分かりにくいものもありますわな。例えば、このペエジをスクロールさせると読了本のところに林トモアキの『お・り・が・み 外の姫』というのがある。この本の隣に、『お・り・が・み 龍の火』と『お・り・が・み 天の門』があったとする。副題は背表紙でも小さく書かれているので分かりにくい。背表紙の色は同じである。この三冊が並んでいたとして、シリーズがすべて揃っているのかどうか分かるだろうか。これが『お・り・が・み@ 天の門』とかあったら分かりやすいのだけれど。正解は、この三冊が今月現在出てる本であり、以後続刊である。順番は『天の門』→『龍の火』→『外の姫』検索なしで調べる方法はより新しい方の後ろにある既刊を確認することでしょうか。こんなケースざらですよ、今。ややこしいのを探せば切り無しです(作者が違うとか途中で出版社が変わるとか)。ライトノベルだと出版サイクルが短かったりもします。『お・り・が・み』だと過去の記述を調べるに、去年の7月、11月、今年の3月発売です(並んだのは2月の終わり)。こういうのは分かりにくいですよねえ。別にラノベに限らず、例えば平岩弓枝の「御宿かわせみ」とかね。んで我が町の図書館だと背表紙に番号札が貼られてたりして微妙に分かりやすかったりもする。文庫とかでも面倒だけれどやってもらえたら嬉しいなあ(と暗に要求している)。ちなみに前述のヒント出したシリーズ、これは単に図書館の人もシリーズだと認識できてなかった様子。


 旧支配者様のお言葉としてはない本や欲しい本があればリクエストすること。何千円もする高い本や入手不可のものとかじゃない限り、リクエストに応じてくれる率が高いらしい。まあ市立図書館でも同じは同じなんですが、あそこは対応がトチ狂ってるときがあるのです。「でもここに来てリクエスト紙を書かねばならんのですよね」と確認すると、「電話などでもよろしい。メールも可」「では、旧支配者様に個人メエルで注文するというのは」「それは止めろ。営業時間内に図書館で」ということだった。


 などと微笑ましい会話を交わしているが、多分あのCD、期限までに返せそうにない。ブツがブツだけに日本に歩いて戻ってくるのに時間がかかるとでも思っていただきたい。てか、隣町に行く暇がないのよ。なるたけ早く返すので役場のヒットマン(地方公務員)も民間委託の暗殺者(牛飼い兼業)も送るのは勘弁(*48)です。


 ちょいと用事があって文芸部部室に顔を出す火曜日。ネット上の問題等を解決するためと本を渡すためである。目的の人物がいてくれたので、本をば。某後輩がSFについてコメントしていたのを見つけたのでそのテキトーなガイドブック。それから週末にちょいとパソコンとプリンターを借りた上、怪しげな履歴を残してしまった後輩に怪しげな書物を。まあ、ほら、ベムってご存じだろうか。妖怪人間だったりひとつめのモンスター(Bug Eyed Monsterね)だったりするのが普通であり、後者はエイリアンだったりもして、かれらの星をベムスターといったりいわなかったり。すみません、ちょっと疲れ気味です。でパソの主である後輩に前紹介した本だったのだが、載っている図版を見せたら結構気に入ってもらえたようです。てか、SF本渡した方の後輩が読みたがってましたが。えー、ナゾでベエムな本で、基本文献です。怪しさ爆発なんで興味のある方は「ナゾベーム」とかで検索してみたら一発だと思います(*49)。ネットの方の問題はいくつか交渉してある程度の成果をゲットしました。よし。


 どうにかこうにか暇をひねくりだして「ファントム・キングダム」をプレイしてます。フリーダンジョンが一度入るとなかなか抜け出せず終われないので大変です。脱出アイテムの数が少ないしね。レベル20程度のダンジョンに入ったら2時間以上あっさり時間が飛んだりもします。うー。登場キャラのひとり「冥王」シードルと謎の少女トレニアがいい味出してます。隻眼でサムライ系の元勇者シードルの台詞「貴様、この状況を理解しているのか? 冗談などとぬかしたら、その首跳ね飛ばすぞ?」などにシビれました。ちなみにボイスは取説には書いてありませんが池田秀一です(*50)。あの口調でこの台詞ですよ。ひーカッコいい。


