「迷子」
星を見つめていた。はるか遠くで光を放つ輝き。
体のあちこちが、疲れてギシギシと音をたてそうだった。泣きたくなったこともあるし、気が狂いそうになったこともある。ともすればへたり込みそうになる心を張り飛ばし、古い立たせて、ただ、ただ、歩き続けてきた。
そう、ボクは、森に迷った子供だった。夜への恐怖が、ボクを駆り立てる。何も見えず、何も聞こえず、暗黒と静寂の未知の中を、ボクは独り歩いていく。ただひとつだけ、この世界で輝いている星をめざして。
思えば、小さい頃からずっとそうだった気がする。ずっと前方に続く、そしてどこに通じているとも分からない心細い道を、ひたすら歩いてきた。
みんな、そうなのかもしれない。
もしかしたら、まだ星明かりさえ見つけていない子供もいるのかもしれない。誰もが自分の道を探しながら、歩いているのかもしれない。
人生は、迷子の舞台。存在が消えてしまうかもしれない恐怖に追われて、足跡を刻んでいく。
ボクは独り、星を見つめて歩き続ける。
みんな、そうなのだ。