 4月新刊文庫のリストを見て思ったこと。先月出るはずだった、楽しみにしていた豪屋大介の新刊である第8巻が出なかった理由が分かった。1〜8までが新装版でまとめて出版です。富士見ファンタジア文庫のとこだけやけに長くなってます。ううむ。でも多分買うのは8巻だけだろうなあ。あるいは講談社文庫のところで京極夏彦の本を見つけて驚愕。『姑獲鳥の夏』が新装版です。しかも分冊!? なんてことしやがる講談社。おそらく100%確実に、京極夏彦は文章の字数行数を合わせてくるはず。てことは確実に他の仕事に回すはずの時間が食われるわけですよ。ぐわわ。


 秋山瑞人の『イリヤの空、UFOの夏』を再読完了。堪能しました(*51)。情報の出し方やテクニック、世界観の見せ方の感じがイカしてますな。様々な面で世界が二重構造になっていることが語られるわけですよ。ひとつが実にバカバカしい現実でこれは人々にとってはバカバカしい虚構の形として捉えられている。もうひとつがバカバカしい虚構で、これを人々は平穏な日常だと捉えているわけです。戦争が近付いてくる気配がずっと語られているのに、それを人々は信じず「そんなことが起こるわけがない」とか深刻なニュースをアナウンサーが繰り返そうとすると「いいよ繰り返さなくて」とあっさりチャンネルを変えられたりする。また軍で非番だった人たちが一斉に非常呼集かけられるシーンがありますが、民間人はバカ騒ぎを平然と続けていたりもする。またUFO特番が流されますが、そこでガンガン対決している肯定派と懐疑派の人は、実際には非常に仲が良くて収録の合間にはにこやかにペットの話で盛り上がったりしてるわけです。そういう微妙なバランスが話の進行に少しずつ変わってくるのですな。まあ他にもいろいろと思うところがあったりするわけですが、それはまた気が向いてなおかつ時間があったら。


 あれやこれやで、何だか忙しいのです。とっとと文章見直してこの原稿もアップせねば。いそいそとタイピングしていたらいきなり揺れました。4月1日夜。でも家の誰も気づかなかったという。悔しいのでNHKをつけたらちょうど福岡方面で震度3だか4だか。ううむ、やはり私敏感なんでしょうなあ。地震ヤだなあ。



 
(*41)世界で最初にアレをUFOを呼んだ人。
(*42)ホントに怪しいものが走ってる、かどうかは自分の目で確かめるとよろしい。
(*43)超蕪、今はまだ置物になっているそうな。
(*44)しゅぶ・にぐらすな感じでひとつ。
(*45)反射的行動であったが、知り合いに対する態度としてはどうか。
(*46)今でもときどき思い出したようにやっている。
(*47)「と学会」の会長さん。
(*48)今でもときどき思い出したようにやってくる、かどうかはよく分からない。
(*49)「鼻行類」とか「ハナアルキ」といった方が通りがよいかもしれん。
(*50)しゃあな感じで。
(*51)やっぱ秋山瑞人、うまいなあ。





 購入した本:
  水野良『呪縛の島の魔法戦士』、秋田みやび/グループSNE『挑め! 捨身の大決戦』、桜坂洋『よくわかる現代魔法』『よくわかる現代魔法 ガーベージコレクター』『よくわかる現代魔法 ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ


 読了した本:
  北方謙三『三国志 十二の巻霹靂の星』『三国志 十三の巻極北の星』、秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏 その3』『イリヤの空、UFOの夏 その4』、林トモアキ『お・り・が・み 外の姫』、橘柑子『カエルと殿下と森の魔女』、秋田みやび/グループSNE『賭けろ! 世紀の大勝負』『走れ! 神秘の大森林』『救え! かつての大親友』『挑め! 捨身の大決戦』、桜坂洋『よくわかる現代魔法』











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